人生で最後の恋


同い年の上司に恋をした
いけない恋、許されない恋だ

まさに今まだ恋をしている
人生で最後の恋
ありきたりだと笑われるかもしれない
でも絶対そうだと自信がある


思えば、最初から好意を持っていたのかもしれない
5年ほど前ただの採用面接で、彼の話す声、口調、熱さを感じさせる視線、好感を抱いたのは確かだ

採用後、仕事は残業が多く、中途採用で30オーバーの私は完璧に浮いた存在
彼は直属の上司
「私にしか相談できないでしょ?なんでも言って。」
「いなきゃ困るからね。」
と私の仕事での存在を認めてくれたし、本当によく話を聞いてくれた

彼も仕事の相談を私にしてくれるようになり
お互いに悪いところも言い合ったり、
認め合ったりすることができた
忙しくて残業も多かったけど、仕事が充実してた

とても楽しかった
彼と話ができるのが

よい仕事のパートナー
お互いにそう思っていたのは間違いない


同僚含めてご飯を食べに行った帰り
お酒を飲んだ彼を送っていく車内で
気持ちだけ受け取ってと「好きだ」と言われた

既婚で子持ちの35を超えた私を?
まさかまさか
いやーリスク冒してまでそんなバカな…

困惑する反面
胸がドキドキした
いつぶりだろうか
私にまだこんなときめく力が残ってたなんて


もちろん
私も常識くらいは知っている
最初はまーまた冗談言って…
私は既婚です、ダメです、もっとちゃんと幸せになれる方法考えてくださいね
などとしっかり線を引いた

夫との関係性は悪化するばかりで
もうすでに夫と老後は一緒に過ごせないなと感じていた私にとって、
仕事の話も家庭の話もできる彼の存在は支えだったのは紛れもない事実だった

タイミングは何にとっても大事なのだ


その後も彼はひかず
私も自分の気持ちに正直になるようになった後は早かった

ほんの少しの時間を作っては車で会って

手を繋ぐ
話をする
キスをする

人と手を繋ぐことがこんなに満たされることだなんて初めて知った
自分を偽らず、そのままいられる
認め合える
なんでも笑い合える
素直になれる
謝れる
私の人生に色がついた、そんな感覚


「付き合ってほしい」
「ずっと待てるよ」
「きれいだ」
「愛しい」
「一緒になりたい」
「触れていたい」


ストレートに伝えてくれる彼を
仕事で頑張っている彼を
最後は自分の非をちゃんと認められる彼を

私は心底好きになってしまった
仕事でも家庭でも支えたいと思うようになってしまった


今もなお
「すき」
じゃ足りない
「愛しい」
でも足りない
この気持ちが愛や恋じゃないとしたら
この世に愛なんて存在しない



私が死ぬ時、思い出すのは彼だ


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