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蜂殺し、徒競走のアドバイス

 近頃の小学校の運動会は児童が椅子に座って観戦するけれど、自分らが子供だった頃は地べたへ直に座らされていた。

 小3の時、その観戦席(地べた)へ、蜂が一匹飛んできた。
「おわっ、蜂じゃ!」「うわっ!」とか騒ぎながら、みんなで矢継ぎ早に砂を被せて、あっという間に砂山ができあがった。蜂は埋もれて、出てくる気配はない。何だか呆気ない気がしたが、やっつけたという達成感があった。
 そこへ担任が仏頂面で現れて、「砂遊びをすな!」と駄洒落のようなことを言った。
「蜂がおったけ、埋めたんよ」と誰かが言うと、担任は砂山を足で崩した。そうして蜂が砂まみれでよたよた出てきたところを、踏みにじって殺害した。
 全体、この担任は平然と依怙贔屓するようなろくでなしだったから、蜂が何だか可哀想に思われた。

 小4までは徒競走でいつも最下位かケツ2だった。
 ある時、観戦に来ていた隣家のおじさんが「今年は5位でも、来年4位になればええ。4位になったら再来年3位になればええ。そうやって1個ずつ上がっていけばええんよ」とアドバイスをくれた。こちらは1個ずつすら上がれないから嫌なので、そんなことを言われたってどうしていいかわからない、と思いながら「はい」と言ったのを覚えている。

 小5から急に足が速くなって、以降は2位とか1位が普通になった。おじさんのアドバイスとは関係ないと思っている。

よかったらコーヒーを奢ってください。ブレンドでいいです。