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#11 / TABEL株式会社 代表 薬草調合師 新田 理恵
(にった・りえ)さん 「日本中の地域の魅力と、味の魅力と、作り手さんの魅力を届けたい!」

100人カイギ & Stories 。今回は港区100人カイギの第11回にご登壇された新田 理恵
(にった・りえ)さん。日本中を飛び回るなかで見えてきたこと、薬草の面白さについてお話をお聞きしました。

新田 理恵

(にった・りえ)さんプロフィール
薬草調合師/TABEL株式会社 代表

管理栄養士であり国際中医薬膳調理師。食を古今東西の文化と学問からとらえ、すこやかで慈しみのある食卓を提案する。
2014年から日本の薬草文化のリサーチをはじめ、各地を紡ぎながら伝統茶{tabel}を立ち上げる。2018年より薬草大学NORMも開始!著書に「薬草のちから(晶文社)」がある。
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今日も薬草を探して東へ西へ・・・全国を飛び回る新田さん


ーー昨日は富山、今日は長野の上田にいらっしゃるとのことですが。

はい。ここ上田は川が市街に流れているのですけれが、川沿いにナツメの木が植えられているんです。一説には、第二次世界大戦の時に薬がない食べ物がないということですごく困られた方々が、後世に同じようなつらい思いをさせたくないからということで食べ物にも薬にもなるナツメの木を川沿いに植えていかれたという歴史があります。

そういった歴史であったり気候風土が北海道のような極寒の地から沖縄のように熱帯に近いところまで日本全国幅広くあります。その地域それぞれに植物たちも ここ好きといったものがあったりする。なのでその地域ならではの植物達と生活の知恵が結びついて今の風景だったり暮らしや習慣を作ってるっていうのはすごく面白いですね。旅に出るといろんなものが見えてきます。

農業で稼ぐのはなかなか厳しい。たくさんの方が作ってらっしゃる作物だと差別化しにくいしもう相場も決まっているし難しいところがあって。
付加価値のあるものを作ると自分たちで価格もある程度決められる。といったところがあります。いろいろな地域を見るたびに思うのですがそれぞれ良いものはたくさんある。親しみのある経済を地域に循環させたいという気持ちが強くなりました。
何かそういった国内フェアトレードのような、もっとサスティナブルなといいますか、作る人が幸せになる状況もちゃんと作りたいなと思ってます。
やっぱり作る人も飲んでくださる方も大事にできるような関係性を新たに築けていけたらなという気持ちでやっています。飲んでくださる方も一緒に旅をしてるみたいで楽しいって喜んでくださるのも嬉しいです。

新田さんはなぜ薬草にはまったのか。


ーー なぜ薬草に行かれたというか興味をもたれたきっかけをおしえてください。

はい。さかのぼってもいいですか?私は大阪・鶴橋にある昔ながらの市場の中に生まれ育っていて実家がパン屋なんです。いわゆる昭和のパン屋さんで、おじいちゃんが創業して、お父さんが継いでという環境で生まれていていわゆる市街にあるような商店街というよりも、もっと築地に近い雰囲気というか専門的な市場だったので食に関するお仕事をされてる人が多い環境で育ったからなのか、食べることがとても好きな子だったんです。

そんななか身近な人たちが体調を崩すという出来事がありました。食べるってすごく大事だし、自分たちの人生や体を作ってくれるものなんだけれども、大事がゆえに使い方を間違えると凶器になってしまう。命にも関わるぐらい恐ろしいものにもなってしまうというのを痛感する時期がありまして。

食べるという漢字は「人」を「良」くすると分解することができますよね。食べることで人が元気になったり、良くなっていくような食卓が1回でも増えたらいいのにという気持ちが湧いたんです。

そこから管理栄養士を目指して大学で勉強をはじめました。資格を取得を目指していく中で、管理栄養士さんって学校給食とか病院で不特定多数の人の食事管理をするのですがそういった集団の人たちに対してはすごく優れた学問だけれども一人一人の体調や体質も全然違うなかで 同じ人であっても、今日はお腹がちょっと重たいなとか、今日は疲れやすいなとか、いろんな日があるので、もっと寄り添いたいという気持ちがあって、もっと柔軟に 栄養をとることができないかなと、その人の体質に寄り添う食事ができないかなと考えていました。大学の授業で一コマだけ 薬膳の勉強があったんですが一人一人の体質、季節に合わせ食材や調理法まで選んでいく。栄養学と薬膳ってそれぞれキャラクターや得意分野が違うので栄養学で大枠をやって薬膳で一人一人に合わせる。両方を合わせたらとても良いと思いました。

思いや疑問が出発点。フットワークが功を奏す


ーーーそこから薬膳への興味が芽生えたのですね。

社会人になって横浜に住んでいた当時、おなかに優しいお茶が自分の体質にあってるので蓮の葉茶を横浜中華街で買って飲んでいたのですが 、蓮ってこれだけ日本にも生えてるのに、なんで輸入しているんだろう?日本の蓮では作れないのかな?といった素朴な疑問が生まれました。

そこで蓮の農家さんに連絡を取ってとりあえず話を聞きに行ってみようというすごく軽い気持ちで熊本県に行きまして、 たまたま見つけ、尋ねたのが熊本の農家さんだったんです。

作業されている方がみなさんとても仲が良さそうで幸せな雰囲気の農家さんでした。行ってみてわかったのですが、蓮って現在日本で栽培されているものは9割以上が外来種になっていたのです。その方が 収穫しやすいし大きく育つ、早く収穫できるとかいろいろメリットもあるんですけれども、その熊本の農家さんは頑張って熊本県の在来種を守っている農家さんだったんです。

ーーなんと!素晴らしいご縁ですね。

そんなビギナーズラックがあって 日本の薬用植物はものすごく面白いじゃないかと。それはどうやら薬草と呼ばれているらしい。となってくると薬草というキーワードでいろんな町に出かけていくことに。 薬草は街中にいるとなかなか出会うことは少ない、そんなに売ってるものでもないけれどだんだん気づいて、見えてきたんですよね。

在来種って蓮の場合、在来種は外来種よりも栽培に時間がかかるし手間暇かかるし小ぶりなものしかできないけれどもその分栄養がギュッと詰まっていてすごく味も濃くてむちゃくちゃ美味しいんです。葉っぱをいただいて自分でお茶にすると美味しいのができてしまって今まで飲んでいた蓮の葉茶はなんだったんだろう!?という気持ちになりました。
すごく素敵な思いで生産されていて素敵な薬草があるのに全然知らなかったっていう、驚きと出会いの連続だったんです。そして生産者の皆さん本当にお優しいんです!100個と少ない量からでもオリジナルの商品作れますよとおっしゃってくださいました。

とびきり美味しい在来種の蓮という最高すぎる素材にいきなり出会ってしまったということもあり、せっかくこれだけ面白い薬草だから、私だけで知ってるのはもったいないなという気持ちになりました。一緒に楽しんでくれそうな人や喜んでくれる人の顔も浮かびました。やっぱり飲んで実際味わってみるってことがすごく大事だなと思ったんです。それで形にしてみたいなと。

時期は整った!起業のタイミングは突然に・・・

ーー素敵なものを見つけたら。もっとみなさんにも知ってほしいですよね!

はい。お茶を作ってみようと思った時に、ラッキーにもタイミングが全部整うかのような2つの出来事が起こりました。一つは友達が結婚するので100ぐらいの引き出物を探していて、一緒にオリジナルお茶を作る事になり、チャンスとオーダーをいただけました。そして、同時期にでたまたまクラウドファンディングの宣伝のメールが届き、今ちょうど食に関するプロジェクトを募集していて手数料が安いのですがやってみませんかとうような内容でした。  私は誰かにお願いをするのが下手なタイプなので、クラファンは一生縁がないと思っていたのですけど、でもよく考えてみたら、「こんな面白いものを見つけたよ!」ってみんなで楽しむための行動を起こすための旗をあげる、知っていただく、というところですごく良い仕組みなのかもしれないなと。「薬草文化をこれからも未来に繋げていきたい。」と思った時に、私だけで楽しんでいても未来は変わらない。一緒に楽しんでくださる当事者を増やしたかったという気持ちもありました。応援してくれる人たちを巻き込んで、仲間になっていただけるくらいの取り組みができたら良いなと始めました。  
蓮の葉と出会ったのは2014年のゴールデンウィーク。友達の結婚式がその2ヶ月後の7月にあったので、その2ヶ月の間にクラファンをやって、デザインやプロダクトを作って立ち上げるというのを一気にやってしまいました。 もともと起業する気など全くなかったのですが、出会ってしまったんですね。

薬草にかける思い・商品にかける思い

ーー私も口に入れるものにはこだわります。なるべく良いものをと・・・

やっぱり口に入れる食べ物飲み物だったりするので自分たちも安心して食べたいし、誰かにプレゼントをすときには全力の信頼を得ておすすめができるものを心を込めて贈れる物の方がいいなと思うので、農薬・化学肥料は使ってない材料をなるべく選ぶようにしています。基本的には、国産のもので製造しています。

100人カイギの印象


ーー新田さんにとって100人カイギとはどんな会でしょう?

100人カイギさんはいろんな場所でやっておられるので、働いてる場所や住んでいる場所でお声がかかりました。ご関心のある方は社会であったりだとか、共通の価値観みたいなところをお持ちなの方だなと思いまして参加者とお話していてすごく安心感があるといいますか、フットワークの軽い方も多いので、お話ししていても楽しいですし、0から何か一緒にできそうなこともあるのですごく嬉しいですね。

登壇して何年も経ってからでもまたこうやってお声掛けいただいたり、 実際に一つの場所があるというよりは何か心の拠りどころじゃないですけども共通認識の中で共有できる場になってるんだということはしみじみ感じています。

日本中の薬草を探求してきた新田さんのこだわりの薬草茶が11月3日、4日に目黒で開催される100人カイギマーケットで味わえる!購入できる!


ーー新田さんの薬草茶を実際に是非飲んでみたいです。

100人カイギマルシェでは商品として買っていただくこともできますし、テイクアウトドリンクとして一杯単位でも 提供しようと思ってます。やっぱりねいろいろ飲んでみたいだろうなというのがまずあると思いますので。
お茶やコーラ、ジンジャーエール等々いろいろお持ちしますね。皆さんが飲んで元気になる地域の魅力と味の魅力と作り手さんの魅力がつまった自慢の商品です。是非100人カイギマーケット tabel のブースへお運びください!

会社創立10周年に向けて、ただいま書籍準備中


ーー日本中、45都道府県はもう薬草リサーチがある程度終わってきているとうかがいましたが

やりたいことは星の数ほどありますがtabelはもうすぐ創業10周年になるのでそこに合わせて薬草の研究と探求をまとめた47都道府県の薬草エピソードを書籍としてまとめたいなと思ってます。地域ならではの植物達と生活の知恵が結びついた現代まで伝わる先人の知恵がたくさん詰まった本になります。

旅に出るたび好きな町が増え続ける新田さん。素敵な地域がたくさんあるので定住先に悩まれているご様子。今後も落ち着くことなく日本中を飛び回りそうですね。新田さんの薬草探しの冒険。これからも楽しみです。
描く未来は楽しく地域課題の解決につながる事業がたくさん!作り手も購入者もみんなが幸せになり親しみのある経済を地域に循環させたいとおっしゃいます。11月3日、4日、目黒で開催される100人カイギマーケットは薬草茶を味わえるチャンス!お誘い合わせのうえ是非ご来場ください。

聞き手:今川智広
文:今川智広
写真:新田 理恵さん

100人カイギ & stories ライター

今川 智広(いまがわ ちひろ)
文京区100人カイギ代表。岩手、沖縄をルーツに持つ、東京生まれの茨城育ち。
趣味は引っ越しと、多種多様なキャリアチェンジ。
都内各所を転々としながら子育てを経験し、下町っぽさ×新しい文化が混在する地域に好んで暮らす。
『誰もがやりたいことができる社会』を見たくて、市民大学「東京山の上大学」共同代表、間もなく終了してしまう文京区100人カイギの後続団体「みらふぃる」にて活動を全国に広げ、ゆるやかな紐帯である「スナック超越」を都内各所で気まぐれ開店。

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