「目からビームを出す俺」について(2022.11.1の日記)
出勤時、途中の商業施設駐車場で一休みするのがルーティンになっている。
今朝もそうしていたら隣におばちゃんたちの乗った車が2台停まった。
どうやら1台に乗り合わせて出かけるらしく、わいわい言いながら荷物を載せ替えている。何だか楽しそうではあるが、わざわざ他人の車の真横でやることじゃない。空いたスペースはいくらもある。
「ゴン!」とかなったら「おいおい、まじかよ」とか言って出て行かねばならないだろうし、そうなるとあまりの面倒くささに目からビームが出てしまうかもしれない。ビームを出すと大変疲れるから嫌だ。極力出したくない。
若い頃には「ビームを出せる俺」に酔うところもあったが、もはやそんな年でもない。目からビームなんか出したって、いいことは何もない。
大事なことだからもう一度言っておく。
目からビームなんか出したって、いいことは何もない。
そういうわけでもやもやハラハラしながら、何事もなく出て行ってくれますようにと祈っていたら、間もなくおばちゃんたちはどこかへ出かけていった。
自分は「ああ、よかったよ。危ないところだったよ、油断も隙もあったもんじゃぁないぜ」と言って出社し、仕事をして帰った。
※
独身時代、アパートの駐車場前で知らないおばさんの運転する軽に追突されたことがある。
追突といっても「コッツン」ぐらいのソフトな当たり方で、面倒なので車を降りずに先方が来るのを待っていたが、どうしたことか相手は一向に降りてこない。
ミラーで見ると、おばさんはしっかりハンドルを握って前方を凝視している。のみならず、アクセルを踏んでぐいぐい押してくるようでもある。
驚いて車を路肩に寄せたら、そのままブォーンと去っていった。
いい年をして一体何という不まじめなおばさんだろうかと呆れ返ったが、ちょうど出てきた大家さんと立ち話をしていたらまた戻ってきた。
おばさんは今度は車を降りて、「あのぉ、さっきはごめんなさいね。人に会う約束があって、気が動転して…」みたいなことを言い出した。
約束していた相手に、Dさん(アパートの大家)の所の人と揉めるのはまずいからすぐ謝ってこいと言われたそうだ。
おばさんは「ごめんなさい」としきりに繰り返し、これでなんとか許してください、と1万円を出してきた。
自分の車は小傷だらけで、「コッツン」ぐらいではどこに当たったのかもわからない有り様だったから、それで手打ちにした。
おばさんはすっきりした様子で去っていき、大家さんは「あんたは欲がないなぁ!」と言った。
よかったらコーヒーを奢ってください。ブレンドでいいです。