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社内SE向いている人、向いていない人とあるが

 久々社内SEネタを書きます。
 過去書いていて、ブックにしてます。

 そこかしこで、社内SEに向いている人、向いていない人のネタを見受けますが、「どうだろう?」と思う事があります。
 見ていてそれぞれに、うなずける点もあれば、そうでない点もあります。
 恐らく、書いている方の環境と職務内容の違いによるものだと思います。

 また、最近では、コーポレートエンジニアなんていうポジション名の募集が増えだしています。
 おじさん世代からすれば、「社内SEもコーポレートエンジニアも同じだろ。古臭いベタな名称を嫌って、横文字のかっこいい名称で釣っているだけだろ」と感じてしまうのです。
 ですが、恐らくは、「その会社での社内システム部門として働くべく、明確な仕事の区別」を意識しての事だと思ってます。

1.社内SEって何?

 私自身としては、「その会社の情報部門で働いている人、あるいはその会社のシステムに従事している人」と位置付けてます。
 過去、一般企業(非IT企業)のシステム部門、あるいはIT職に従事している人と記載した事がありますが、最近、間接部門として組織されているIT企業も見受けられてきておりますので、前言撤回する必要があると判断しました。

 しかし、中にはユーザ先が自社の情報部門を他社に丸々アウトソーシングしている会社もあり、そういった形で客先に常駐している人達も、果たして社内SEと呼ぶのか?というのは、疑問の余地を感じております。
 丸々請け負っていると言っても、インフラ回りの保守のみの方もいれば、ホームページ周りのWebデザイナーの方もいたりもする。まして、請負である以上、その客先には、その会社での部門長がおり、その方から命令なり監督のもと仕事をしている以上、その会社の経営会議の出席や方針を直接決める立場に、普通はいないはずだからです。

2.社内SEとコーポレートエンジニアを分けた呼称の所以

 「社内SE」と言う言葉は、昔から使われております。
 対して「コーポレートエンジニア」と言う言葉は、ここ最近です。
 前述の通り、恐らくは、明確な区別をその会社が意識しての事であり、暗に募集に際して「お宅(との社内SEの位置づけ)は違うから、応募しても無駄だよ」という事をほのめかしているとも感じます。

 それはなぜか?。
 そもそもSEというポジションは、有って無いようなものです。ひじょうに曖昧です。
 昔は、プログラムを組むプログラマーを経験してから、システム設計をするSEとなり、プロジェクトのリーダを経てマネージャと言う流れで昇格していきました。
 但し、これは請負開発の場合がほとんどかと。
 では、開発を依頼する一般企業や、Webサービスを生業としている企業ではどうか?なのですが、後者は私は未開の業種であるため、前者に絞って話をすると、そもそも社内SEたる情報部門に、新卒で配属される企業は稀です。
 仮に配属されても、ジョブローテーションが普通ですので、数年後には別職種、あるいは別職職から情報部門に転属と言う事が発生します。そうやって、幹部になる為のありとあらゆる仕事を経験させるわけです。他方、〇〇畑出身で昇格してきた方も勿論おります。ですが、ほとんど情報部門畑出身で上がってきた方は、昔も今も私は聞いた事がありません。
 大手銀行や、大手メーカあたりの情報部門は、いわゆる左遷扱いとも聞いた事もありますし(半沢直樹がいい例でしょうし、某大手機械メーカの情報部門は、精神的ストレス者や休職経験者の集まりと耳にしたことがあります)。
 これが、税対策か相応の力を持たせるためかで、自社の情報部門を一手に引き受けるという形で、また受託開発請負もするような形で、子会社化している企業もあります。こういった所だと、また位置づけが変わっても来ます。

 いずれにしても、ジョブローテーション有りきの企業の場合、プログラミングや昔と違って多種多様な構成で設計する力を数年でつけられるかと言うと、かなり難しいです。よって、外製化するのが普通です。中には内製とうたっている企業もありますが、果たして本当か?と疑ってしまいます。

 そこで、明確にわけているであろう、コーポレートエンジニアは、技術職として担う方という触れ込みでの募集なのだろうと。
 つまるところ、情報部門にいて社内SEといっても、実質技術的要素を持ち合わせていない人の集まりである事が多いのです。
 システム構成を考える事は出来たとしても、青写真にもならない絵空事でしかなく、その為、請負側エンジニアからすると、到底その方達の下で働いても無意味に感じ、絵空事を投げてくるので焦燥感しか生まれてこないのです。
 上位資格を持っている、SQLを叩ける、コマンドを叩ける、、、それで出来ると錯覚され、現場としてプロジェクトを最初から最後まで経験してきてない人の指示では、やる気も失せるでしょう。

 釘打ちもできず、カンナ削りもできない。できたとしても犬小屋作る程度。そんな人に、一戸建てを作るという構想があっても、「こんなので」程度しか出てこないのが普通。それで、指示止めまでならいいのですが、基礎工事の仕方も知らず、「なぜすぐできない」「これはこうで」と言われても、現場の大工さん達は、やる気失せますよね。それと同じです。

 では、そんな情報部門で働いている人達は何をしているかというと、事務業務と部門の管理をしているだけと言っても過言ではないです。
 まあ、毎日のデータ出力、データ補正、バックアップくらいはできるでしょう。こちらがその方法を教えてあげた通りにすればいいだけですから。
 そういうメンツなのです。。。。

 ですので、これらの人と明確に分けるため、技術をもって、その技術で自社のシステム部門を担う方として、コーポレートエンジニアという名称で募集しているのだと感じてます。

3.社内SEに向いている人、向いてない人

 よって、社内SEとコーポレートエンジニアを分けて書きましたので、ネタとして書いている人が持っているスキルと、その企業での職務内容で、大きく情報部門で働く像が変わってくるのです。

 コーポレートエンジニアの場合、求められるスキルがあり、そのスキルをもって事に当たる人である事は明白です。
 対して、社内SEの場合ですが、前述したように、ノースキルで管理をしている方がいる一方で、コーポレートエンジニアのように振舞って作業されている方もおります。これは、その会社でのSE像の違いに大きく起因します。

 まず、組織図を見てもらえばわかるはずですが、情報部門がない企業は、小さな企業であれば、人員を割く余裕がないと言う事。100人も超えれば、小さいとは私は感じませんが、情報部門がないか、どこかの間接部門の下にある企業の場合、ほぼシステムに無頓着か技術持ちを軽視している傾向が強いと感じます。その社内システム部門の方には、昇格昇進の道はほぼない、一般職扱いでしょう。いわゆる「雑務職」と揶揄されるわけです。

 よって、この点からも向いている人、向いてない人が区別されてしまいます。
 つまり、部門として存在し、CIOもいるような企業の場合で、システムの話もできるならば、相応にエンジニアとして活躍していけるでしょう。
 よって、このケースの場合、請負エンジニアと同様の気概を持った方が向いている事になります。

 しかし、そうでない企業の場合では、エンジニアとしてのスキルよりも、むしろ間接部門のメンバとして、なんでもできる人、何でもやれる人が求められます。

 技術を磨きたい。新しい事にタッチしてみたい。ITで会社を牽引したいといった願望があるならば、コーポレートエンジニアで募集している企業や、情報システム部門が存在し、どれだけのスキルがある人達がいるのかを確認した上で入社を検討するべきです。
 対して、情報システム部門が存在しない、あるいは間接部門の下にある。もしくは、存在してもノースキルの人達の会社の場合、マネジメントと言った社内調整や発注側との交渉経験、そして間接部門としての業務も兼務する能力と意気込み(ある意味諦め)がむしろ必要になってきます。

 そういった意味では、前職が請け負いで、何百時間も残業続きだった方、勤務地が一定化しないSESで働いていた方にとっては、かなり楽と言える所以でもあります。
 また、うまくいけば、あるいは願望があるならば、その会社でSEとして入り、転職せずに社内でキャリアチェンジもできるかもしれません。
 まあ、とは言え、ほとんどのそういう会社では、一般職扱いなので、キャリアチェンジできる要素は少ないです(同じ間接部門でのキャリアチェンジくらいしか認められないでしょう)。
 でも、若いうちの転職であれば、SEのキャリア捨てて、その会社での幹部見習いとして、別職種を経験して上がって行くというのは有りかと思いますし、他方40代中盤から安定してゆっくり働きたいという願望がある方なら、永遠と社内では下っ端になりますが、悠々自適に過ごせる環境になるかもしれません。

情報提供や考え方、そしてこれまでの苦々しい経験での対価として、ありがたく頂戴致します。