ダブり〜3限目〜C

早速、次の日から俺たちは動きだした。
まさかゴウがモトキタに惚れてたとは・・。
俺たちも衝撃を受けた。
だが、俺たちはそこをイジらなかった。
なぜ?っていいじゃん、別に。
ツレが惚れてるんだ。
好きになった人がたまたま教師だったってだけの
事だから。

ゴウが動くって事だからストーカーが捕まるのも時間の問題だが、俺はまずモトキタと話をする事にした。

「モトキタ先生っ」

モトキタは
「あら、コニシくん。何?何?気持ち悪いんだけど、なんか問題起こした?」

俺は
「ちげーよ、昨日いい感じだったらしいなぁ〜」
「てか、先生って呼べっていつも言うだろ?」

するとモトキタは
「あぁオカウエくんから聞いたの?残念だけど
コニシくん達が望んでるような事はないから」
「コニシくんもやっぱりまだまだ子供だねっ」
といつも通りのモトキタだった。

俺は、昨日後をつけた事は言わずに
「ストーカーされてんだろ?大丈夫か?」
と聞いた。

モトキタは
「もう、オカウエくんたら….言わないって約束
したのに!!大丈夫だよ」
「私の勘違いかもしれないし」

俺は、
「そっか!?まーそれもそうだな、値打ちこきすぎなんだよ」
と言った。

するとモトキタは俺に
「おい、なんか言った?」

俺は、
「いやっ、なんにも。でもゴウは心配してたぞ」

すると
「オカウエくんは優しいからね」
「コニシくんもありがとう!オカウエくんにも
そう言っといて」

俺は
「わかった。まぁ何かあったら言えよ」

するとモトキタは
「あっ!コニシくん?」
俺は
「どうした?」
と聞いた。

すると
「ちょっと職員室来てくれない?プリントを
みんなに渡して欲しいの」
と仕事を頼んできた。
俺は、
「なんだよ!?それは面倒だ」
するとモトキタは
「さっきなんかあったら言えって言ったじゃん」
と笑顔で言った。

「まーいいよっ、俺も優しいから」
と素直に頼まれた。

俺とモトキタが職員室へ向かっていると
「会長っ、どこいくの?」
副会長が声をかけてきた。

副会長はモトキタに
「先生っ、ちょうどよかった。はい、これ」
と鞄から小さな袋を渡した。
モトキタは中身を知ってる様な感じで
「ナカタさん、ありがとう!」
「お金渡すから一緒に来て」

すると副会長は
「いいよ!」
と言うとモトキタは
「ダメっ、生徒に出してもらっちゃ立場ないわ」
「お金は渡すから」
と言った。
副会長は、拒み
「あっ、先生!来月誕生日でしょ?
     だったら誕生日プレゼントって事で」
と言ってハッピーバースデーを歌い出した。

副会長は俺の方を見て
「はいっ、はいっ」
と言った。

俺は何のことかさっぱりわからないが
とりあえず一緒にハッピーバースデーを歌った。

モトキタは
「ナカタさん、ありがとう!
    じゃープレゼント有り難くいただくわ」
と笑顔で言った。

俺は
「ところでそれ、何?」

すると、副会長が
「防犯グッズだよ。今って何があるかわからないでしょ?だから、みんな持ってるよ」
「し・か・もっ!これ可愛くない?」
「まー実際は鞄の飾りで付けてるだけだけど」
「これ付けてたら、キャッチにもあまり声掛けられないし、電車で痴漢とかも遭わないしね」
「この前先生と話てて持ってないって言うから」

俺は
「そっか。そりゃ安心だな」
「てか、お前さん痴漢に遭うのかね?」

副会長は
「いや・・無いけど・・・」
「でも、あるかもしれないでしょ!?」

俺は
「はいはい」
と流した。

副会長は
「あるもん!近いうち絶対あるもん」
と言った。

俺は再び
「はいはい」と流した。

そんな痴漢に合う合わないの話をしていると
モトキタが
「ナカタさん、痴漢には合わないほうが
            いいんだからねっ」
と言った。

あっ!と思ったのか
「そんな事より、会長は何してんの?」
と話しをすり替えた。

「俺は、野暮用だよ」
と言うと
「じゃー手伝ってあげるよ」
と言って着いてきた。

そして、職員室に入りモトキタは自分のデスクへ
行き机の上にあるクリアファイルをとり
「プリントはこれっ、夏休み前の三者懇談のお知らせねっ、みんなに配ってて」
と言って渡した。

「うわっ、面倒くせぇ〜」
「うちはパスだわ!もう充分だろ?」
と言うと副会長が
「3回目だから?」
と聞いてきた。
俺は、
「お前、ディスてるのか?」
と言うと、逃げるように職員室を出ようとした
その時だった。

「キャーっ」

職員室内に響きわたる叫び声はモトキタだった。
時が止まったかのように静まる室内。
みんな止まってモトキタのほうを見ていた。

俺は、
「おい、どうした??」
と声を掛けると、時が動き出しかの様に
他のセンコーたちも「何かありました?」と
モトキタのデスクへ集まってきた。

すると、モトキタは気持ち悪そうに
引き出しの中にあった物を机の上に置いた。

それはズタズタ切り刻まれた下着だった。

俺は
「なんだよ!?ただの下着だろ?」
「てか、なんでそんなもんが入ってんだ?」
と聞くとモトキタは俺の腕を掴み
「これっ」
とひきつった顔で指をさした。

そこには血の様なもので書かれた文字があった

君を愛してる

俺はその瞬間、昨日ゴウから聞いたストーカーの
仕業ではないかと察した。

するとセンコーの1人が
「これ、血じゃないですか?」
言うと、別のセンコーが
「血?んなわけないでしょ??」
すると保健室の先生がモトキタの肩を摩り
ながら
「先生、大丈夫ですか?」
と言った。
モトキタは
「ありがとうございます。大丈夫です」
と言っていたがビビってる様子だ。
保健室の先生が
「でも、悪戯にしては度が過ぎてますよ、
            警察呼びますか?」
と他のセンコー達に聞いた。

俺は、ストーカーの件もあるし
「だなっ、警察呼ぶしかねぇよ」
と言うと


「騒がしいですね。何かありましたか??」
と教頭が出てきた。


今あったことを話すと、
「あぁ〜警察が来ると騒ぎになりますよね?
校長が不在の時にこんな事になるなんて」
と自分の事しか考えてない学校特有のセリフが
返ってきた。

すると、
「教頭!!これは悪戯にしてはタチが悪すぎる」
「ここで警察を呼ばず、もし本当の血ならそれ
こそ大問題になりますよ」
とカミイが言った。

考える教頭。


俺は
「とにかく警察に連絡しろ!」
「そして生活安全課のマミって刑事に来てもらうように言え、マミさんなら、話がわかるし穏便に事を進めてくれる」
「だからとりあえず呼んで血かどうかはマミさんに任せようぜ」
と提案した。

そして警察を呼ぶ事にした。

マミさんが来るまでの時間俺は、
「でも誰の仕業だっ?ってかなんだこのベージュのパンツは?ヤベって!同じやるならもっと色気あるやつでやれってな!!正味うちの親でも
もうちょっとマシなん履くぜ」
と場を和ませようとしているとモトキタが
「コニシくん・・」

俺は
「どうした?大丈夫か?まぁすぐ警察が来るから大丈夫だ」
と声を掛けた。

モトキタは
「それ私の下着なの」
と俺を睨みながら言った。

「・・・・」
一瞬だが職員室は再び時が止まった。

「もー会長っ、バカっ!」
と言って副会長は俺の背中を叩いた。


警察ってのは呼ばれるとすぐ来る事を知った。
だけど、俺はこの待ち時間がもの凄く長く
感じた。

あらかじめ、事情を話してた事もあり、
パトカーではなく覆面で騒ぎにならないように
マミさんは配慮してくれた。

「失礼します!」

「マミさん、こっち」
と俺は言った。

するとマミさんは
「こらお前、とうとう下着盗んだか?」
「しかもこんな、か弱い女子高生の!」
「お前、親泣くぞ!!ったくよ」

俺は、
「おいっ、何勘違いしてんだっ!ちげぇよ」
と言うと
「で、下着ってのは?あっ、これね」
「あっ、お嬢ちゃんのじゃないのね」
「まーとにかく連れてけ!」

俺は
「おい、違うって!」

するとマミさんは
「お前なぁ〜まだ若いんだから下着盗むんなら
もっと色気あるのを盗めよ」

俺は、
「だから、おいっ!違うって」

「お前が熟女下着を・・」
と完全に勘違いしてるこのおっさんに俺は

「だから、違うって」
と俺は叫んだ。

するとモトキタが
「刑事さん、それ私のです」

「・・・・」

「詳しい状況聞かせてもらえますか?」

俺は
「おっさん、何、無かった事にしてんだ?」

マミさんは
「先生、詳しくお話し聞かせて下さい」
と仕切り直しされたのだ。

何も無かったかのように。

国家権力はやはり恐ろしい。
この様にシレッともみ消されていくのだろうと
気付いた瞬間だった。

モトキタ自身も何も無かったかのようにマミさんに状況を話出した。
ここ最近の不可解な出来事を。

するとチャイムが鳴り俺と副会長はひとまず
警察に任せて教室へ戻る事にした。

3限目Dにつづく






















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