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猛毒文書

 19の頃に詩を書いたノートが、中を見ると恥ずかしさで死にたくなる猛毒文書に変容していた。それでも思い入れがあってずっと捨てられずにきたけれど、最近ようやく意を決して処分した。

 数ページしか使っていなかったから、使ったページと、タイトル――『心の叫び』――が書かれた表紙だけを破り取って、念入りに切り刻んでおいた。
 刻んでいる間は果たしてそれなりに感慨深く、「俺、こんな詩を書いたんだよ」と友人らに得意げに語ったことなどを思い出していよいよ死にたくなった。やっぱり猛毒だと得心した。

 残ったページは写経に使っている。
 コクヨのキャンパスノートだけれど今のものより紙が何だかざらっとしているようで、あんまり好きな書き心地ではない。ただ、最近のキャンパスノートを使う機会はほとんどないから、単なる気のせいかも知れない。


よかったらコーヒーを奢ってください。ブレンドでいいです。