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強い方のくら寿司のはなし


頻繁にくら寿司に行く。

くら寿司と言っても、そんじょそこらのくら寿司ではない。
『くつろぎ三昧無添蔵』だ。


くら寿司が新しく提供する『くつろぎ三昧無添蔵』(以下無添)は、落ち着いた古民家調の、シックな内装で、「回転寿司」「天ぷら」「うどん」など、こだわりの美味しさを楽しむことが出来る、まさに勝ち組のくら寿司
無添に行ったこともないママっ子は、二度とくら寿司を語らないでもらいたい。


例えばくら寿司ならば¥100-で食べられるイカ。
無添では一皿¥300-で、イカ界のTOPランカー
"アオリイカ"が当然のように出てくる。
回転寿司でアオリイカ。


これが花街の回らないお寿司屋さんなら、まぁわかる。そりゃあアオリイカくらい出すだろう。
しかし、それが回っているのだ。これがいかにすごい事か伝わるだろうか?

地元のイオンモールで買い物をする休日の昼下がり、いつもの吹き抜けの広場で、何やら催しが行われている。
そう、あの店前に謎の外国の車が停めてある帽子屋の隣の、あの広場だ。


「どうせ聞いたこともないYouTuberか、地元のダンスチームの発表会、よくて地元のプロレス団体だろう」そう思いながら通り過ぎると、ステージでは玉置浩二が弾き語りをしていた。


これくらいすごい事なのだ。

他にも赤貝。
くら寿司ではペラペラのサルボウガイだろう、しかし、無添では同じサルボウガイでも、本赤貝と見紛うほどの肉厚で、味も香りも素晴らしい「これぞ赤貝」というクオリティを提供してくれる。


赤貝なんて、今や高級品。たち寿司でも¥700-くらい取って当たり前のネタだ。これが¥300-で回ってくるのだ。これがどれほどありがたい事か伝わるだろうか?


久々の合コン。参加者は俺と地元のツレ2人、相手は20代後半の看護師3人組。
清楚系のゆみちゃん。明るいまりちゃん。少しギャル系のなつみちゃん。
いつも外す和希が呼んだ女の子たち、全く期待していなかっただけに、俺たちのテンションも最高潮だった。


一軒目はひとしきり盛り上がり、お酒も入ってかなり良い流れが来ている。
ここからカラオケに流れて一気に畳みかけよう!俺たちは意気込みながら近所のビッグエコーへ移動した。


先ずは和希がど定番の睡蓮花で盛り上げる。
今更感もあり小っ恥ずかしいが、結局酔っ払って大勢でいると、こういうのが盛り上がるのだ。


そのテンションに続き、なつみちゃんがWON’T BE LONGを入れた。
この世代の男女は全員イケる、抜群の選曲だ。
これはかなり良い流れが来ている。


「この流れならコレやろ!」ノリに乗っている俺は、ど定番『真夏のオリオン』を入れた。


「これみんないけるやんなぁ!?😃」

静まり返る一同。

ヤバイ!忘れていた。俺が長年カラオケをしてきた相手は、みんな夜の人間。今日の相手は真面目な看護師さんだ。最後の雨 倖田來未バージョンとかを歌って居ない時点で、気づくべきだった。もっと言えば、ブルーバードの合いの手が「ワンツーイヤホイ」じゃない時点で気づくべきだったのだ。


「あ、せやんな!ごめんごめん💦」


鳴り響くイントロの中、演奏中止を押そうとデンモクに手を伸ばしたその時、トイレから戻ったなつみちゃんがおもむろにマイクに手を伸ばした。


「サザンビーチに 連れてって〜
🎵


なつみちゃん、、!!!!


この時のなつみちゃんくらいありがたいのだ。


このように高級感ホスピタリティに溢れた無添蔵、当然客層もくら寿司とは一味変わってくる。


まず駐車場の時点でレクサス
ここは南大阪。ヤンキーと変なおっさんしか住んでいない魔窟。セルシオを一日に3台見かけるような街だ。
今日も朝から爆音でチェホンくんの栄光に近道なしを流している軽自動車を見た。
そんな街で、レクサスのSUVである。


格式高い、セレブリティが通い詰める無添蔵だが、時々場違いな、似つかわしくない庶民が迷い込むこともあるだろう。
安心してほしい。無添には、そんな迷い込んだ庶民を炙り出す対策も、キチンと施されている。
それは、全メニューが倍以上の金額の無添に、ひっそりと存在する「ゲソ」だ。


「ゲソ」
こいつだけはなぜか、ノーマルくら寿司価格で回っている。
これは俺の予想だが、あのゲソはおそらくなのだ。


まず乗っている皿。
深緑や黒地に金の装飾、高級感溢れる無添の皿たちの中で、ゲソの皿だけは、「アホ用のオレンジ」みたいな、変な色なのだ。
これは警戒色というやつだろう。


警戒色とは、主に有毒の生物に見られる色彩であり、捕食者など自分に害を及ぼす他の生物に対する警告の役目を担う。(wikipediaより引用)


そう、無添はいつものお客様には伝わるメッセージを、皿の色と価格に込めているのだ。


もしゲソを手に取ろう物なら、先ず周りのセレブたちがざわつき始める
「あら、あの方ゲソを取ってらっしゃる、、?」
「ったく、こんなところに庶民が迷い込んじまってるよ」
「ガキの来るところじゃねぇっつーの」


店員さんだって黙っちゃいない
「おいおい、ウチじゃ100円ぽっちじゃあ、ガリすら食えねぇぜ?」
「おうちに帰って、甘だれでもしゃぶってな!」
と、原産地からすりおろし方までこだわり抜き、美しい水で育った本わさびを、贅沢に使用した「直前わさび」を投げつけられるだろう。


コロアキガッツチャンネル等の、私人逮捕系YouTuberが目をつけて
無添蔵でゲソを取る庶民捕まえてみた
という動画を出す日も近いだろう。


読者の皆も、くら寿司に行く際は、そこが自分の身の丈にあったくら寿司なのかを、しっかり判断してから入店することをお勧めする。


※怒らないでください


おわり

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