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【ホスピスで迎えた母のラストバースデー】 ~子育てや介護を卒業したわたしが、絵本セラピストとして伝えたいこと~

こんにちは!100歳図書館の事務局メンバー【ライター担当】えっちゃんこと柴田 惠津子です!

今回ご紹介する人生最高の1枚の写真
ホスピスで迎えた母のラストバースデー
~子育てや介護を卒業したわたしが、絵本セラピストとして伝えたいこと~

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こちらのお写真、皆さんはどんなお気持ちでご覧になっていますか?

持ち主は……

絵本セラピストとして活動中のキティちゃんこと、三谷 厚美さん(写真左)

2010年、ホスピスに入所していたお母さんのラストバースデーに撮影したお写真とのことで、キティちゃんにとって、とても大切なひと時だったんだろうなと想像しています。

ちなみに、ホスピスとは…… 
死を目前にした人の身体的ならびに感情的な苦しみを緩和する目的でつくられた療養所や病院のこと(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典より)

子育てや介護が一段落し、人生にぽっかり穴が開いてしまったように孤独感を感じていたというキティちゃんですが、現在は絵本セラピーという自分なりの社会貢献の形を見つけて、イキイキと活動されています。

そんな今だからこそ語れる、母と娘の親子関係への考え方入院患者とそのご家族が少しでも笑顔になれるコミュニケーション活動への価値などをお聞きします。

この写真に込められたキティちゃんの想い。
2021年2月7日 「つながる100歳図書館」で語っていただきました。
この記事では、そのエッセンスをまとめてご紹介していきます。

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声をかけることで救われる人がいる

- 絵本セラピストとして活動するまでには、どんなできごとがあったんでしょうか?

わたしの人生をふり返ると、両親のため、家族のために生きてきたように思います。

5歳のころ父の仕事の関係でドイツで過ごしたときは、ドイツ語をすぐに覚えて両親に通訳をしていたり、父が病気で倒れたときは看病をしたり、そして、この写真にあるように、母の最期のときは側でサポートしたり……といった感じです。

ホスピスという世界は、母がお世話になったからこそ知りました。

当時、母を看病するわたしは、心身的にいっぱいいっぱいになっていたのですが、そんなとき、看護師さんが「大丈夫?」とそっと声をかけてくれたんです。

私は、「うん」とうなずくことしかできませんでしたが、そのたったひと言にとても救われました。

このときに味わった言葉の力や寄りそう気持ちが、絵本セラピストとして活動する原動力になっています。


患者さんとご家族が笑顔になれる時間を大切に

- 絵本セラピストとして活動し始めたときのキティさんは、どんなお気持ちだったんでしょうか?

子育てや介護が一段落して、ぽっかり穴があいたように、孤独感を感じたり、自分の役割を見失っていたりしたんですよね。「わたしらしい生き方は何か」と考えているなかで、絵本セラピーという活動に出会いました。

絵本セラピーは、主に大人の人に絵本を読んでもらうことで、絵本の物語と自分の人生を重ね合わせてみたり、気づきを得たりしていただける活動です。

わたしは、もともとダンスをしていたので、表現することが好きでした。

母を看病中、看護師さんからかけていただいた言葉に救われたので、今度はわたしが言葉を使って表現し、患者さんをはじめ、人々が笑顔になれるひと時をお届けしたいと思っています。

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- 表現の形が、体を動かすダンスから、言葉を使う絵本セラピーに変わったんですね。実際に活動してみてどうでしたか?

活動を通して、こんな嬉しいこともありました。

それは、ある病院内で、登場人物がハグする絵本を読んだときのこと。

絵本の読み聞かせを聞いてくれたベッドの奥さまと付き添いのご主人に向かって「ご主人、奥さまにハグされてはどうでしょうか?」とお声がけをしてみたんです。

そうしたら、ご主人は恥ずかしそうにしながらも、奥さんにぎゅっとハグしてくれて。

奥さまも満面の笑顔になっていました。

さらに、お医者さんや看護師さん、掃除のおばさんも拍手してくださったんです。

わたし自身も本当に嬉しくて、「絵本と笑顔の時間」への可能性を実感しました。

辛いことも多い病院生活のなかで、少しでも笑顔になれる時間をお届けするのは、とても価値があることだと思いましたね。わたしも一緒に笑顔になれたのも幸せでした。

患者さんやご家族をはじめ、人々が笑顔になれるひと時を大切に、これからも活動していきたいです。


わたしらしく生きましょう

- 2021年現在、これからの目標はありますか?

わたしのモットーは、笑顔を届けることです。

生前の母からは「とにかく笑っていなさい。あなたに笑顔がなくなったら何も残らないでしょ」と言われつづけていたので。

キティちゃんというニックネーム通り、誰からも愛されるキャラクターを目指していきたいです。

「キティちゃんに会いたい」、「キティちゃんと話したい」と言っていただけるような人であり、笑顔につながる居場所づくりをつづけていきます!!


- キティちゃんとお母さん、とっても仲良しだったことがお写真からも伝わってきます。人によっては、お母さんと仲良くできなかったり、照れくさくて言葉を交しづらいな思ったりする方もいるかもしれないのですが、キティちゃんなら、お母さんのことをどう考えますか?

わたしが誕生したとき、母は心から喜び、愛情いっぱいに育ててくれました。なので、そのたった1回のことを、大切に想いつづけていきたいと思っています。

幼少のころから、母を助けるために生まれてきたと思っていたのもありますから、母からの愛情は、今もわたしのなかでふくらみつづけていて、誰かの笑顔につながる出番を待っています。

2020年からは、コロナによって、人とのつながりの大切さを感じることも増えました。

なので、離れていても、目の前にいなくても、想いを寄せることを大切にしていくことが大事になるんじゃないかなと思います。

そうすることで、天国にいるお母さんとも分かち合えるような気がするんです。


- 最後に、子育てや介護などが一段落して、今後の人生について考えているだろう同世代の方々に向けてメッセージがあればお願いします!

「わたしらしく生きましょう」ですね。

1人ひとり素敵な部分や魅力があるからこそ、わたしは自分のことも大好きでいたいなと思います。


- キティさん、素敵なお話をありがとうございました。子育てや介護を経て、現在もご自身の人生に役割を見出し、イキイキと活動しているキティさんに元気をもらえる方も多いのではないでしょうか。キティさんの活動と想いが、人々の笑顔につながりますように。

執筆:柴田 惠津子

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プロフ三谷さん

三谷 厚美さんプロフィール

(ニックネーム:キティちゃん)
好きな言葉は「やり方ではなく在り方」

兵庫県芦屋市在住。幼少期をドイツで過ごし、その後帰国子女を経験するなかで人との関わり方を学ぶ。子育てと趣味のジャズダンスを両立。ダンス暦は25年以上。実母の最期をホスピス病棟で過ごす。この時に「寄り添う言葉」に感銘を受け、2011年より絵本セラピストとして活動。施設など様々な場所で「絵本と笑顔の時間」を開催。現在はラジオパーソナリティとして「想いを伝える」場を提供。2021年2月7日、100歳図書館に登壇

絵本セラピスト協会
https://ehon-therapy.jp/

インターネットラジオ ゆめのたね放送局 パーソナリティ
『☆しゃべって 笑って あ~スッキリ☆』を毎週水曜 10時~放送
http://www.yumenotane.jp/swas                   

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