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野菜炒めと神隠し(2023/05/20)

 7時前に起床したら、既に娘が起きて何やら料理していた。

「何を作っているのだね?」
「何か、炒め物。昨日お母さんと約束した」
 そう言って玉ねぎとかにんじんを切っている。

 それはいいねと云って外でうさぎのケージを洗っていたら、「炒め物は加熱メニューのどれでやればいい?」と娘が訊いてきた。うちのキッチンはクッキングヒーターなので、強火弱火の他に焼き物とかいくつか加熱メニューがあるのだ。
 やがて妻も起きてきて、娘の朝ごはんも出来上がった。
 野菜炒めは果たして、にんじんと玉ねぎが半生だった。
「ちょっと切り方が太過ぎたね。あと、火の通りにくいものから先に炒めるといいよ」と妻が言う。

 娘の踊りの稽古に付き添った帰り、図書館へ行きたいというから連れて行った。
 自分も何冊かパラパラやって、そろそろいい頃合いだろうと思ったら娘の姿が見当たらない。館内を2周したが、どうにも見つからない。
 足を投げ出して本を読む同じ年頃の女の子が一人おり、遠くから眺めて——あんまりじろじろ見て事案になってもいけないので——、あんな服だったろうかと考えてみたが、多分違う。よく考えたら自分は娘が今日どんな服を着ていたか覚えていなかった。
 四国であった未解決の子供失踪事件などが頭によぎって不安になってきたところへ、背後から娘が現れた。
 ずっと子供用読書席の端にいたのだと云う。

よかったらコーヒーを奢ってください。ブレンドでいいです。