ケイト・ブッシュ、焼肉

　文章を書くことで、小遣い銭程度でも稼げないかと随分前から考えているけれど、ここで今日から有料ですよとやったって読まれなくなるだけだろうと、おおよそ察しがつく。　
　それでKindleから電子書籍を出すつもりで、過去に書いた文章のピックアップと加筆を半年ぐらい前から進めている。　
　今日は少し時間が取れたので改めて見返したら、これはそもそもどうなのかというようなのが随分混じっていると気が付いた。
　加筆以前にテーマが悪い。悪ふざけの域を出ていない。これでお金を取るのは何だか不真面目に思える。など。
　そういう作品をバサリバサリと切り捨てて、改めて掲載順を考えるうち、昔ケイト・ブッシュのベストセレクションを作ったことを思い出した。

　大学時代、ケイト・ブッシュの音楽に随分ハマった。
　バイト先のCD屋でBOXセットを注文し、そこからマイベストセレクションを作った。90年代の前半だったから、カセットテープである。
　ベストセレクションというのは単に好きな曲を選ぶだけでは駄目で、それをどう並べるかが肝要だ。カセットテープではスキップやランダム再生ができないから、なおさら曲順は大切だ。
　古い曲から順に並べて終わりにする人もあるけれど、それでは一向面白くない。
　この時作ったカセットは、曲順が甚だ上手くできたと記憶している。残念ながらもう随分昔のことだから、どの曲をどう並べたかは忘れてしまった。ただ上手くできたと覚えているきりである。
　外出時にはいつもこのカセットを聴いていた。
　あの時分、下宿から駅まで行く間に焼肉屋があって、いつもいい匂いがした。だから今でも焼肉の匂いを嗅ぐと、頭の中でケイト・ブッシュが流れ出す。

　その店ではないけれど、やっぱり大学時代に友人らと焼肉をしたことがある。
　中の一人がミノばかり食っていると思ったら、じきに脂肪肝を患った。
　あいつはミノばっかり食うからそうなったのだとみんなが云うのを聞いて、そういうものかとその時は得心したけれど、ミノは脂肪の少ない部位だと後から知った。
　存外みんな、知ったようなことを云う。