ダブり〜3限目〜J

停学も開け数日が経った。

心配していたがモトキタも普段のままの様子だ。
話しによると引越し先も決まり近々引越すようだ
例のストーカーの件は?と言うと
見事にニュースになり学校にはマスコミが
ほんの少しだが来ており教頭を筆頭に教師たちは
その対応をしていた。
あんなに嫌がっていた教頭だが、気のせいか嬉しそうにインタビューを受けていた。
だが、裏で大物政治家が反社との癒着が公になり
そっちがメインニュースをかざっていた。

しかし何故だかわからないが一部のネットで
モトキタがバズっている。

【神級の教師】
【あんな先生が担任なら・・】
【ちっぱい】etc…

なんて一部のネット民にウケていたのだ。
モトキタのSNSはここ数日でフォロワーが増えた
本人は、【なぜ?】的にしか思っていなかった。

そんな事もありながらも学校ではカミイの噂が
風船の様に大きく膨らみ、デマかマジかわからない話しがとびかっていたが、それは風船のように
気付けば何処かへ飛んで行っていた。

モトキタはカミイの件に関しては被害届を出さなかった。
示談と言う形をとりカミイに罰を与えなかった。
でも、カミイは妻と離婚し娘とも別れ、学校を
依願退職した。

ストーカーのツジは?と言うと
マミさんの話しでは、取り調べに対して
真面目に受け答えをするようだ。
今後は法の元で裁かれる事になる。
だけど、あの日の切り裂いた下着は確かにツジの犯行だが、動物の血液の事だけは否認しているようだ。
ツジの件は警察がどうにかしてくれる事だろう。

ゴウたちは、カワヨシが停学から開けた事により
一段と勢力を増した。

実は停学になった初日、ゴウが俺の家へ来た。
俺の家の前から電話をしてきたのだ。
俺は電話をとり
「おーゴウ!どうした?」
ゴウは
「ちょっと出れるか?」
俺はスエットのまま家を出た。

少し歩いた所に公園があり、そこで話しをした。

「この間は助かったよ」
とゴウは言った。
俺は
「そんな事、言いに来たのか?」
と言うとゴウは
「いや、あん時の話し覚えてるか?」
俺は
「あん時??」
少し考えた。
「あぁ、モトキタか?」
ゴウは
「どう思う?ってかヤバいよな?」
俺は
「別にヤバくはないだろ!?好きになった人が
たまたま教師だって事だろ?」

人を好きになるって事にヤバいもヤバくないも
ないと思ったからそう答えた。
とは言え、今は感情だけが先走る歳なのかもな!
これから大人になっていく過程で人を好きになるって感情も成長していくのだろう。
だから今はその感情のまま進めばいいと思う。

それを聞いてホッとしたのか
「今考えりゃ、初めて会った時なんて、ただただウザっ!て思ってて。まさかこんな気持ちになるなんてな」
と言ったゴウに俺は
「ほんとそう思うよ」
と返した。
そして俺は
「ってか、決めては?」
と聞くとゴウは
「この間かな?守ってやりたいって思った」
俺はそんなゴウの肩を叩き
「んじゃー守ってやんなさいよ!」
と言った。

【これから隣にいて「好き」とか「幸せだねっ」ってフレーズが出るような関係になるといいな】

みないな事を言いたかった思けど言わなかった。
俺はゴウに
「たまには、Liveこいよ!チケットも余りまくってるから」
と言って大量のチケットを渡した。
ゴウは
「よしゃっ!盛り上げてやるよ」
と言ってチケットを受け取った。

そしてLive当日。

やはりチケットは売れ残り、客は完全に身内だ。

客席を埋めたのはディズニーのメンバーだ。

左側のカウンターに副会長とモトキタの姿が
あった。そこにはササマキにエトウとサワナカの姿も。

完全にうちわノリと化したLiveは盛り上がった。
途中、ゲームしたり、ディズニーのメンバーが
コントしたりモノマネやカラオケしたりして。

みんな笑っていた。

俺は少しカウンターへ行き
「盛り上がってんな!?」
「俺らのLiveより盛り上がてるよ!
           てか、お前も歌うか?」
と副会長に言った。
副会長は
「いいよー恥ずかしいから」
すると酒が入ったモトキタが
「じゃー私歌うっ!!」
と言ってステージへ上がった。

タイケが
「あっ先生!この間はどうも!」
モトキタは揺れながら
「あぁータイケだぁ!」

モトキタは酔っ払っていた。

ナカヒロがスティックを叩き曲が始まる。
モトキタは今トレンドの歌を熱唱した。

副会長が
「えー先生、若いねぇ」
俺は
「だな!お前も歌えよ」
副会長は
「無理、無理、無理」
と言った。
俺は
「女優だったな?なら、演劇でもするか?」
とちゃかした。
副会長は
「最低!すぐイジるよね」
俺は
「いいだろ?別に」
「まー今日はモトキタの誕生日の前祝いだ」
副会長は
「だね!じゃー盛り上がろう!!」
と言ってグラスのドリンクを飲み干しステージへ向かって行った。
ササマキが
「リョーっち、行ったね!?」
と俺に言った。

副会長がステージにつくと
「ナカタさん!一緒に歌うぞー!!」
とモトキタが誘った。

2人で飛び跳ねながら歌っていた。

歌い終わり再びカウンターへ戻ってきた。 
「あー気持ち良かった!」
とモトキタは言ってまたお酒を飲み出した。

「お前、歌えるじゃん!」
と副会長に言うと
「すごく緊張したけど歌い出すといっきに
           テンション上がったよ」
俺は
「だろ!?」
と言うと
「会長が見てる景色を見れて良かったよ」
ホールは音や笑い声、会話でうるさくて
その言葉が聞き取れ無かった。
俺は
「えっ?なに??」
と聞き返すと、副会長は
「あと少しで終わるね」
と俺に言った。
俺は、
「だな!でも、ラストは今日イチの
          盛り上がりを見せるぜ」
と言って俺は席を立った。
副会長は
「え?何かあるの?」
と聞いてきた。
俺は
「まー見てな」
と言ってステージへ上がった。

俺はマイクを手にとり
「今日はありがとうな」
「色々あったけど、俺たちにとって大切な人が
無事だった。これもみんなのお陰だと俺は思う」

ヒュー

と指笛が鳴った。

「しぃー」
「と・く・にっ!テマエとシマキ!」
「今回、お前たちが動いてくれて本当に良かったそして、カワヨシも!バイト頑張れよっ」
カワヨシは腕を上げた。俺は後を向いて
「ここにいるメンバーも!」
「関係のない、俺の学校の事にもかかわらず
          一緒になって来てくれた」
「上手く言葉に出来ないが・・・
      とにかくイズミさいこぉーっ!!」
うぇ〜いっ
と歓声が上がった。
「そして、OREnoAOHARUサイコー!!」
再び歓声と拍手が鳴った。

「モトキタぁ〜いやっ、センセー
          誕生日おめでとう!!」

「いくぞぉーラストぉー」

ナカヒロが叩いた

チャン チャン

メロディーが鳴り最後の曲を歌った。

会場は完全にうちわノリでぐちゃぐちゃになりそうな程盛り上がった。

後半のパートを歌ったあと、俺は再び話した。

タイケはギターでメロディーを流してくれた。

「さっきも言ったけど、とにかくサイコーだ!」
「でも、もっとサイコーな時間にしたいんだ!」

「なぁー!?オカウエゴウ!」
突然名前を呼ばれたゴウはキョトンとしていた。

「ゴウ!言いたいことあるんだろ?」
「男みせろやーーー」
と言ってマイクをゴウに投げた。

ゴウはマイクをキャッチして
「しゃぁー!」
と気合を入れた後、話し出した。
「ウィス!盛り上がってっか?」

イェーイっ!!

「今回は、ガチでありがとう!
      正直言ってガチ死ぬかと思った」

【誰が死ぬってー?】

【殺人犯にならなくてよかったなー!!】

など笑声やチャチャが入ったりして。

ゴウは話しを続けた。

「そんな中で思ったんだ・・・」

「お前らサイコーだぞ!!」
「残り少ない学生生活
       もう少しバカしよーぜっ」

おーっ!!

ボルテージは一気に上昇した。

「で、モトキタナオ!」
とゴウはモトキタを呼んだ。
その瞬間、会場は静まった。

モトキタはカウンター席からゴウを見た。

スポットライトはゴウとモトキタを照らした。
するとゴウは話し出した。
「今から話す事、ちゃかさないで聞いて欲しい」
それを聞いたモトキタは席を立とうとしたが
ゴウは
「そのまま、聞いてくれ!」

はぁーとひと呼吸置いてゴウはモトキタに
告白した。

「簡単な言葉だけど好きだ!」
「今は、教師と生徒だから無理は承知だ。。
でも、ワンチャン・・・って、何が言てんだ!
とにかく、どうしようもないくらいに好きなんだ
上手くは伝えれないけど、ただ好きだ」

さらに会場は盛り上がり

モトキタ!モトキタ!
とモトキタコールが鳴った。

俺はこの恋の結末がやっぱり知りたくなった。

すると

「オカウエゴウっ!」 

モトキタは叫んだ。

そのひと言でコールは止み、ギャラリーの目は
モトキタに注目した。
酔っ払っているせいか、フラフラ歩きながら
ゴウのもとへ歩いてきた。

モトキタを目の前にしたゴウは
「おいっ、大丈夫か?飲み過ぎだろ?」
と言うとモトキタはゴウからマイクを奪い取り
ゴウに言った。

「オカウエゴウ!?」
「好きなのか?」
「こんな年上を愛してるのか?」
と呂律が回ってないモトキタだが話しを続けた。

「私はこう見えても教師なの!だから生徒と
どうのこーのにはなれないつーのっ!!」

当然の答えだ。
少しざわざわする空間。
だが、モトキタは話しを続けた。

「でも、どうしても私の事が好きならなぁ〜」

「とりあえず毎日学校に来いっ!」

「そして、やりたいこと探して、見つけて、、
卒業して、働いて・・恋愛して・・夢叶えて・」

「それでもまだ今の気持ちのままだったら・・
    その時もう1度、同じ事を私に言えっ」
「だから、それまでは先生と生徒だっ!」
それを聞いたゴウは何も言わずあの日渡し
そびれた箱を取り出して中身を出した。
そしてこう言った。
「わかった。必ず言うよ」
と言って手に持っていたのはネクレスだった。

ゴウはそのネックレスをモトキタの首へつけた。

かなり酔っているのかフラフラなモトキタは
そのネクレスを見て
「約束なっ!」
と言ってゴウの胸ぐらを掴みキスをした。

うわぁー!!

その場が揺れるぐらいにみんな叫び、飛び跳ねた

突然のキスにただ立ち尽くすままのゴウ。
口を押さえてびっくりする副会長。
抱き合ってるテマエとシマキ。

次の瞬間モトキタは突如、口を手で押さえ
「ダメっ、出る」
と言ってその場に本日摂取したお酒をすべて
リバースした。

そんな事はお構いなしっ!!

俺たちはもう一度歌を歌いなおした。

この恋の結末はどうなるかわからないが
きっとハッピーエンドのような気がする。

この日は最高で最高の夜だった。


次の日
昨晩、飲み過ぎたせいかモトキタはどうやら
二日酔いのようだった。
なんとか午前中をしのぎ、午後になるとだんだん酒が抜けたのかテンションが上がりだした。
とは言え、もう最後のホームルームだ。

今日はこれを終えれば終了だ。

キーンコーン カーンコーン

と終わりをつげた。

俺は
「きりーつ」
と言った。

クラスの奴らが立った。
俺はいつも通りに「れー」って言おうとした
時だった。

副会長が突然
「センセーっ」
と言うと、それに続くように他の奴らが一斉に
「ハッピーバースデー!!」
と言った。

突然の言葉にモトキタは
「えぇ!?」
と驚いた。そして
「ありがとうぉぉぉ」
と感激していた。

俺は副会長に
「てか、急に何だよ?」
副会長は
「何だよ?って、サプライズだよ」
俺は
「いやっ、それは見りゃわかるけど・・
           俺知らなかったしょ」
副会長は
「あれっ!?言ってなかったっけ?」
俺は
「聞いてねーよっ」
すると副会長は思い出したかのよいに
「会長っ、停学だったね!それはゴメン」
と俺の肩を叩いた。

モトキタを見ると泣いていた。
そんな担任を囲む生徒。
背中をさすってなだめる生徒。
これが、3度目の1年のクラスだ。

すると副会長が
「センセー?」
とモトキタに声をかけた。

モトキタは副会長のほうを見た。

副会長は
「みんなで写真撮ろ!」
その言葉にクラスの奴らは
「撮ろっ!」
と盛り上がった。

副会長は
「会長もっ、ほら」
と言ってクラス全員を校庭へ連れ出した。

クラス全員を並べて、たまたま通りかかった
先生にスマホを渡して写真を撮ろうとしたとき

「おーっ、何やってんだ?」
と声がした先にゴウがいた。

カワヨシが
「俺が撮ってやろうか?」
と言ってこっちへ向かってきた。

するとサワナカが俺に
「会長、会長?」
俺は
「何?何?」
と聞き返すと
「ちょっとあの人誰?すごくイケメンじゃん」
俺はカワヨシの事を話した。

サワナカは
「先輩達も一緒にとりましょーうよ」
と言った。

カワヨシは
「それいいーじゃんっ!なぁ?ゴウ?
           せっかくだし撮ろぜ」
と言ってスマホを再び先生に渡した。

「じゃーいきますよ、モトキタ先生笑って」

カシャ

俺たちが帰ろうとした時、モトキタが呼んだ
「コニシくん、色々ありがとうね」
俺は
「俺は何もやってないよ、これは副会長達からのプレゼントだから」
「あっ、それと・・」
モトキタは
「何?」
俺は
「昨日の事だけどマジか?」
と聞くとモトキタは
「えっ!?マジって何が?」
「もしかして昨日私、何かしでかした?」
「正直、途中から記憶ないんだ。。」
と笑顔で言ったモトキタの首にはゴウから貰ったネックレスがあった。
俺は
「サイコーだったよ」
と言って「何?何?何があったの?」と
聞いてくるモトキタに手を振って帰った。

その日の夜スタジオで
「できたっ!」
ウエイが
「おっマジか?じゃー早速合わせよーぜ」


◆Love Song◆
作詞:コニシユウ
作曲:ウエイヨシミツ
編曲:OREnoAOHARU

今から僕の想い話すからね
ちゃかさないで聞いて欲しいこの歌を
このまま・・このまま・・

初めて会った時
こんな気持ちになるなんて
I don't think so. Really
(本当思うわけない)  

こんなに胸に君がいて
頭の中から離れない
「好き」ってフレーズが

あの日から僕の想い話したくて
ちゃかされるから言えなかったこの瞬間まで
だけど・・だけど・・      (とき)

今日、会った時
言えるかな?と思ってたんだ
I don't want to leave you
(君と離れたくない)

これからそばに君がいて
その隣に僕がいて
「幸せだね(笑)」ってフレーズが

今すぐに僕の想い話したくて
ちゃかさないで聞いて欲しいここからは
そのまま・・そのまま・・

簡単な言葉だけど好きなんだ
今は君と歩けないけれど
いつか必ず君を連れて歩くよ
君の手を繋いで

どうしようもないくらいに好きなんだ
この歌じゃ歌いきれないから
だから・・だから・・

僕は君にキスをした


最後はあの日言ったゴウの言葉を借りた。
簡単な言葉だけど、【好き】って実は難しい言葉なのかもしれない。
でも、ゴウは難しいからこそシンプルに伝えたんだと俺は思う。
それはきっとモトキタにも伝わっただろう。
世間からすりゃ、まだまだ子供かもしれねぇが
俺たちは俺たちなりに今を生きている。
いつか俺もそんな気持ちになるのだろうか?
だけど何となくだが【好き】ってこう言うこと
なんじゃないか?
いつか大人になったらまた違った感じになるかも
しれないけどこれが今の俺が描くLove Songだ。

机に置いていたスマホを見ると
副会長からメッセージと写真が送られていた。
そこには
「いい加減クラスグループ入ってよ。
         今日の写真送っておくね」
そこには、悪そうな奴らと、笑う生徒たちに
囲まれ、とびっきりの笑顔のモトキタが写った
写真が貼られていた。

俺は
「グループはパス!写真サンキュー」
と返信した。

すると
「会長、今回は笑ってるねっ」
と返信がきた。

よく見ると
2回目の集合写真の俺は笑っていた。                    

              3限目おわり

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