君、炎上

 ※お立ち寄り時間…3分

一瞬だった。

君から目が離せなくなった。思わず呼びかけると、細い線がゆっくりこちらを向いた。
君は、透き通っていた。向こう側が見える程に。

ほどなくして、君と恋人になった。君との毎日は、何をしても素晴らしいものだった。

幸せの色を集めて、君の服を作ろう。
全ての光を集めて、君の居場所を。
どんなに暗い場所でも、すぐに君のもとへ駆けつけられるように。

幸せだ。

しばらくして、君は遠慮がちにこう言った。

「火が好きなの。」 

それから、週末になると2人で焚き火をする様になった。どこかでキャンプファイヤーをすると聞けば、出かけていった。 

火を見る君は、いつも以上に魅力的で、それでいてどこか不安気だった。
そんな君をただ見つめることしかできなくなった。

幸せだったのだろうか。

火を見つめる君をずっと見ていたいと思った。
君が見つめるその先には、何があるのか。
僕に出来ることなら何だってする。

確かに2人は、幸せだったのだ。 

言い聞かせるように
ゆっくり、火を、つけた。

四角い画面が、ゆらゆら炎上していた。

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眠れない夜に

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