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aokiu
おじいちゃんとの最後の会話
高校二年生の時、おじいちゃんが亡くなった。
「ユースケは大学どこに行くんや?」
「〇〇大学に行こうと思ってるよ」
「ええやん、がんばりや」
それが最後の会話だった。
父の実家は家から自転車で五分の場所だったため、よく遊びに行った。
おじいちゃんと多く語ることはなかったため、正直印象的な会話はあまりない。
ただ坊主にすればいいぞというコトバはよく言われたため、深く記憶に残っている。
父の実家は田んぼと畑と山を持っている。
今は畑はやっていないが、今でも田植えとたけのこ堀と稲刈りの時は、いとこと自分たちの家族総出で作業をする。
そういえば昔におじいちゃんがごぼうを採るところを見せてくれた時に、
「ユースケこれなんや?」
「軍手!」
と答えてみんなに大爆笑されたことを覚えている。
高校三年生になった時、進路希望調査が配られた。
僕は迷わず第一志望に○○大学と書いた。
第二希望は書かなかった。
なんとなく○○大学しかないと思っていた。
結果から言うと全くかすりもしないまま落ちた。
受験者480名中438位という驚異的な結果を残し、浪人した。
自然と後悔はなかった。
一年間浪人した後、無事に○○大学に合格した。
たまに聞かれることがある。
「なんで○○大学にしたの?」
「なんで一年間浪人して、志望校を変えなかったの?」
答えはいつも
「家から近かったから。」「なんとなく。」
いずれかだった。
今になって思うと、唯一したおじいちゃんとの約束だったから守りたかったのだと思う。
今でも何だか誇りに思う。
○○大学に合格したこと。
それよりもおじいちゃんとの約束を守れたこと。
今でも何だかがんばれる。
だって私はおじいちゃんとの約束を守れたんだから。
おじいちゃんがきっと喜んでくれていると思えるから。
何気ないあの少しの会話で私は今日も生きていく。
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