桜と尻
自分の通った高校は正門の前に大きなドブがあった。
春にはどす黒い水面に桜の花びらが浮かんで、いよいよ汚く見えた。全体、あんなに汚い桜は見たことがない。
いつも汚い水が淀んでいたから、夏は云うに及ばず、冬でも蚊が多かった。
当時自分は故あっていつも随分早くに登校し、大体毎朝学校の個室トイレで用を足していたのだけれど、ある時トイレから出ると何だかやたらに尻がかゆい。教室に戻るとますますかゆい。もう一度トイレに行って確認したら、尻を数カ所蚊に食われていた。
かゆみ止めの薬なんて持ち歩かないから、周りの目を気にしながら時々尻を搔いていた。一限目が終わる頃にようやくかゆみが退いた。
以来、学校の個室トイレはずっと手で尻をさすったり払ったりしながら使うことにした。これが功を奏したようで、再び尻を刺されることはなかった。
このように、高校時代は恥ずかしいばかりで、あんまりいい記憶がない。
大学4年の時に母校へ教育実習の申し込みに行ったけれど、そういうのを色々思い出して嫌になったから、手続きした後でやっぱり断った。
よかったらコーヒーを奢ってください。ブレンドでいいです。