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【キャリアを考える】 キャリコンと一緒に整理してみる。

転職を繰り返しているクライエントがいました。
理由は自身の能力がなかなか評価されないこと。「向いている仕事」や「自信が持てること」が見つけられず、もうどこへ行ってもうまくいかないのではないかと悩んでいました。

当時、私はメールと電話と対面を組み合わせてキャリア支援を行う施設に勤務していました。そのクライエントとは、長いメールカウンセリングを何度か繰り返したあと、対面カウンセリングをすることになりました。最初は話したいこと(愚痴)がたくさんありました。そして、その愚痴を吐き出してくれたメールがとても役に立ちました。

対面の際、それまでの相談(職務経歴)を時系列にまとめ、その当時の出来事やどう対処してきたのか、を表にまとめて二人で見直してみました。

しばらくじーっと、表を見ていたクライエントが一言、口にしたのは
「私って、いい奴ですね」。

少なくとも、どんな会社に勤めている時にも、人間関係には一切問題はなく、むしろなにか社内で小さなトラブルが起きた時には、その方が後輩を助けたり、相談に乗ったり、自ら面倒な役目を背負い込んでしまっていたり。人と人の間で陰ながら活躍してきたことに気づけた瞬間でした。
仕事として数字に現れる成果はなく、大変だった印象ばかり残っていたものの、実は〝評価されにくい部分〟だったこと。
「でも、あの時は、そういう役回りの人間が必要だった」「周囲が私を頼りにしてくれた」と自信を持てたことが大きな収穫でした。

一見、クールに見えて、実は非常に人情派だったクライエント。
数週間後、「サポート業務が得意だということをアピールポイントにして、IT企業の事務職に決まりました。小さな会社だけど、それもむしろ私に合っていそうです」と連絡をいただき、心からホッとしました。

このケース。少なくとも、私はクライエントの愚痴につきあい、一緒に課題を整理しただけ。だけど、10年近いキャリアを整理するには、それなりに時間もかかり、経験した職種もバラバラで、器用にどんな仕事もこなせる高い能力もありーー。
「私っていい奴」にたどり着くには1カ月(計5回ほど)は必要でした。

転職など、人生の節目節目にキャリアを考えることはとても大切ですが、私はこのクライエントを見ていて、「むしろ前職だって辞める必要はなかった。もっと早く相談に来てもらえていたら」と感じていました。

キャリコンは、働く人たちの「定着支援」にも、非常に向いている存在だと思います。社内で言えないなら、外部のキャリコンには言えるかもしれません。
転職をする前に、まず「転職したい理由」を整理するためにも、利用してほしいなと思っています。

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