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日記、11/08

自殺未遂をした次の日、推しが脱退した。
雨に傘を差すよ、きみを雨からまもるよ、と言ってくれるひとだった。雨が降っていた。すこし寒い日だった。夢であればいいのに。悪い夢であればいいのに。悪夢が好きだなんて言ったせいで、こんなことになってしまったのだろうか。ありがとうもだいすきも言わせてもらえなかった、あなたの言葉もきけなかった、いまさら責めたりしないけど、しあわせに、生きていけそうかなあ、それだけ聞きたかったのにね、ぼくたちは、女の子ひとりの人生の前ではあまりに無力だ。あなたの占めていた場所が、そっくりそのままぽっかりあいた、失恋ってこういう気持ちなのだろうか、と恋をしたことのないぼくは思う。恋よりずっと、あなたをすきだったのに。その声も、見た目も、思い出も、これから見るはずだった景色も、ぜんぶ大切だった、大切なのに。無力だ。ぼくは、あんまりにも、あなたの前では無力だ。雨は灰色だった。もう二度とその傘は差されない。突然の別れと、予告された別れはどちらが残酷なんだろうね。大切です、だいすきです、ずっと、ありがとう、おれの人生にいてくれて。「またね」だけが、消えることも出来ずに宙に浮いた。

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