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ニッチ市場なら個人開発が有効? コーチングPF「Brighty」開発者にインタビューしてみた

こんにちは!
月額制の開発チームレンタルの株式会社mofmofの経営をしたり、趣味で個人開発をしているobataです。
Xでも個人開発について発信しています→https://twitter.com/ObataGenta

個人開発をしている方へのインタビュー企画3回目はコーチングの見える化に特化したプラットフォーム「Brighty(ブライティー)」の開発者の「なる」さんです!→https://twitter.com/1026NT
個人開発者というより、もはや個人事業家といったほうが正しいような「なる」さんから個人開発者が狙うべきマーケットや、マーケティング方法について聞くことができました。

個人開発インタビューの第一回、二回はこちらからどうぞ。


開発者の紹介

なるさん(X: @1026NT).

🎤(obata)
今回はよろしくお願いします。まずは自己紹介をお願いします!

🙋‍♂️(なる)
「なる」です。
エンジニアとしては6年目で、フリーランスでサーバサイドエンジニアをしつつ、個人開発を趣味でやっている人間です。
自分でサービスを作れるように、フルスタックであることを常に意識しています。
スタートアップの会社さんがクライアントで、エンジニアに軸足をおきつつサービスの立ち上げを専門としているような人間です。

🎤(obata)
Brightyの前にはどんなものを作ってきましたか?

🙋‍♂️(なる)
ideee(アイディー)というwebアプリを作って、2年間運用してます。これはアイデアとエンジニアのマッチングプラットフォームで、「もったいない」を無くすことをモットーに作ったアプリです。

アイデアはあるけど作ることはできないアイデアマンがいたり、逆にエンジニアだけどアイデアがないという人もいますよね。
そういう人はせっかく作れるスキルをもっているのに、よくあるTODOアプリみたいなものを個人開発していたりします。
なので、その両者をマッチングさせることでアイデアを形にできないかなと思ってideeeを作りました。
今はアイデアが500件ほどで、ユーザー数が1200人ほどです。

🎤(obata)
確かに個人開発したいけどアイデアがないという問題は身近でもよく聞きます笑
アイデアをもらうことで、意義のあるものを作れるのはエンジニアにとっても嬉しいですね。

コーチングは自分の目的意識を明らかにできる

🎤(obata)
では、本題のBrightyについて聞かせてください!

Brightyはコーチングの見える化に特化したプラットフォームとのことですが、まずコーチングとは何か教えてもらえますか?

🙋‍♂️(なる)
そうですね、コーチングは正直怪しいイメージを持ってる人もいると思うんですけど、実際にはカウンセリングと似たもので、心理学を体系的に落とし込んだものです。
カウンセリングとの違いで言うと、カウンセリングはマイナスを0にするイメージで、コーチングは0をプラスにするイメージ。
「承認」などの心理学的なスキルを利用して、その人の気づいてない価値観であるとか、やりたい事に対して一緒に近づいていくような手法です。

🎤(obata)
なるほど。決して怪しいものではなく、心理学を応用したスキルなんですね。
コーチングを受けるべき人はどんな人なのでしょうか?

🙋‍♂️(なる)
目的意識を持った人のほとんどの人が受けるべきだと思ってます。
例えば転職をしたいと思った時には、やりたいことや条件があって結構悩むと思うんですけど、そういう考えをまとめたりとか、自分が気づけなかったことを一緒にコーチングを通して気づき、答えを出していくことができる、コーチングはそんなプロセスです。

🎤(obata)
 もしかして、エンジニアとコーチングって相性がよかったりしますか?笑

🙋‍♂️(なる)
よい質問ですね笑
コーチングを受けるのは意外とエンジニアだと思ってます。。
エンジニアは他の業種に比べて、やる気や自分のコミット量が短期間にすぐ返ってきやすいです。そんな業種は少ないんです。

例えば駆け出しエンジニアでも半年頑張れば割と再現性高くエンジニアになれる。
けど、途中でやる気が落ちてしまって、エンジニアになれなかったという人はよくみます。

フリーランスエンジニアでも売上が500万にも2000万にもなってる人を見ています。今現在のエンジニアの需要が高い状況を考えると、先の目標を持ってモチベーション高く楽しんでいけることが、結果に結びつきやすい業界だなと。

🎤(obata)
だからこそ、コーチングをうけることで自分のモチベーションをうまく引き出すことは、エンジニアにとってメリットがあるわけですね。

コーチングがなんなのかが理解できた気がします!

Brightyは情報非対称性を解消する

🎤(obata)
次に、Brightyが本質的に解決している課題やペインについて教えてください。

🙋‍♂️(なる)
まず、課題でいうとコーチングというものがすごく情報非対称性が高いということです。
やっぱりコーチングってなにをしているかわかりづらいものですし、 コーチを選ぶ時も「このコーチは何ができて、どういう個性があるのか」みたいなところもあまり見えず、お金を払うクライアント側からして何のメリットが得られるのかってとこがあまりわからない。
その情報拡散を埋めるため、それを見えるようにしてあげることで、この課題を解決できると思っています。

Brightyのユーザであるコーチのペインでいうと、コーチングをしている人たちはあまり発信が得意じゃない人が多いってことです。
コーチングの内容や、クオリティは確かなのに、きちんと伝わらず、結果的に稼げてない人が多い。
これも情報の非対称性を解決すれば、解消できると考えています。

例えばサジェスト機能とかで、その人に合わせた性格マッチングを行い、「このコーチと自分はマッチしてる」という裏付けをクライアント与えてあげますと。
そうすると、もともと5000円で行っていたコーチングにも、1万円を払ってもらえるようになると思うんですね。

このように情報非対称性を解消するだけで、顕在層と言われるような「なんかコーチングを受けたいな」と思ってるけど踏み切れないような人たちを実際にお金を払うステージまで持ってくことができ、コーチのペインを解決していけると考えています。

事前にコーチとの相性がわかる

ニッチマーケットだからこそ個人開発

🎤(obata)
なぜBrightyを作ろうと思ったのでしょうか?

🙋‍♂️(なる)
僕は新卒就活の段階でコーチング受けてて、就活にすごく役立ちました。
自分の目標やゴール、「どういうことがしたい人間なんだっけ」っていうところの答えがより明確になりました。
その経験があったので、新卒ではIT 業界かコーチング業界かというぐらい迷ってました。
なのでコーチングに対して自分の思い入れがかなりあります。

それを踏まえて、今ですね、自分でサービスを作れるようになってきて「自分が何に対して情熱を持てるんだろ?」と考えた時に、コーチングに対してはかなり情熱を持てると思ったから、コーチングというドメインに絞ろうと思いました。

🎤(obata)
コーチングには強い思い入れがあるんですね。
でもなぜ個人開発として作ろうと思ったんですか?

🙋‍♂️(なる)
これはかなり再現性の高い話をするんですけど、個人開発で作ろうと思った理由はニッチ戦略がすごくうまくはまりそうだったからです。

そもそも個人開発者って企業とかと比べると弱者ですと。
例えば価格競争とかマーケティング競争には勝てない。
こういう時、弱者だから取るべき戦略というのがあって、例えばニッチで市場が小さいけどすごく需要が高いところに刺してくみたいな戦略です。

今回僕が見たマーケットは、コーチング業界×フリーランス向けのマッチングプラットフォームなんで、かなりニッチなマーケットだと言えます。
市場調査した時に大きな企業ないか、企業として提供しているサービスでも、僕だったらよりいいものが作れると思えるようなサービスでした。
逆に言えば、強みでもあり弱みでもあるんですが、このような小さなマーケットでは売り上げはそこまで立たない。
僕は個人なので売り上げが立たないマーケットでも生きていけるのですが、企業は一定の売り上げが立たないマーケットで生きていけない。
つまり、後からこのマーケットには企業という強者が入り込んで来ないのです。

🎤(obata)
個人開発では「この技術を使ってみたい」や「これを作ったらニーズあるかも?」くらいの気持ちで取り組むパターンも多いですが、なるさんに関してはかなり戦略的に刺していこうとしていますね!

🙋‍♂️(なる)
そうですね。個人開発というか、もはや個人事業化ですね笑

落とし穴にハマるな!

🎤(obata)
個人開発だからこそ工夫をしてみたこと、意識していることはありますか?

🙋‍♂️(なる)
二つあります。
一つは最初にフロントのコードを買ってみたこと。Brightyではコーチの紹介ページのUIが重要だと考えてるので、デザイナーとのUIの認識をそろえるためにフロントのコートを買いました。
自分のUIの認識もですし、どういうページになるかをわかりやすくしたかったんで一旦コードを買いました。

(実際にコードを購入したサイト↓)

🎤(obata)
有料ライブラリや有料UIコンポーネントライブラリではなく、コード自体を購入するとはめずらしいですね!

🙋‍♂️(なる)
ただ、実際にはそのコードは使いませんでした笑
まあ1000円以下で買ったので後悔は全くしてないですね。

注意点としてあげるなら、買ったコードをそのまま使うことはまずできないという点です。
自分のコードに寄せていったり、モダンなコードに書き直したりとかは発生します。
なんで、コードが全く書けなくてただコピペしたい人には難しいと思います。
ある程度コードが書ける人だったら、一旦コードを買ってそれを編集するってのも早いかもしれないっていう感じです。

🎤(obata)
もう一つの意識した点は何ですか?

🙋‍♂️(なる)
もう一つはMVP的に小さく作って、小さく使ってもらうということです。

以前書いた個人開発のよくある落とし穴20選という記事でも言ってますが、個人開発のすごく大きな落とし穴は「自分が思ってること全部を作ってから人に見せる」ことですね。
人に使ってもらうことが大前提なサービスが多いのに、その人たちの反応を見ずに最後まで作り上げるのはとてもリスキー。

会社ではピボットと呼ばれるような方向修正を重ねることも多かったりしますが、個人開発だとついつい最初から0から100まで作ってしまいがちだったりします笑

そうではなくて、一番刺さる機能から作り始めて、それでまずサービスをつかってもらい、SaaSのように改善のPDCAを回していくことを意識しました。

🎤(obata)
なるほど。自分のこれまでを振り返ってみても、耳が痛いですね笑
本気で成功させたいと思った時、何をすべきかがとても勉強になります。

特に重要と考えているコーチ紹介ページ

本当に使ってくれるユーザーに直接アプローチする

🎤(obata)
ところでBrightyは2023年10月現在、先行登録のフェーズだそうですが、初期のユーザはどうやって集めようと思っていますか?

🙋‍♂️(なる)
まず、マッチングプラットフォームってすごく難しくて、ある一方とある一方を同時に集めてこないといけないんです。
どちらかが集まってない時点でみんなが解散しちゃうので、すぐにサービスが死んじゃいます。
なので、その盛り上がりをどう見せるかとかが、すごく課題が多くありました。
Brightyで言えばコーチ側とクライアント側をそれぞれ連れてこないといけません。

で、一番最初にやったのはコーチを先に連れてくることですね。
なぜかというと、コーチに対しては課題とか価値の提供をやりやすかったからです。
クライアントはコーチと出会いたいというのが一番の求めてることで、クライアントに対しての施策は後からでも打ちやすかったので、まずはコーチを先に集めました。

🎤(obata)
どうやってコーチを集めたんたんですか?

🙋‍♂️(なる)
コーチングってFacebookがグループあったり割と横のつながりがあります。
僕はコーチにインタビューを続けてて、これまで50人ぐらいにインタビューを行って、その中でコーチの繋がりを作りました。
サービスを開発する上でインタビューや、壁打ちをさせてもらったりする中で、そのコーチたちのネットワークを使ってBrightyを広げていくことをまずはやりました。

ニッチなマーケットを狙ってるがゆえに、そのコミュニティの中にいるトップの人たち、多分5人ぐらいに繋がったら結構の数のコーチににリーチできるんじゃないかと思っています。
この方法はかなり費用対効果が高いと思います。

🎤(obata)
いきなりweb広告を打つとかではなく、届けたいユーザにダイレクトにアプローチをしてきたんですね!
個人開発をしていると、ついつい「リリースをSNSで宣伝したらみんなつかってくれる」と淡い期待をもってしまいますが、なるさんは本当に使ってくれる人に堅実に正攻法でアプローチをしているという印象を持ちました。

🎤(obata)
その後の獲得戦略もお聞きできますか?

🙋‍♂️(なる)
その後のユーザー獲得戦略で言うとPLG(プロダクトレッドグロース)な方向性を考えてます。(PLGについてはこちら→プロダクトレッドグロース(PLG)とは?メリットや成功事例を解説)
本来の意味では、例えばSlackとかは「もうみんなが使ってるから僕らも使う よ」みたいな状態ですよね。
そんな大きい話ではなくても小さいPLGもあると思ってて、例えば友達を招待したら500円を割引するみたいな仕組みもPLGです。

Brightyの場合は、例えばコーチングのために便利なツールがたくさんあります。加えて、他の人にもBrightyを使ってもらうことでスムーズにやり取りができるようになる、みたいなことを考えてます。
そうすると、Brightyは無料でも使えるから、他の人も「無料なら使ってみるか」となり、無料ユーザーを増やしていけます。

その後は、無料ユーザーからだんだんと有料 ユーザーに変わってくれる動線を作りたいと思ってて、具体的にはフリーミアムプランとトライアルプランの両方を使っていきたいと思っています。

Brightyは無料の状態では機能は一部に制限されてて、もう少し使いたい場合は有料プランのトライアルができます。
そして、そのトライアルに価値を感じてもらえたら、そのまま有料プランに移行してもらうという流れです。

例えば、コーチのホームページとしての機能は無料でも使えるようにして、ブログ機能を使いたいなら有料プランのトライアルを試してもらうという感じです。

🎤(obata)
やはり飛び道具に頼らずに、SaaSの定石に則ってユーザを獲得していく戦略を考えているのですね。
>>どちらの話も、多くの個人開発者が抱える「作ったはいいけど使ってもらえない」という問題に対して非常に勉強になる話ですね!

エンジニアは挑戦に有利な状況にいる

🎤(obata)
最後に、この記事を読んでいるエンジニアに向けたメッセージをお願いします。

🙋‍♂️(なる)
そういうのいいですね!笑
それでいうと、今エンジニアは挑戦にとても有利な状況だってことを伝えたいです。

自分で何かを作れるという状況は他の業界ではなかなかありえない状況です。何かを作れるということがめちゃくちゃに才能ですよね。

それに、エンジニアは高い需要があるので、稼働を少し減らしてもまだ十分に稼げてしまうので、時間も柔軟に対応できてしまいます。
だからこそ、何回もチャレンジできる。これは他の職業にないチャンスだと思っています。

けど、 一つ気をつけてほしい事があって、それは個人開発者のほとんどが同じような落とし穴にハマっているということです。

「成功は芸術、失敗は科学」という言葉があります。
成功は再現性が少ないですが、失敗には再現性があります。
まずは失敗しない方法を学んでからチャレンジをしていくのが良いと思います。

🎤(obata)
ありがとうございます。
個人開発から始めて、たくさんの人に使ってもらえるサービスを作り上げたという話も時々聞きますが、それらも決して夢物語ではなく、「サービス作りの手法を学び正しく実践することで自分でも再現できるのではないか?」そんなふうに感じることができました。

終わりに

今回はBrightyの開発者、なるさんにインタビューをさせてもらいました。
エンジニアこそコーチングを受けるべきということですので、みなさんもコーチングを受けることを検討されてはどうでしょうか?

このNoteでは今後も個人開発をしてる方へのインタビューを計画しております。
もし協力してくださるという方がいましたら、obataまでご連絡いただけると嬉しいです!(DMでもリプでもOKです。)
https://twitter.com/ObataGenta

個人開発インタビューのバックナンバーはこちら↓


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