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【経済】株主総会における珍妙な株主提案をみて笑顔になろう~後編~

このように飛び抜けてふざけた話もあれば、読んでいて考えさせられるものもいくつかある。

典型的なのはテレビ東京ホールディングスの株主総会(2023年)である。
要するに、新聞記者しかやったことのない日経出身の幹部に(テレビの知見もないし経営の知見もないのだから)テレ東の経営などできようはずもないという話だ。一部を以下に抜粋しよう。

取締役会の諮問機関として、任意の指名委員会及び報酬委員会が設置されているが、上場する在京キー局で大株主の新聞社から経営トップが優先的に就任する「天下り」慣行が続いているのは当社だけである。デジタル時代を見据えつつ、PBRの1倍割れ解消に向けたROE向上とキャピタル・アロケーションの指針作りが株主の利益に資する喫緊の課題であるが、当社の役付取締役ポストの過半が元日経幹部である。非上場企業の日経では経営陣の大半が新聞記者の出自であるため、上場企業の経営やキャピタル・アロケーションの訓練を受けていない。
日経では売上高営業利益率などが重要業績評価指標(KPI)であり、上場企業のようには資本効率を意識しない。 当社の経営陣にはリターンとリスクに応じて事業を取捨選択する能力に疑問符が付けられている。日経の元幹部が優先的に当社の取締役に就任することは、取締役として兼ね備えるべき知識・経験という観点からは適切な人選とは言えない。日経の指名権の内容や、映像コンテンツ制作や成長エンジンである配信とアニメの専門家ではない日経出身者を選任した理由等も非開示である。これでは、人選の適格性を当社の株主は客観的に判断できない。

これは実にごもっともな話である。新聞記者であれデスクであれ、結局の所は記事を作る側の人間であり、もっと言えばコンテンツを作る側の人間だ。コンテンツを作る人間を「使って」経営をする人材ではない。
自社の経営もおよそままなっていないのに傘下の会社に出向いて経営しようというのだから、受け入れ先の会社からすれば迷惑千万と言うほかない。

と、こんな調子で株主総会には色々な提案が株主からなされている。大きい会社ほど課題は多いものだが、株主からの改善策にはクスリと笑えるものもあれば、とても他人事には思えずドキリとしてしまうものもある。

普段働いていると会社経営は総じて文句ばかりが出るものだが、一部の株主提案は自らの仕事を考えるうえでちょっとしたヒントになるのかもしれない。

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