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散歩道ー我が子を偲ぶ

私はこの一年、ほぼ毎日決まったコースを散歩しています。夕方から夜にかけて。

きっかけは、亡き娘を偲ぶため。
娘が旅立った翌日、雨上がりの道を歩いた。

昨日が、一学期終業式。
最後の登下校だった。

道路脇の土の部分に足跡が残っていた。

学校までの通学路を歩く。
半分まで来て、足が動かなくなった。
いつも立ち止まって遊んでいた電柱の前。

この地に引っ越して2年。
四年生で編入したこの子も、今年は六年生。

一学期が終わり、いよいよ中学への進学が目の前に迫ってきた。

上のお兄ちゃんと入れ違いで、地元の中学校の支援クラスに入れるか、支援学校に入れるか…。

小学校へ入学するときも、同じように悩んだな。

出来ることなら、ずっと今の小学校に在籍できたら良いのにって思うこともあった。

そして、本当に永遠の小学六年生に…。

散歩も何日か続け、やっと学校までたどり着けた。


正門前に立ち、一緒に門を開けて通った光景を思い出す。いつも、教室まで一緒について行った。

親子での登校時間が、ちょうど授業の合間の休み時間だったので、下駄箱前で沢山の児童さんと顔を合わせる。先生方も笑顔で迎えてくれる。

おはようー!

ペコリ。

言葉は出なくても、ちょこっと頭を下げて挨拶。

下駄箱で靴を脱ぎ、自分の場所に自分で入れ、上履きに履き替え、二階の教室へ迷わずに歩いていく。

先生にご挨拶をして、元来た道を1人歩く。

数時間後、お昼を挟んで迎えに行く。

学校での様子を、先生がたくさん聞かせてくれる。

その間に、ランドセルと帽子を持って来て、名札を外し帰る準備をしている。色んなことが1人で出来る様になった。名札の安全ピンを外すのは、難しかったね。

帰り、一緒に歩くのはパパにとって、凄く楽しかった。

気ままに先を歩く、あなた。

後ろからそっとついていく、わたし。

お家に帰ったら、アイスクリーム食べようね〜。

……。


今、その道を1人で歩く。

最初は、忘れたくなくて。
あなたの気配を忘れるのが怖かったから。

しばらく経ってからは、負けてしまいそうな私を、助けて欲しくて。崩れてしまいそうだったから。この道を行けば、あなたに会えると思ったから。

でも、この道を進んでも、その先にある歩道橋の上や踏切の先には、あなたはいないのだと、思い止まった。

自分を必死に愛しました。
自分を必死に許しました。

そしたら、その道の先に、素晴らしい仲間たちがいました。皆に支えられ、皆が笑顔になるために、自分に出来ることがある。頑張れる気がして来ました。


あなたは、世界は素晴らしいという事を、本当は愛に溢れているという事を、教えるために来てくれたんだ。

もう大丈夫だと思ったから、還っていったんだよね?

ねえ、あなたは前の人生では私の母だったんじゃない?

後からさ、ちゃんと答え合わせしてよね!

それまで、頑張るからさ!

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