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“ダイバーシティ”に“女性”が含まれる違和感について、考えようじゃないか。

ダイバーシティ経営をしよう!多様性を尊重しよう!今、そんな風が吹いています。しかし、ダイバーシティの対象に「女性」が含まれることに、私は違和感をおぼえるのです。これからの新しい時代において、一度立ち止まって考えてみたいと思います。

■そもそもダイバーシティとは何ぞや

※ダイバーシティ(Diversity)とは
直訳すると多様性を意味します。集団において年齢、性別、人種、宗教、趣味嗜好などさまざまな属性の人が集まった状態のことです。もともとは人権問題や雇用機会の均等などを説明する際に使われていました。現在では多様な人材を登用し活用することで、組織の生産性や競争力を高める経営戦略として認知されています。

企業がダイバーシティを推進することで、優秀な人材の確保やイノベーションの創出につながり、世界での競争力の獲得や業績向上、生産性向上などといったメリットが期待できると言われています。


■「ダイバーシティ(多様性)」の反対語は?

では、ダイバーシティが「多様性」なら、その反対の言葉は何なのか。「多様性」の反対の意味を持つ対義語は「画一性」です。

では、現在「画一性」ではなく「多様性」にしよう!とみんなが声をあげているなら、その「画一性」が何を指していたのかを再度確認すべきだと考えました。

※経済産業省HPより一部抜粋※
「多様な人材」とは、性別、年齢、人種や国籍、障がいの有無、性的指向、宗教・信条、価値観などの多様性だけでなく、キャリアや経験、働き方などの多様性も含みます。「能力」には、多様な人材それぞれの持つ潜在的な能力や特性なども含みます。

恐らく、この「画一性」は「多数派の男性」と定義されており、一方で「多様性」とは「多様な少数派」として対比されているのではないでしょうか。

こちらの記事でも、女性が「多様な少数派」であるという定義になっています。


■「ダイバーシティ(多様性)」に女性が含まれる違和感

つまり、この現代においてもまだ、私たち女性は「多様な少数派」側であると認識されている。だからこそ、ダイバーシティ経営の推進といった話の中に女性活躍推進と言われる。なんだか、私にはとっても違和感があります。

だって、
世界の人口の半分は、女性なんですよ。
消費者の半分も、女性なんですよ。

そもそも、この時代において、「性別」を聞くことすら必要なくなるかもしれない時代において、女性はいまだに「多様な少数派」側なんだ、と言われても全然ピンとこない訳です。

女性が活躍するなんて、当たり前です。
そこにあるのは「個人差」だけじゃないんでしょうか?

さて、私たちはいつまで女性を「多様な少数派」側に置いておく世界に住み続けるのでしょうか。


■「ダイバーシティ(多様性)」とは具体的に何なのか

もちろん、女性活躍推進と言われることで、女性にメリットが沢山あるということも理解しています。女性を「ダイバーシティ(多様性)」に含めることが一概に悪いとも言い切れない部分もあるでしょう。

私が運営している飲食店「佰食屋(ひゃくしょくや)」は、2018年に「新・ダイバーシティ経営企業100選」に選ばれています。2018年の該当企業は21社(100選なのに100社じゃない…!)で、京都からは2社のみでしたので、大変貴重な賞でした。

では私たち佰食屋が、どんな「ダイバーシティ(多様性)」で選ばれたのか。下記に紹介します。

高齢者(68歳から採用された方も)
障害者
介護中の方
シングルマザー
妊娠中の方
外国人留学生
35歳まで正社員で働いたことの無い男性
学習障害がある方
刑務所で服役を終えた方  など

確かに多様であり、働き辛さを抱えていらっしゃると容易に想像できると思います。しかし、このような分かりやすい対象者だけが、「ダイバーシティ(多様性)」なのでしょうか?

■そもそも誰もが「ダイバーシティ(多様性)」だから。

それでは、こんな人は「画一性」に該当する人でしょうか?

怒りっぽい人
繊細さん
忘れっぽい人
人前では緊張して何も喋れなくなる人
頻繁に寝坊する人
部屋の片づけが苦手で散らかっている人
優先座席の席を譲らない人

なんだか、「画一性」に該当するとは言えないような・・?でも、そうなると「画一性」に該当する人って、どんな人なんだろう

男性で、企業が求めるような仕事をきちんとこなし、毎日遅刻せず穏やかな性格で周囲とも上手くやっていき、コミュニケーション能力が高くて人前でそつなくプレゼンも出来て、自宅やデスクの整理整頓もできて、優先座席ではいつでも笑顔で席を譲る人。

そんな人そこらへんにおるかーーーい!
もし周囲にこんな人がいらっしゃれば、もしかするとその人は何かを隠したり我慢したりして「画一的であること」を装っているのかもしれませんね。

そう。本当は、誰もが「ダイバーシティ(多様性)」なのではないでしょうか?

そこで、なんだか腑に落ちなかった「ダイバーシティ(多様性)」に代わる、これからの時代にフィットした言葉を見つけたのでご紹介します。

■マイノリティデザインという言葉、好きです。

2021年3月3日に出版されたこちらの書籍。
「マイノリティデザインー弱さを生かせる社会をつくろう」澤田智洋 (著)

あなたが持つマイノリティ性=「苦手」や「できないこと」や「障害」や「コンプレックス」は、克服しなければならないものではなく、生かせるものだ。だれかの弱さは、だれかの強さを引き出す力だから。

この言葉の通り、誰かの「苦手」や「障害」は、新しいサービスや商品を生み出す時に必ず力になります。「必要は発明の母」という言葉の通り、世の中にはまだまだ「必要」が沢山隠れている。それを見つけ出せるのは、もしかするとあなたが持つマイノリティ性なのかもしれません。

この「マイノリティデザイン」という言葉を聞いた時、私の中でとっても腑に落ちた感覚がありました。「ダイバーシティ(多様性)」で感じた違和感を払拭できるような、そんな感覚。

私は、この「マイノリティデザイン」という言葉が好きです

下記のnoteで書籍の「はじめに」の部分が全文公開されています。ここだけで既にとっても素敵な概念であることが伺い知れますので、良ければご覧ください。ちなみに、表紙に「点字」が付いているんですよ。


もはや誰もがマイノリティ。
私もあなたもマイノリティ。

誰もが弱さを認め、尊重し、それを強みに変える世界がつくれたなら。私はそんな世界を生きていきたいと、強く思います。

女性を「ダイバーシティ(多様性)」の対象と言わない世界にするためにできること。それは、今日・明日の私たちの考え方を変えること。それだけかもしれませんね。


“ダイバーシティ”に
“女性”が含まれる違和感について、
考えようじゃないか。

株式会社minitts
代表取締役 中村朱美

Thanks!!


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