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#7 : SF小説 インターネット蹂躙AI「ツナミ」

「お前ら、やったなあ」
4人がサーバを返しに来ると、野手無線の店主は笑顔で出迎えた。
「小学生でツナミ相手にタイマン張ったのなんて、お前らくらいだろうなあ。とにかく、よかったよ」
店主に挨拶を済ませると、4人は団地の広場に出た。
広場のすみに、電話ボックスが6つ並んだ一角がある。朝の時間だというのに、常にどこかのボックスは使われている。
4人はその横に自転車を停めていた。
晴れているが、冬の朝は寒い。
4人とも息が白い。
「やったな」
自転車の前まで来ると、コウタが拳を出した。そこに、ミノル、ススム、タカシも拳を合わせた。
「おれはこのあと基地に寄っていくけど、みんなはどうする」
「ぼく、今日は土曜日だから、お昼にお父さんが帰ってくるまでに部屋を片付けないといけないんだ。また今度ね」
ミノルは自転車の鍵を開けると、団地の駐輪場へ押して行った。
「そっか、今日は土曜日だったね」
タカシが言うと、ススムが「あっ」という顔をした。
「今日って第二土曜日?まずい、塾の小テストの日だ。もう行かなきゃ。またな」
ススムは自転車に跨ると、立ち漕ぎで広場を後にした。
「頑張れよ、県内二位」
コウタが遠ざかるススムの背中に向かって声を張った。
「次はお前が二位だよ」
ススムも大声で応え、角を曲がり、見えなくなった。
「さて、タカシはどうする」
「実は、母さんのタブレットを基地に忘れてるんだ。ぼくも行くよ」
「わかった」
タカシとコウタは自転車に乗ると、ゆっくりと漕ぎ始めた。
(続く)

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