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患者さんに楽しいリハビリテーションを提供するためにースキルとチャレンジのバランスー

患者さんには、楽しく運動をしてほしいといつも思っている。しかし、実際に楽しい運動を提供することはなかなかに難しい。

運動中の患者さんが、眠そうだったり、退屈そうだったりした時に、同時に「この課題に集中できていないな」と感じることがある。

その原因は、疾患により注意が持続できていないのかもしれないし、今後に対する不安が強いのかもしれないし、寝不足なのかもしれないし、運動自体がつまらないのかもしれないし、療法士との会話が楽しいだけなのかもしれない。

集中できないと考えられる原因のうち、療法士が調整できることの1つに、「課題の難易度」がある。

課題難易度の調整は「フロー」や「ゾーン」といった、集中状態に入るために重要な要素だといわれている。

フローは、スキルがちょうど処理できる程度のチャレンジを克服していることに没頭している時に起こる傾向がある。最適な体験は、ふつう、行動能力[スキル]と行動のために利用できる機会[チャレンジ]の素晴らしいバランスを要件とする(図)。
フロー体験入門 M.チクセントミハイ 大森弘訳

フロー 図

図から分かるように、スキルに対してチャレンジが高いと人は「不安」の状況に陥りやすく、チャレンジが低いと「無気力」や「退屈」を感じやすい。

日々のリハビリテーションで、患者さんのスキルを評価しながら、どうにか乗り越えられるチャレンジングな難易度の課題を提供する。そうすることで運動に集中しやすくなり、楽しく、効果的なリハビリテーションとなる可能性が高まる。

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