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明滅するを、あきもせで

ちかちか、きらきら。
クリスマスツリーの電飾が、柔らかな夕焼けのような色をたたえてついたり消えたり。

ジンジャークッキーの形や、キャンディケーンの形のオーナメントも、ちかちか光るやわい橙に照らされて、優しい色に光っている。

「綺麗ですねぇ…」
「だねぇ、綺麗だし、可愛らしいなぁ…」

私はホットココア、福永せんせはホットワイン。
思い思いの飲み物を手に、ソファでふたり寄り添いあう。

ちくたく、ちくたく。
ちかちか、きらきら。

秒針の音と、電飾の光が、何だかリズムを取っているみたいだ。

「やっぱり、豆球のにしてよかったですねぇ」

小さな夕陽が、たくさん。
見ているだけでもそれは暖かで。
LEDにはない、人の温もりが光っているようだ。

「だろう?だからこだわって正解って言ったじゃないか」

暖かな光にちかちか照らされる、彼の得意げな顔も柔らかくて。

「お見逸れしました。福永せんせには敵わんですね」
そう言ってぺこりと頭を下げれば、

「ふふん、そうだろう?」
少年みたいな、にかっとした笑顔。

「でも、君の選んだ飾りも可愛らしいねぇ」
「お、ありがとうございます。なんかいいでしょ、カラフルで」
「うん、何だかこう…優しい感じがする」
「福永せんせと選んだからですかねぇ」

僕のおかげ?とまたご満悦。
ああ、愛らしいなぁと、横顔を見てついにやけてしまう。

幸せって、こういうことを言うんだろうか。

「ねえ。来年もまた、一緒に飾りつけするかい?」

「しましょうとも。…来年も、その先も、ずっと一緒に」

「いいね。…身体、壊せないなぁ」

「壊されたら困ります。……一緒に、生きていたいですもん」

「そっかぁ。一緒に…じゃあできる限り、頑張らないとね」

「頑張りましょ。私も、頑張りますから。共に生きましょう」

「それ、いいね。共に生きるって。約束したくなる」

「しましょ、約束。指切りげんまんで」

ローテーブルにカップを置いて。
小指を絡めあって、約束のおまじない。
指を離せば、どちらともなく抱きしめあって。

「約束、だからね。君も僕も」

「ええ、約束ですよ。……力合わせて守りましょ、一緒に」

一緒に、ね。
そう言って微笑むあなたが、声も体温も愛おしくて堪らなくて。
ずっと一緒がいいと願いながら、彼の首筋にそっと顔を埋めた。

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