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夜は短し疾走(はし)れよオッサン。



サイクリングやってるんですけどね、最近。


毎日とは言わないけど週三~四、それもだいたい仕事終わりの夜中の九時とか十時とか。



サイクリングつっても、そんな大したもんじゃないんですよ。
チャリンコだって”ルッククロス”とかいうクロスバイク風のママチャリだし、格好だって黒のTシャツに黒ジャージの下とかいういつもの不審者ファッションだし、走る距離もせいぜい八キロそこらですし。


(※一応言っとくと、自転車のライトだけは思いっきり明るくしています。何ならウォーキングのじいちゃんばあちゃん見習って反射板も買おうかと思ってる今日このごろ)


要するに、
”メットにミラーグラス着用でキメて、クロスバイクで風切ってシャーッと何十キロも走る”
だなんて世間のイメージには程遠い行為なんすわ。
ただ単に、黒い服のオッサンが夜道でチャリンコこいでるだけ。あれ、なにコレ事案?
(というか、前も同じような話をした気がする




それもこれもね、三十路を越えてからこの方、どうにも気になってきたからなんですわ。体型やら体力の衰えやらが。
高校時代なんかは往復三十キロをほぼ毎日チャリンコで通学していたというのに。おかげでチャリンコ三台は乗りつぶしたと思います。なんもかんもクソ田舎に生まれたのが悪い。


で、やらない善よりやる偽善、小さな事からコツコツとってな西川きよし師匠へのリスペクトをこめてですね。
とりあえずやってみようって思って、先月くらいから始めてるんですよ。サイクリング。
あの日の己を取り戻せ、ついでに愛も取り戻せってな具合にね。テーレッテー。



― ― ―



さて、マンションの駐輪場から愛機のベルゼルガ(青いチャリンコ)を引っぱり出して、チンタラチンタラペダルを漕いでは、やってきました河川敷。
ホームコースの自転車道、片道二キロそこらなり。

で、ふだん重めに設定してあるギアを、あえて少し軽めにする。なんか聞いた話だと、回転数あげるほうが運動になるらしいので。


こっからが本番ですよ。


右足に力をグッとこめてペダルを一漕ぎ、上がってきた左ペダルをもいっかい踏みしめて二漕ぎ。
あとは慣性運動のエンドレス。動かぬ鉄塊だったベルゼルガが、あっという間に蒼い風。


己のツインカム(両脚)が逝かない限りはどこまででもイケる気分になりますね。
”バキ”の某暴走族特攻隊長よろしく、750CC(ナナハン)の単車ぶつけられようが



「だったらイケるぜ!!!!!」



ってな気分。
ゴメン言い過ぎた。イケるっていうか普通に逝くわ。ナナハンぶつけられでもした日にゃあ。



まーでもね、ペダル漕いでるうちにちょっと気持ちよくなってくるのは事実なんですよ。


何が気持ちいいって?
スピード?風を切る感覚?運動してる俺カッケー?
全部違いますね。いやいやそんな小洒落たモンじゃないんですよ。


答えはですよ、熱。
カラダ動かしてるうちに自分のカラダが熱を帯びてくるあの感覚、あれがイイんすわ。
特に首の後ろがカァーッて熱くなって汗が流れはじめるあの瞬間、あれがたまんねえ。
あの瞬間はいっつも思いますね。




「ああー!俺運動してるゥー!!内燃機関に燃料ブチこんで悪いモン燃やしまくっちゃってるゥー!!!!ンヒィーーーデトックスゥゥーーーーー!!!!!」




ってね。
いや、これはネタ抜きにマジで言ってるんですよ。
運動でカラダが熱を帯びるのって、長年忘れてましたけど普通に気持ちいいんですよね。いや本当。


それから、ペダルを漕いでる最中は風を受けてるからそこまで熱くないですけどね。


サイクリングが終わって一度止まったら、その途端に体内のアフターバーナー全点火ですよ。
五体がきかんしゃトーマスのようにシュシュポッポ、気分は”ギア2”お披露目時のルフィのそれ。
この瞬間のためだけに、ツインカムを駆使してベルゼルガを夜闇に駆動させている(=両脚酷使して夜中にママチャリ漕ぎたおしている)と言っても過言ではないですね、ええ。


まあ、主観的にはギア2時の麦わら小僧でも、客観的にはゼッヘヘーゼッヘヘー息切らしてる黒ずくめ汗みずくのオッサンなんですが。やっぱり事案じゃねえか。




ところで、”自転車道(サイクリングロード)”つっても自分が勝手に呼んでるだけでして。


どっちかというと、本来の用途は”ジョギングコース”なんですよ。
ジョギングなりウォーキングなりに使ってる人がマジョリティ、あとは通勤通学でチャリンコ漕ぐ人がそこそこ。だいたいそんなところかと。


だったらお前もジョギングすればいいだろって?
バカ言わんでくださいよ。それこそ本当に逝きますわ。
こちとら運動不足の三十路なんですよ。そんな軟弱バディが二本の脚で走り続けようもんなら、たちまち膝に爆弾抱えたボンバーマンの一丁上がりですよ。バゥアーイ、ハドソン(ムダにダンディな声のCM)。


しかしそこは昔とった杵柄(きねづか)、チャリンコならば慣れていますしジョギングほど負担もかからない。
それに通勤通学や買い物でチャリンコ漕いでる人もいくらだっているんだし、そこでチャリンコ漕ぐことはちっともおかしなマネではないはず。


そう思ってね、近所の河川敷のジョギングコースに目をつけて、”サイクリングロード”と称して夜な夜なチャリンコで爆走してる次第なんですが。



ちょいとねー、困ったことがあるんですわ。



サイクリングロードは片道二キロ、そいつを二往復がいつものセットなんですけどね。
往復する以上はもと来た道を戻らにゃならんのですよ、当たり前の話ですが。


で、片道二キロ終えたらば、その場で転回して引き返す。



そしたらね、相対するしかないんですよ。



自分が追い抜いてきた人たちに。



これがジョギング嗜んでる人ならね、相手もなんも気にしないんですよ。


「ああ、ジョギングやってる人だわーがんばれー」


くらいのもんでしょうね、せいぜい。



やっぱね、ジョギングとかウォーキングやる人はいいですね。恵まれてますね。
とっくに完成されてますもん、”同じコースをグルグル回ってナンボ”っていう社会通念が。


しかしこっちはチャリンカー、おんなじところをグールグルなんて社会通念一切ナシ。
しかもメットやグラスの装備もなければチャリンコもガチのクロスバイクじゃない、ただ黒ずくめのオッサンが青いチャリンコ漕いでるだけ。


たぶんね、追い越された人はせいぜいこんくらいにしか思ってなかったはずですよ。



「そこら辺の近所のヤツだろうな、しかしやたら力(リキ)入れてチャリ漕いでるわー」



それがアンタ、しばらくしたらそいつがトンボ返りキメてきやがんの。
しかもゼッヘヘーゼッヘヘーいいながら必至の形相で。



うん、わかってる。わかってますとも。
この行為が人様からどういう目で見られるか、よっく存じてるつもりです。
でも仕方ないんですよ、すべては自分にできる範囲での運動のためなんですから。




だからね。




俺が戻ってくるなり
「うおぅッッ!!」
てビビり倒した反射板が激マブなウォーキングのおっちゃん。



それまでの談笑をやめて、
「うわっ、また戻ってきたし」
つって道を譲られた自転車下校中の女子学生の皆様。



それまでいいムードだったのをこちらがブチ壊したのか、チャリンコに乗ってる自分にまで聞こえるほどのデカイ音で



「・・・・・・チッッッ!!!」



って舌打ちをかました、河川敷の石段に腰掛けてたカップルの彼氏。






やさしくしてくれとは言わねえ。









せめて、放っといちゃくれねえか。





― ― ―



さて、書き終えたはいいが、今23時前ってところですか。

いつもなら仕事に備えて明日の準備するとこだけど、明日は日曜、仕事はない。

それに、夜は夜でも熱帯夜、汗はイヤでもかく気温。

なによりこの時間帯ならば、そうそう人もいないはず。





・・・・・・








行っちゃいますか、ひとっ走り!!!!!





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