【経済】「決算カード」を見てみよう②
次は借金の話である。今まで触れていなかった、歳出のほか右下にある緑色の部分にある、「地方債現在高(借金)」「債務負担行為額(実質的な借金)」の2つについて考えてみよう。
「地方債現在高」というのは私たちがイメージする地方の借金のようなものであるのでそれほど説明はいらないだろう。
問題は「債務負担行為額」である。この「債務負担行為額」とは、翌年度以降に負担する債務の限度額を期間を限ってあらかじめ決定しておく制度のことなのだが、ざっくり言ってしまえば実質的な借金みたいなものである。
一部の政治家は「借金を減らしました」といいつつ、実は「債務負担行為額」がぶくぶく膨らんでいるケースもあるらしい。それだけに選挙の時に「借金を減らした」とうそぶいている人がいたら「債務負担行為額、結構ありますよね」と突っ込みを入れてあげるとよい。
借金の関連でいえば、実質的に破綻している自治体の見方というのもある。
これは単純で、再び歳出と歳入のところを見てもらえればよい。歳入の一番上にある「地方税」の「構成比」に注目だ。
これが例えば5%であれば、逆に言えば95%は住民からとる税以外の補助金なんかで自治体の運営をしているということである。ここまでくると、もはや全体の5%に過ぎない税金を徴収する意味とはどこにあるのだろうという気もするのだが、まあそれはおいておこう。
そして、この「地方税」の金額と、歳出にある「人件費」を比べて地方税のほうが少ないのであれば、これはもはや補助金によって職員が養われているということだ。これはもう破産した状態にあるといって差し支えない。
これを企業で例えると、会社の売り上げは毎年500万円しかなく、販管費を支払うこともできていないにもかかわらず、なぜか9500万円の補助金がどこからともなく送られてきて、もろもろの帳尻を合わせて経営をしている状況だということだ。これを果たして「経営」と呼ぶのかは心底謎ではあるものの、このような「経営」状況にある地方自治体は決して珍しくない。
会社であれば身売りなんかをしたりして何とか生き残りを図るわけだが、自治体となるとそうはいかないのが現状だ。
競争や生き残りにおけるシビアさがないがゆえに、漫然と補助金をもらって生き延びることができてしまうのが地方自治体であり、そしてその補助金の原資は我々一人一人の税金なのである。
税金を支払う側からすると、ただ競争環境にもなく漫然と補助金を流し込まれ続ける自治体に対して、なぜ仕事を頑張って税金を奪われなくてはならないのか疑問で仕方ない。自治体側にも「ちゃんとやれ」と、税金を支払う側の我々が監視をする必要がある。その一つのツールとして「決算カード」があるということだ。
もちろん、この決算カードがあればOKというほど万能ではないし、一部の自治体では決算カードだけでは実態を十二分につかみきれないケースもあるようだ。これ以外にも様々なツールを生かしてまずは自らが生きる自治体の監視を進める必要がある。地方政治の監視とは私たちが無意味に税金を収奪される事態を防ぐのみならず、競争が生まれにくい自治体の怠惰を戒める一助にもなるはずである。
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