マガジンのカバー画像

ブログとエッセイのような

53
三題噺と小説以外はこちらです。ながさもばらばら。
運営しているクリエイター

2024年6月の記事一覧

きえ

きえ

死んだら全部終わりだという。死んだら何も残らない。富も名誉もあの世には持っていけない。あの世はない、ただ終わりがある。しかし遺していく、ものは。偉大であればこそ、愛されていればこそ、或いは憎まれていればこそ、名前くらい残る。懐古くらいは残るだろうか。矮小であってはいけない、何者かでなければいけない、何にもなれないならば、消えるだけである。わたしは早く消えたいけれども、その代わりに誰か、血の繋がらな

もっとみる
行間

行間

絶望と贖罪の日でさえあった、おのれの生まれた日、一等畏れていたその27番目が、(あろうことか)少しばかり明るく見えて、楽しみでさえあるのはどういった心境の変化であろうか。命日に、しなければならないはずであった。変わらずにどうやら未来は続いていくらしい。その先を、どうせ変わらずに、生きていくらしい。生きるのだ。きっと。

きたる

きたる

日付が変わった、零時になって、6月になった。雨の匂いと夏を帯びた空気、曇り空、じめじめと愚図ついて、そう、わたしのような、そんな6月である。わたしは追い立てられている。すり抜けるように日々が終わっては始まる、わたしは必死に、でもない、なんとか人間の形をするように無為に、或いはなにか有意義に、過ごしている。6月が来た。取れない疲れと死にたいと逸る心をアルコールとエナジードリンクで殴りつけている。あな

もっとみる