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疑心暗鬼、相乗効果(2023/03/01の日記)

 朝一番で社長から呼び出しがあった。

 行ってみると、Q社向けに立ち上げ中の製品で問題があって根本的な変更のお願いをしなければならなくなったのだという。

 Q社は畜山生太郎(ちくやま・しょうたろう)から引き継いで以降、トラブル続きだ。必ずしも畜山が悪いわけでもないが、経営陣の中では畜山が悪いことになっている。まぁそれについては当人の不徳の致すところだから、こちらも特に否定する気はない。

 そうして「この件は畜山に幕引きさせる」と同席していたイゴールさんが云うから、だったらいいやと思っておいた。

 ほどなく、自分と入れ替わりに呼ばれた畜山が憤懣やる方ない様子で戻ってきて、「Q社の件、聞いたかい?」と云った。

「Q社への詫びには、2人で行けってさ」
「は?」
「この件は仕入先の問題で、うちに非はないから役員が行くことじゃないって」
「…」
「まったく、耳を疑ったよ。経営者2人揃ってこの調子なのだからね」

 それに近しいことを云ったのは自分も聞いているが、どうもニュアンスが違うように思う。
 畜山には元来、他人の言葉をネガティブに解釈する癖がある。勝手に曲解して勝手に怒り出すから始末が悪い。それもあって他部署へ異動になったわけだが、この異動に対する「頑張ったのに認められなかった」感から、いよいよおかしなことになっている。
 元々の気質と社長の評価基準――何をやったかよりも誰がやったかで判断する――が劇的な化学反応を起こして、どうにも手が付けられない。こちらにしてみれば、なにしろ邪魔でいけない。実に救いがないが、救うつもりもない。

 そんな畜山と、明日・明後日は出張だ。

よかったらコーヒーを奢ってください。ブレンドでいいです。