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福祉の仕事への就職ってどう? 5ヶ月インターンした大学生が考えてみた

 私たちの記事を読んでくださっているみなさま、こんにちは!ねこ沢&ヒヨラーです🐈🐥

 前回のゼロカラメンバー4人での対談動画は見ていただけたでしょうか?
もし、まだ見ておられない方がいらっしゃったら、Twitterで投稿していますので是非ご覧ください。
さて、今回の記事は私たち生活チームの活動のまとめとなります!
今回の記事が私たちの最後の記事となりますので、たくさんの方に見ていただけると嬉しいです📝📚

5か月間で起きた変化
 ヒヨラーとねこ沢でまとめをどうするかについて話し合っていた中で、意見を出し合ったものです。 
皆さんに私たちが何を考えてきたのか、感じているのかを読んでいただき、皆さん自身も福祉に 対するイメージにどのような変化があったのかを改めて考える機会にしていただけたらと思います。

ねこ沢:生活チームとして活動してきて、誰もが不自由なく安心して使える都市デザインや施設の空間デザインに関心を持つようになりました。 ヒヨラーさんは「生活」という切り口で活動してきて、どんな変化がありましたか?

ヒヨラー:一番は、過去の経験を振り返ったことで自分が福祉に対してどう感じていたのか、という ことに気づけたことがすごく大きな経験値のようなものになったなと感じています。
 興味を持つようになったのは、施設に行くことにハードルが高いと感じてしまうことや、支援を受け る方が何を思っているのかなどの、今の私が経験できない立場(高齢者や障害者)の方の目線に なって考えることです。

ねこ沢:そうなんですね。生活という観点から福祉を捉えて、どういうものを見て感じたからそのような変化が起きたのか、もう少し詳しく伺いたいです。

ヒヨラー: 過去の経験を振り返ることは、noteを書いていくうえでずっとやってきたことです。アンケートでも 「過去に福祉と関わったことはありますか」という質問をして、「ない」という回答が多かった、回答 している人が少なかったように、私自身もあまり福祉に関わったことがないと思っていました。
 しかし、学校の中にある福祉を考えたり、映画紹介をしたりしているうちに、自分の経験を振り 返って書くことで福祉に関連する物事があったことに気づけました。この気づきがなかったら、自分と福祉は全く関係がないものだと思い続けていただろうなと思います。福祉に近づく第1歩のよ うな感じです。
 高齢者や障害者の目線になって考えたいと思うようになったのは、祖母がデイサービスに通い始 めたことがきっかけだなと思います。 祖母は認知症で、私や家族に同じ話を繰り返しします。その同じ話を繰り返してしまうなどの認知 症の症状は今の私には経験できないし、祖母が「また同じ話してるで」と言われることにどのよう に感じているのかが分からないな、傷ついていないかなと思ったのが始まりかなと思います。🐤🐱
   また、施設に行くこと自体を嫌がる人もいる中で、祖母がすごく楽しそうにデイサービスに通って いるのが印象的で、施設に行くというハードルが下がるような発信や活動が今後もできたらいい なと思うようになりました。同時に、なぜ嫌がる人がいるのかということも気になっています。

ねこ沢:過去の経験を振り返って気づいたという話を聞いて、「実際には福祉は全ての人の生活 に密接に関わりのあるものなのに、福祉についてしっかり考える機会がないとそのように感じら れない」そうした状況が多くの人に共通していることが課題だと感じました。
 現在の状態を維持するだけでは福祉のことを真剣に考える人が増えず、さまざまな視点を持って 社会で生活する人も増えません。それは問題だと思うので、(これまでゼロカラプロジェクトがやっ てきたように)「福祉について考えるきっかけ」をわざと身の回りに作っていく試みが増えた方がい いなと思います。

ヒヨラー:そうですね。私もゼロカラに参加しなければ考えることがなかったなと思います。だから こそ、この先ゼロカラのような活動が続いてほしいと思うし、続けられるようなまとめにしたいと 思っています。

ねこ沢:ヒヨラーの過去の経験を振り返るというのは、生活という観点から福祉を捉えるというよ り、生活をじっくり見直してみたらたくさん福祉との接点があったことに気づいたという感じでしょう か?

ヒヨラー:そんな感じです!noteで取り上げる内容を考えていくうえで、自分の生活の中にnoteで 取り上げる内容と関連した経験はなかったのかというのを考えていました。
 ねこ沢さんの興味を持ったことについても掘り下げていきましょう! 

ねこ沢:私が都市や空間のインクルーシヴなデザインに興味を持った理由はこんな感じです↓
①マイクロアグレッション(特定の属性の人に対する無意識・無自覚の差別、偏見、無理解な言 動)や多様な人が利用することの想定されていない空間のために、マイノリティがストレスを感じ て公共空間に居場所を持ちにくくなっていることを知った。制度、設備、心身状況の兼ね合いなど の面から学校や会社に行きにくかったり、同じ特性・個性を持つ人向けの場所に居場所を移さざ るをえない状況だったり...。  空間デザインの例を挙げると...階段だけしか乗降器具のない建物、狭くて通りにくい通路、 オールジェンダートイレがない施設、車椅子に乗っていたら開けにくいであろうトイレのドアなどな ど。
 一度そのことが気になってからは、さまざまな場所で限定的な人々/使い方しか想定されてい ない建物、物が目につくようになった。  
 生活空間で自分たちを対象にデザインされたものが少なくてちょっとした動作に不便を感じやす いって、結構日々のストレスになるんじゃないかと思う。このことで生活空間の分断が広がって (例えば障害者とそうでない人のような)知識や問題への認識の程度が異なってしまい、全ての 人に共通するはずの福祉の課題の解決が遅れてしまっているのではないかと考えた。
②自分も含めて、特定の差別に反対する人でも、他の差別や抑圧の問題には関心や知識が薄い 現状があることを知り、全ての差別や抑圧をなくすためには多様な問題に触れる機会・場所を作 らないといけないと感じた。
 ③これまで、アパレル企業でマイノリティもそうでない人も楽しんで着られる服を作るとか、研究者 として差別と抑圧の構造を研究して論文や一般書の発表をするなどの形で社会問題にアプロー チしたいと考えていた。 
 しかし本や服を買うには(生活の余裕も含めて)お金が必要だし、そういう書籍に関心を持つまで にはある程度の文化的環境に身を置いて(ここでもお金がかかる)、さまざまな意味で「本が読め る」状況でないといけないと感じた。 
 どれも重要な取り組みだけど、私は経済格差の壁を感じさせることなく誰もが居心地の良さや喜 びを感じられて、立ち寄った人が差別や抑圧について考えるきっかけになるような公共空間を増 やしていくことが必要だと思った。
などの理由から関心を持ちました!

ヒヨラー:私の考えも少し似ている部分があります。福祉に興味を持ってもらうきっかけづくりとい うような部分です。福祉について関わるきっかけが無ければ、興味を持ってもらうことができない のできっかけづくりが必要だと思います。

私たちが考えるきっかけづくりの方法とは?
ねこ沢:きっかけとして、多様な人の生活空間を広げ、経済的・環境的なネックが出にくい公共空 間のデザインが良いんじゃないかと考えました。
目標:誰も取り残さない社会→多様な視点、経験を持った人が話し合いに参加できる状況を作る ことが必要 
 「誰も取り残さない社会」の実現のためには、話しやすい雰囲気やルール作り、空間や制度の設計、移動・連絡手段の拡充などなど考えること、やることが盛りだくさんです。つまり、あらゆる分 野に福祉の視点(≒誰も取り残さない意志をもち、課題の現状を知っている)が必要になってきま す。 そうした分野の中でもとりわけ私は、建築×福祉×アートのような切り口で学び、実践していきたい と思っています。
 そのため、まず私が今目指しているのは、現在の空間デザインで想定しきれていない人々の暮らしを知り、より多様な人々にとって居心地の良い場所を作ることです。 箱を作っただけでは機能しないので、その後の居場所の運営、企画はさまざまな人と協力しなが ら創造・維持していく必要がありますが...。
他にどのようなきっかけづくりの方法があると思いますか?
  
 ヒヨラー:私たちがやっているゼロカラのような福祉について発信する活動や、福祉と別のものを 絡めて発信するなどは挑戦しやすい方法だと思います。 やっぱり興味のないものに興味を持ってもらう方法って難しいですね。私たちの発信でも、どうし たら興味を持ってもらえるのかということが一番のネックだったように感じます。
 いつも目に入るようにしたら、無意識に福祉が日常になるかも知れないですね。小学校や中学校 でやった福祉学習などもすごく貴重な経験だと思います。

ねこ沢:福祉関連の仕事をやりたいと思いますか?

ヒヨラー:最近の企業の取り組み(SDGsなど)を見ていると、どんな場所に行っても福祉と関わっ ていくことになるだろうなとは思います。その意味ではどの企業も福祉関連の仕事と言えるのではないかなと考えました。

ねこ沢:「福祉の仕事を就活の選択肢に入れてもらう」というのがゼロカラプロジェクトの最終目標でしたが、ヒヨラーさんは選択肢に入っていますか?

ヒヨラー:介護職などの専門的な福祉の仕事は正直まだ選択肢に入れて考えるのは難しいなと 思います。理由は、見学会に参加し、プラスにイメージは変わったけれど、きめ細かい配慮や高い能力が必要だという現実も知ったからです。どちらかというと、興味や学びたい対象になりました。
 どの仕事をしても福祉という分野と関わっているから、福祉と関わっているという意識さえあれ ば、福祉の仕事をしている人というカテゴリーに少しは被るんじゃないかなと考えています。
 ねこ沢さんは、「福祉の仕事」は選択肢に入りましたか?

ねこ沢:これまで関心を持ってきたことや得意なことを振り返ると、私はもの作りをやりたい人なの ではないかと思っています。ものといっても無形のものではなく、触れる具体的な形のあるもので す。福祉関連職でそういったものがあって、私がやってみたいと思えるなら「福祉の仕事」もあり だと思います。
 「福祉の仕事」の範疇なのかわかりませんが、先日観たNHKの靴職人さんの特集動画はとても 印象に残っています。一生懸命満足いくものをつくって、その結果としてより多くの人が幸せに生きられる社会を実現できるなら、自分にとってそれはとても幸福なことだと思います。 (詳しくはこちら↓)

私たちが出した結論
 ここまで二人で話し合って1つの気づきが出てきました。それは、いろいろな形・業種で福祉と関わる人が増えることで、制度などの問題解決にもつながってくるのではないかということです。
 そのように考えていくと、福祉の現場に若者を増やすということからは少しそれるけれど、全ての仕事の現場(もちろん、仕事に限定せずに生活の場所と捉えてもいい)をいろいろな分野と関係する広い意味での福祉の現場にしていくように動く、というような考え方の方がしっくりきません か?
     
 興味のない人を福祉の分野に取り込むのではなく、いろいろな考えを持つ人たちの日常に福祉 を入れ込んでいくというイメージです。
もちろん私たち自身も変化を感じています。 
最初は「福祉=介護」だった福祉の範囲が「福祉=様々な分野を含んだ日常」に変わり、自分た ちが(自分たちの生活が)その広い意味を持つ福祉の範囲の中にあるというような感覚になりま した。
私たちがゼロカラの活動を通して、福祉を日常の一部に捉えることができるようになってきたか ら、このように自分たちの意識の中での福祉の範囲が広がったのかもしれません。
皆さんの意識の中にある福祉の範囲はどのくらい広がりましたか?一度考えてみてくださいね🍁

まとめ
この5か月間、たくさんの話し合いを重ね、多くのことを得ながら活動をしてきました。 
ゼロカラプロジェクトに参加し、初めて考えることや初めて知ったこと、初めて興味を持ったことな どがたくさんあり、本当に貴重な経験ができたと思います。
今回の記事で私たちの活動は終わりになります。
私たちの発信が皆さんの興味につながり、皆さ んの今後の日常生活で福祉に対する意識の変化や気づきなどがあればとても嬉しいです。
私たちもこのインターンシップで得た知識や気づきをもとにこれからの日常生活や就職活動に取 り組んでいきたいと思います。
ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました 🐤😺✨

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