見出し画像

なんてことのないGW 

ニュースでは、あちこちの行楽地、空港や駅が映し出され、人の多さを大きな声で伝えてくれる。
そうかあ。GWやもんなあ。
3年ぶりって言葉を枕詞に、多くの皆さんがお出かけを楽しんでおられるようだ。
とても楽しそうな表情をされている。
「よかったなあ。」
テレビの中の知らない人々に声をかける。

私はといえば、これといったイベントの予定はなく、ただ、お休みってことだけがみなさんと同じである。

そんな私のGW。
なんてことない日々だったのに、あっというまに終わってしまった。

【29日】 ウォーキング 近くの日吉大社まで
整形外科のドクターに、とにかく歩けと言われている。しゃあなしである。

【30日】 ウォーキング 琵琶湖岸の公園まで
釣り人や散策に来ている人々はいるものの、静かな湖畔。しゃあなしなりに癒される。

【3日】 3年ぶりに会う友人家に、お宅訪問。地図アプリを使うものの、駅前の商店街の中で迷子になる。その商店街とは、あの関西ローカルでよく見かける千林商店街。こんなに長い時間うろついていて、インタビューとかされたらどうしようと、ドキドキする。ちなみに、インタビューをされたくないのではなく、うまい返しができるかどうかのドキドキやで。
 やっとたどり着いた友人宅は、美しくリノベーションされていて、すっかり山小屋に生まれ変わっとった。照明なんて、ほんと、山小屋のそれ。住宅街から、いきなり山小屋に足を踏み入れる。そのとたん、なぜか、すっかり登山をしてきた気分になるんやから、すごいもんである。美味しいご飯でもてなしてくれる友人は、山小屋のあるじにしか見えんかった。夢をかなえた友人の表情に癒される。

【4日】 大文字山登山にトライしてみる。といっても、銀閣寺ルートといって、ピンクや水色の帽子をかぶった保育園の子どもたちが、ずんずん登っていくようなルートである。低山である。しかし、山である。久しぶりである。登れるのか?
 って、ことで、まずは、老舗喫茶店のモーニングで腹ごしらえをする。7時開店の10分前には、もうお客さんが並んでいた。それも、おじいさんばっかり。店員さんとのやりとりの様子から、みなさん常連さんのよう。店員さんのお客さばきも手慣れたもの。
「きのう、阪神ええ試合してたなあ。」
「せやせや。勝ったなあ。」
「えっ?勝ったん?知らんかったわ~。」
って、感じで、試合の結果も知らんと常連に話題をふる店員さんの勇気に脱帽。
 登山は、なんとかかんと大文字の火床にたどり着くことができた。まあ、まだいけるか。でも、京都市内を一望する景色を堪能した後に下山しようとすると、赤ちゃんを背負った人や、2歳くらいの子どもや、私より10年以上は人生の先輩である人などが、ぞくぞくと上がってくる。さっき、ぜ~ぜ~言いながら登っていた私はなんやったんや。何が、まだいけるかや。ぜんぜんあかんやん。

【5日】  琵琶湖岸にある「道の駅」に野菜を買いに行き、そのついでにあたりを散策。小さな湖水浴場があり、昔は栄えてた感じがする。今は、どうなんやろう。近くの人が、泳ぎに来るのかなあ。

【6日】  ご無沙汰していたカフェに行く。昭和レトロなそのカフェは、家具や食器、もちろんスイーツメニューなども楽しいんだけど、何よりそのお店のご主人がおもしろい。女性一人で、お店をきりもりされていて、飾り気のないところが魅力的なひと。ときおり飛び出す毒舌が、私にはたまらない。今月のスイーツである "あんこパンケーキ" が、やさしい甘さで美味しかった。
 この日のランチは、夫手作りのたらこパスタだった。59歳にして、ようやくパスタが茹でられるようになった夫。わたしの手出し口出しゼロで、たらこパスタ作りに挑戦。美味しかったけど、冷めていたのは、まあしょうがないな。

【7日】  朝から大雨。石川県の地震の様子が気になりながら、ひたすら本を読む。ランチは、この日も夫手作りのきつねそば。といっても、冷凍食品のきつねそば。ただ、鍋であたためるだけのもの。昨日のたらこパスタで、調子に乗り、作りたがる夫。袋に書かれている作り方を、何度も読んでいる。火加減なんかも気にしてる。ちょっとは、進歩してるんやなあ。
 降り続く雨で、気温が下がり、肌寒いこんな昼下がりに、温かいきつねそばはぴったりやん。まっ、温かかったらな。よけいに、身体が冷えたのはなんでや?


こうして振り返ってみたら、イベントはなかったものの、楽しく過ごせたんかもしれんなあ。

一緒に掃除をしたり、ピアノを弾いたり、料理にケチをつけたり、食べ過ぎを妨害したり。
こういう時間を大切に思うことを忘れんとこう。

会話の中には、「私がいなくなったら・・・」という言葉が、ときおり出てくる。
掃除の仕方であったり、戸締りの注意点であったり、ゴミの出し方だったり。
以前は、「そんなん言わんといて!!」と怒っていた夫だったが、それを聞いてもらうことで私が落ち着くってことを、理解してくれるようになった。
「私がいなくなったら・・・。」なんて言葉が言える余裕がある今のうちに、考えたいことがある。伝えたいことがある。
それを、聞いてくれる夫には感謝している。
パスタが冷めていても。きつねそばが、超ぬるくてもね。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?