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「感動」のSTAR(スター)分析:前編

こんにちは、“映画おばけ” です。

普段は、企業様の広告コミュニケーションや、
プロモーションを企画したり、サポートするお仕事をさせて頂いてます。

とりわけ、映画や音楽、漫画やアニメといったエンタメ商材に関わることが多い身の上ということもあり。

エンタメ体験にまつわる「面白い」という感覚を科学し、自身の企画のノウハウにフィードバックして体系的な整理をしたいなあと、色々な先行研究を調べています。

この度、前野隆司(まえのたかし)氏の著書『感動のメカニズム 心を動かす Work&Lifeのつくり方』(講談社現代新書)に遭遇し、

氏の提唱する「感動のSTAR(スター)分析」がとても参考となったため、私なりの咀嚼もかねて、前半・後半の2回に分けて、noteで備忘録したいと思います。

前野隆司(まえのたかし)氏について

前野氏の研究対象は、「感動」です。私たちの心に起きる、感動事象、感動現象の体系的な研究をされていらっしゃいます。

前野隆司(まえのたかし)
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授。ヒューマンマシンシステム、イノベーション教育、社会システムデザイン、幸福学、システムデザイン・マネジメント学などの研究に従事。

氏は著書の中で、経済・マーケティング文脈に由来する感動構造のフレームワークをさらに整理・発展させた「感動のSTAR(スター)分析」を提唱し、感動のメカニズムについて解明しようとしています。

このSTAR分析は「経験経済」「経験価値マーケティング」の考えが大前提となるため、以下の通り、掻い摘んだ説明をします。

前談:「経験経済」とは?

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経済学者J.H.ギルモアは 、90年代の終わり、

「コモデティ(代替可能価値)」
 ↓
「製品(有形価値)」
 ↓
「サービス(無形価値)」〜と

「経済価値」は、価値とともに次第に抽象性を高め、さらには感情的・身体的・知的的・精神的な働きかけによって心の中に生まれる"経験”こそが至上の価値になるという「経験経済(エクスペリエンス・エコノミー)」を提唱しました。

さらにギルモアは「経験経済」の需要の源は"感動”であると述べており、この感動を構成する4つの要素として、4E flameを提唱しました。

感動を構成する4つの要素(4E flame)
Entertainment(娯楽領域)
Education(教育領域)
Escape(脱日常領域)
Esthetic(美的領域)

これら「4E」のいくつかが組み合わさって、一つの「経験」は形作られるというのがギルモアの提言で、経験経済のフレームワークは、感動経験分野における基礎研究とされています。

私、映画おばけ自身は、この中の「Entertainment」の分野に身を置き、エンタメ切り口かから感動や面白いを科学できないかと、日々あくせくしている立場となります。

前談:「経験価値マーケティング」とは?

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さらに2000年代に入ると、この経験経済を前提に、マーケティングにおける発展的な整理として「経験価値マーケティング」が、バーンド・H. シュミットによって提唱されます。

シュミットの提唱する「経験価値」とは、製品やサービスの、物質的・金銭的な価値ではなく、その利用経験を通じてえられる効果や、満足感のような心理・感覚的な価値を指します。

「経験価値マーケティング」は、消費者の「感情・心・精神・感覚」に働きかける等、消費者の経験上のニーズを数多く取り入れ、最終的にはブランド価値に奉還し、ブランド価値そのものを大きくすることで他ブランドとの差別化や、優位確立する考え方を指します。

2000年代以降、今日まで多くの先進企業が取り入れ実践してきました。

さらにシュミットは「心は、ある特化した複数の機能領域によって構成される」〜と仮定した上で、消費者の経験価値を以下の5つに分類し「戦略的経験価値モュール」と呼びました。  

5つの戦略的経験価値モジュール
①SENCE:五感で感じた価値
②FEEL:感情の高ぶりとして感じた価値
③THINK:知見の拡大として感じた価値
④ACT:体験の拡大として感じた価値
⑤RELATE:関係性の拡大として感じた価値

モジュール、すなわち「経験価値の組み立てユニット」が、この5つという整理になります。

そして前野氏は「SENCE」「THINK」「ACT」「RELATE」という4つの経験事象の結果として「感動」=「FEEL」に至るという関係性を整理した上で、感動を呼び起こす4つの経験事象の頭文字を取り、

「感動のSTAR(スター)分析」という、
"感動の構成要素”を整理するフレームワークを提唱しました。

「感動」のSTAR(スター)分析:後編  に続きます



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