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ハイライト! 2020新作映画~1月編

鑑賞した2020年新作映画の中から、ハイライトとなる作品を、月毎に気ままに備忘録&ご紹介。

『パラサイト 半地下の家族』

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2019年12月27日日本公開/132分/韓国

 あらすじ
全員失業中で、その日暮らしの生活を送る貧しいキム一家。長男ギウは、ひょんなことからIT企業のCEOである超裕福なパク氏の家へ、家庭教師の面接を受けに行くことになる。そして、兄に続き、妹のギジョンも豪邸に足を踏み入れるが...この相反する2つの家族の出会いは、誰も観たことのない想像を超える悲喜劇へと猛烈に加速していく――。(引用:フィルマークス

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『パラサイト 半地下の家族』の、ここが良かった話
タイトルがゆっくりと浮かび上がり、ゾクゾクする期待とともに、映画は始まります。映像も美術も衣装も音楽も演技も演出も、いちいち、超一級。

「映画力」に満ち溢れたスクリーンを観ているだけで、その圧倒的な「凝縮度」の高さに、きっとニヤニヤが止まらない(はず)。

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そしてコメディカラーの序盤から、次第に中盤にかけて「あれ…この映画、一体どこに連れてかれるの…?」と、雰囲気を変えてくる物語にドキドキ、ハラハラといった、心地い期待感・不安感が募ってゆきます…。

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先がみえない展開。得体の知れない "どこか” に、ジェットコースターのような速度で突入してゆき、走り抜けたその先…「なんだ、この気持ちは…」。この映画の「無類の面白さ」に、ついには私自身の感情は、迷子になってしまいましたとさ…。

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ネタバレ厳禁の作品故、“感情曲線”のみ、抽象的な作品紹介となってしまいましたが「百聞は一見に如かず、いいから、映画館行って観なよ!」が、この映画に一番ぴったりなコメントです。

一人でも多くの人に「体験」してほしい、大人向けのテーマパークのような映画。社会派エンターテイメントの最新系に、リスペクツ!!!!


『フォードvsフェラーリ』

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2020年1月10日日本公開/153分/アメリカ

あらすじ
ル・マンでの勝利という、フォード・モーター社の使命を受けたカー・エンジニアのキャロル・シェルビー(マット・デイモン)。常勝チームのフェラーリに勝つためには、フェラーリを超える新しい車の開発、優秀なドライバーが必要だった。彼は、破天荒なイギリス人レーサー、ケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)に目をつける。限られた資金・時間の中、シェルビーとマイルズは、力を合わせて立ちはだかる数々の乗り越え、いよいよ1966年のル・マン24時間耐久レースで長年絶対王者として君臨しているエンツォ・フェラーリ率いるフェラーリ社に挑戦することになる。(引用:フィルマークス)

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『フォードVSフェラーリ』の、ここが良かった話
傑作でした。レースシーンはマシンの走りを、本当に目の前で見守るかのように高揚・没入し、静的なシーンはクラシカルで美麗なルックに酔う。そして、本作は只のレース映画に非ず。

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笑えて、泣けて、熱くなれる。全方位に隙なく、万人に開けた面白さに満ちたこの感じは、音楽というジャンル映画に一切閉じることがなかった、18年の『ボヘミアン・ラプソディ』的とも言えます。

もしレース映画はちょっと…と今一興味を持てない人でも『紅の豚』は、お嫌いじゃないはず。きっと似たバイブスを感じ取れると思います。

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引き合いにジブリアニメを出せるくらい、裾野の広い映画が『フォードvsフェラーリ』。好きなことに、夢中になること、熱狂することの尊さ。それは時に、勝つこと以上に、人生を輝かせてくれると、今日に生きる私たちを勇気付けてくれる一本です。


『ジョジョ・ラビット』 

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 2020年1月17日日本公開/109分/アメリカ

あらすじ
舞台は、第二次世界大戦下のドイツ。心優しい10歳の少年ジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)は、空想上の友だちのアドルフ・ヒトラー(タイカ・ワイティティ)の助けを借りながら、青少年集団ヒトラーユーゲントで立派な兵士になろうと奮闘していた。しかし、ジョジョは訓練でウサギを殺すことができず、教官から”ジョジョ・ラビット”という不名誉なあだ名をつけられ、仲間たちからもからかわれてしまう。そんなある日、母親(スカーレット・ヨハンソン)とふたりで暮らしていたジョジョは、家の片隅に隠された小さな部屋で、ユダヤ人の少女(トーマサイン・マッケンジー)がこっそりと匿われていることに気付く。ジョジョの頼りとなるのは、ちょっぴり皮肉屋で口うるさいアドルフだけ…。臆病なジョジョの生活は一体どうなってしまうのか!?(引用:フィルマークス

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『ジョジョラビット』の、ここが良かった話 
色違い・国違いの、この世界の片隅に🇩🇪と言うべき、戦争映画。喜劇と悲劇。シリアスとユーモア。甘さと苦さ。

「物語のグラデーション」がとにかく素晴らしい上に、それがウェス・アンダーソン作品的な絵作りで、「視覚的」に紡がれる。恐るべしタイカ・ワイテティ監督…。

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ヒトラー役で出演の監督本人ほか、スカヨハ、サム・ロックウェルといった脇役の演技が光り、何よりジョジョ役ローマン君の魅力に、観ればのっけから、やられるはずです。かわわわわいい。

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また、タイカ監督演じるヒトラー。ジョジョのイマジナリーフレンドとしての妖精的な荒唐無稽さ、似非具合にまみれつつ、それでいて映画のある一瞬「ほんもの」に迫る演技を体現してくるあたり。

〈ジョジョの頭の中のヒトラー〉として、これしかないという絶妙なバランス、針の穴を突いてくる演技を目の当たりにします。タイカ監督、本当に才人ですね、あなた。

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10歳のナチ少年の成長という、ミクロな視点でマクロな戦争を伝え見せる、秀作。ヘイトじゃなく、愛と感動と勇気で、人は歴史は、前に進める。

子供に見せたい、見せれる戦争映画という点でも、今年色々な人に「これはぜひ!」と、オススメしていきたい一本です。


『リチャード・ジュエル 』

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2020年1月17日日本公開/131分/アメリカ

あらすじ
1996年、アトランタ・オリンピック開催中に爆破テロ事件が勃発。不審なバックを発見した警備員リチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)の迅速な通報によって数多くの力で多くの人命が救われた。だが、爆弾の第一発見者であることでFBIから疑われ、第一容疑者として逮捕されてしまう。ジュエルの窮地に立ち上がった弁護士のワトソン・ブライアント(サム・ロックウェル)は、この捜査に異を唱えるのだが…。(引用:フィルマークス

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『リチャード・ジュエルの、ここが良かった話
観客に「あちゃ〜」と思わせる天才。『アイトーニャ』『ブラック・クランズマン』のアイツこと、ポール・ウォルターハウザー主演。

彼お得意の駄目さを湛えた一級演技は進化を遂げ、ハウザー様の、俳優としての新たな演技領域を、たっぷり堪能できる一作。

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巨匠イーストウッドの、無駄を一切削ぎおとしたタイトな語り口で、冤罪とメディアリンチ、それに立ち向かう〈善き行いをした人〉が描かれます。

近作の『アメリカン・スナイパー』『ハドソン川の奇跡』『運び屋』等、もうすぐ90歳になる監督の「世界の不条理と、それにさらされる人達」への眼差しが、作品を通じて透けて見えてくるようです。


 『音楽』

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2020年1月11日日本公開/71分/PG12/日本 

  あらすじ
楽器を触ったこともなかった不良たちが思いつきでバンドを組むところから始まるロック奇譚。(引用:フィルマークス

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『音楽』の、ここが良かった話
手描作画4万枚超、完成まで7年!レトロで色彩豊か、水彩画のような味わい深い背景美術に、何気ない日常風景や所作すら視覚的に楽しい、ぬるぬるアニメーション。

何より会話や物語運び、間やテンポ、リズムがいちいち心地いい…人肌や温もり、音楽への愛情とリスペクトに満ち溢れた、こちらも傑作です。

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音楽が生まれる瞬間と喜びを、映画に切り取るとゆう点で「シングストリート」「はじまりのうた」のジョン・カーニー監督作品を思い出します。

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ロトスコープ撮影によって作られた、本当に魂が宿ったようなライブ演奏シーンは必見です。笑えて暖くて、クライマックスには思わず涙ぐむ場面も。

公開規模は大きくないため、ぜひ口コミとともに、公開館数を増やしていってほしいもの。きっと、何かしらの形で音楽に関わる人にとっての「俺の映画」「私の映画」になるはずです。


『ナイブス・アウト/名探偵と刃の館の秘密』

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2020年1月31日日本公開/130分/アメリカ 

あらすじ
NYの豪邸で世界的ミステリー作家の85歳の誕生日パーティーが開かれた翌朝、彼が遺体で発見される。名探偵ブノワ・ブランは、匿名の人物からこの事件の調査依頼を受けることになる。パーティーに参加していた資産家の家族や看護師、家政婦ら屋敷にいた全員が第一容疑者。調査が進むうちに名探偵が家族のもつれた謎を解き明かし、事件の真相に迫っていく―。 (引用:フィルマークス)

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『ナイブス・アウト/名探偵と刃の館の秘密』の、ここが良かった話
ノーマークでした…痛快!展開に継ぐ展開。めちゃくちゃポップで軽やか、切れ味◎のエンタメミステリー。

作品自体、勿論認知はしていたんですが。

監督ライアン・ジョンソンに対しては、映画の画面構築力の信頼は厚い一方で「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」の話運び・手際の悪さの記憶を、ぬぐい切れずにいました。

また、日本版のケバめな予告編と合間って「これ中身がペラペラな、名優揃えただけの冗長なミステリーの類では?」と勝手な偏見で、地雷案件として敬遠していたのですが…

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いざ蓋を開けてみれば。そんな身構えたこちらにライアン・ジョンソン監督から「FU●K YOU」と中指を立てられたような、痛快な面白さ。

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王道ミステリーとしての伏線回収の心地良さ、刑事コロンボのようなクラシカルな軽妙さ、現代アメリカの人種・格差問題への風刺…いずれもが絶妙なバランスで〈エンタテイメント〉として昇華されています。

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アカデミー賞脚本賞ノミネートも納得の、練り上げられたプロットで名優達が繰り広げる演技合戦。そのいずれもが、最高のボンクラ・クソ野郎演技。2020年最高のベスト・ゲロインに巡り会うこともできます。

"my house, my rules, my coffee"
とても味わい深い、この映画のキーワードですが、これも監督個人から世界の映画ファン達に向けたメッセージなのでは…と、邪推してしまいます。

勝手な先入観から入ったせいもあり、頬を平手打ちされたような感覚。娯楽ミステリーに、また新たなタイトルが加わりました。


2020年、1月、早くもベスト級の作品連発中で困惑中…。今年はもっともっと、観る数、増やしてくぞ〜!

あらすじ引用
フィルマークス(各作品ページ)

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