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開催報告☆女性達で考える避難所でおきる性犯罪対策ミーティング

みなさん、こんにちは!
百年防災社スタッフの小西です。
今日は避難所でおきる性犯罪をテーマに書きます。

避難所と避難生活
避難所は地域で指定された小学校・中学校・高校になることがほとんどです。
多くの人が始まり、集団生活をすることになる避難所。
まだまだ多くの避難所では、テントなどでプライバシーが守られた避難所は少なく、段ボールや布で仕切られた避難所が多いのが実情です。

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(引用:毎日新聞2020/1/18 16:00記事より)

食料不足やライフラインの停止、お風呂にも入れず、自分の臭いや痒み、そして他人の臭いやいびき…など、被災のショックに続き、非日常生活が続きます。

誰でも、日常生活の中でもストレスが増えれば、イライラしたり、人に当たってしまう事もありますよね。

このような環境の中で発生しやすくなるのが、泥棒やケンカ、暴力などの犯罪です。そして、性犯罪も起きやすくなります。

子どもを持つ母として、性犯罪について危機感はあるものの、何が問題で、どう対策をとっていいのか漠然としていました。

女性達で話してみよう!
そんな中、葛西と共に、日常的に地域で復興支援や防災活動されている女性達と性犯罪に危機感を持つママ達で、Zoomミーティングを企画しました!

参加してくださったのは、下記の方々です。
・特定非営利活動法人U.grandma Japan 代表理事 松島陽子さん
・こども食堂青空運営 中村幸恵さん(防災士)
・東新小岩7丁目町会市民消火隊 大河原光子さん(防災士)
・特定非営利活動法人 宇和島NPOセンター 代表谷本友子さん、林 昭子さん
・学校支援員 大倉かよこさん
・葛飾未来食ネットワーク 山本弥生さん
・川辺復興プロジェクトあるく 代表槙原聡美さん
・そらはなbase(任意団体)、特別支援学校PTA防災安全部 吉川理恵さん(※レポート参加)
※順不同

また、当日参加が叶わなくなってしまったレポート参加の吉川さんからは、お子さんが特別支援学校に通われている事から、知的障がい・発達障がいを抱えたお子さんの被災時の不安について、ご意見を寄せてくださいました。

障がいを抱える子ども達が、被害の対象になりやすいことや、被災時では日常と違う生活に、不眠などによる体調不良や、問題行動が起こりやすくなることなどを挙げてくださいました。

吉川さんからは「福祉避難所をもっと増やしてほしい、あるいは避難所に福祉スペースを確保していただいて、福祉スペースがない場合なども、どこに避難しても障がいや難病を持つ方も避難するということを、避難するすべての人に理解していただけると私たちは安心して避難ができます。」というメッセージをいただき、福祉の観点からの避難所運営や性犯罪への対策について視点をえることもできました。

避難所ではどのような性犯罪が起きる?
当日は避難所について、避難所で起きる性犯罪の事例を紹介致しました。
避難所で起きる性犯罪のケースは下記の通りです。
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ケース
●毛布に入ってくる
●「生活に困っているだろうから家においで、食料をあげる」と言われ、
 支援をする見返りとして性的な行為を要求される

●トイレなどが暗い場所にあり、そこで暴力を受ける

●見知らぬ男性が知らぬ間に隣にきて体を触る

●避難所に更衣する場所がないので更衣室をダンボールで作ったところ上からのぞかれた。その更衣室を使うときは見張りを立てるようにした。(13〜16歳女子)

●避難所で成人男性からキスしてと言われた。トイレまでついてくる。着替えをのぞかれる。母親を含めて誰にも知られたくない。加害者が避難所にいられなくしてほしい。(6 〜12 歳女子)

●授乳しているのを男性にじっと見られる。警察に連絡したら巡回の回数が増やされた。その後、授乳スペースが設けられた。(30 代女性)
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(引用元:アウトドア流防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』痴漢防止アプリで避難所を性暴力から守る!)


このような事例を共有させていただき、皆さんで質疑やディスカッションを行いました。

様々な角度からだされた対策
出てきた対策は下記の通りです。

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被災したその現場・災害時と、その手前でできる災害対策を考える時にできること、もっと手前の平常時でできる事の3つに分けました。

ミーティングを通して、性という問題は、日本の中でタブーな事だったり、性については、「恥ずかしいもの」という認識が強いことを改めて認識しました。
女性も男性も性について触れにくい、という風潮が、対策の遅れに繋がっているとも言えます。

性犯罪被害から守るためにも、もっとオープンに性犯罪やジェンダーについて考える場が増えていく必要がありそうです。

「防犯・防災は平時から」なので、日常的に、そして避難訓練や避難所運営マニュアルを作成する時に、積極的に女性が参加して避難所作りに関わっていくことの大切さ、そして、ジェンダー問題の視点からも、障害を持つ方、学生などの若い方やLGBTQの方、ペットを飼っている方、子育て世代から、高齢の方など、色々な立場の方が地域の防災に関わっていくことも大事だと痛感しました。


犯罪や被災は他人事?自分ごとにするには?
ただ、性犯罪もしかり、防災の事についても「自分事として感じてもらう」ここが一番難しい問題でもあります。

防災についても、多くの方は、いつかの時の事という風潮。被災する事自体も、多くの方は「誰か」が経験することなのです。
自分ごとにしていただくためにも継続して、性犯罪や防災について、ミーティングの場を設けていきたいと思います。

また、実際に地域で活動している参加者の皆さんが、どのようにして人を巻き込みながら問題解決にあたったり、活動をされているのかも、解決のヒントになりそうです。

対策のまとめ
短期的な対策としては、「避難所で出来ること」としてあげられた防犯アプリの導入や、各避難所でのトイレの場所や構造が閉鎖的になっていないかを確認したり、LINEでの相談用グループを作成したりすることが考えられます。

中期的な対策としては、各地域で避難所運営マニュアルを作成する、避難訓練をする際に、なるべくあらゆる世代、ジェンダー問わず多くの方に参加してもらう機会を創っていく。

もう一つは、長期的には性教育が大変重要になってくるだろうと思います。
学校支援員でもあり、性教育に関心の高い参加者の大倉さんからも「自分の体は自分のもので大切なもの、NO(嫌なこと、やめてほしいこと)に理由はいらないということをことあるごとに子どもに話しています。」とコメントを頂きました。
長期的にでも、これからの若い世代に対しての性教育が社会を変えるきっかけになると思います。


今回、このような機会をきっかけに、参加者の大河原光子さんは、ご自身のクラブハウスで、性犯罪・ジェンダー問題について考えるミーティングを開催されていました。
私も参加させていただきましたが、非常に活発な議論が展開されていました。
一部をご紹介します。
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痴漢抑止活動センターの松永弥生代表からは、
“男性が避難所での性犯罪が他人事になってしまうのは、日常の電車の中でも男性が痴漢を見たことがない、というのと一緒。またAVやアニメによる1つのコンテンツと捉えてしまうために、自分ごととして捉えにくい。”
“避難所での性犯罪は、ストレス発散の形であって、性欲からの行動とも違う。”

地域で町会活動に参加している防災士の男性からは、
“事前に避難所運営が始まる前に、普段からのコミュニケーションが必要で、男女問わず、運営に関わるのが望ましい。物資を配布するにも年配の男性が、生理用品を配布していたら、若い女性は物資をもらいに行けない事もある。”

ニューヨーク在住の女性からは
“ニューヨークでは、犯罪が起きると知らせてくれるアプリがあって、犯罪内容と顔写真が見れるようになっている。怖いけど内容を見て見ると性犯罪は男性のイメージがあるが、女性が恐ろしい犯罪を侵して、普通に街に暮らしていることが分かった。
臭い物に蓋をする文化があるけど、性犯罪があること自体も隠れてしまうので、あえて、臭いものの中身を見てみようという意識改革も必要ではないか。”

参加していた女性からは、
“人権教育とも言える性の問題。いじめなどにも共通するヒエラルキーなどの差別意識が埋め込まれている。この差別意識が、他人への攻撃や、あらゆる暴力につながるのだから、自分の平穏は自分で保つことが大事ではないか。”

映像業界で働く女性からは、
“AV業界での「いや」と言っているのは「してほしい」と同義語、といった解釈に違和感を持っている。”

という意見に対し、松永代表は、
“「いやよ、は本当に嫌なんです」という署名活動を行った。そして、女性側も意識を変えていかないといけない。
プロポーズや告白、性交渉も男性からという意識がある。女性の尊厳を大事にしたいなら、女性からアクションを起こす、伝える姿勢が必要。”
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といった議論がありました。


1つのアクションが、参加してくれた方につながって、ひとりでも多くの方が性犯罪、そして性について考えるきっかけになっていただけたのは心から嬉しいですし、悲しい出来事は1つでも少なくしたい。

それを叶えるのは、今、生きている私たち自身なのだと感じました。

文責:小西昭美

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