読書と平凡な日常33 読者が求める安心
どうも、紅りんごです。最近楽しみにしていることは、本屋に立ち寄ることです。立ち並ぶ色鮮やかな本の表紙、閉じられた作品の中に広がっているであろう世界。その本に囲まれて、本に込められた可能性を肌で感じる一時は何物にも代えがたいものがあります。今日はそんな本屋でよく見る「あれ」に関する作品です。
33冊目は水生大海『最後のページをめくるまで』。最後のページでどんでん返しが待っているショートショート作品です。バッドエンドに近しいものが多いですが、後味が悪いわけではないので、気軽に読むことの出来る作品です。
この作品でも売りとされている様に、最近は本の表紙に「どんでん返し」と書かれている作品が多いですね。読む前にどんでん返しと分かってしまうのはいかがなものか、と思います。どんでん返しと分かっていると裏切られたという衝撃が感じられない気がしてしまいますから。
しかし、それも仕方のないものかもしれません。それは最近の傾向として、読者は「安心」を求めているものと考えられるからです。私も経験がありますが、WEB小説の題名を異様に長くするのもその象徴と言えるでしょう。
パッと見で内容が分からない、閉じられた世界、それが本です。数秒で多大な情報が流れゆく現在、多忙な人々の目に留まる為には、一目でそれが何たるか分かる工夫が必要となります。本には一応中や帯にストーリーが書いてあるものが多いですが、それだけで気を引くのはなかなか大変です。本好きならまだしも、本が好きでない人を引き付けるには分かりやすい「売り」が必要だと考えます。10分で読める、とか〇〇大賞受賞だとか。その内の1つがどんでん返しです。楽しみ所をあらかじめ伝えておく、そうすることで読者もワクワク感を保ちながら読み進めていけます。
社会の変化によって変わっていくのは媒体だけではなく、その在り方もです。あらかじめどんでん返しと明かしている以上、作家さんはかなり大変だとは思いますが、更に小説が発展できる良い契機なのではないか、と勝手に考えました。
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