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普通日記

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ニューヨークに行った

ニューヨークに行った

ニューヨークに行った。

生暖かい空気が滞留する地下鉄の階段を登り、街に顔を出せば、クラクションの音と爆音で流れる流行りの音楽が交差する。
無数のタクシーが路肩に鎮座し、その中で運転手が待機に疲れた腰を捻り、束の間の休息をとる。
蛍光板付きのベストを着たどこかのスタッフがタイヤのついたゴミ箱とともに街を清掃し、警察は止めることのできないサイレンを鳴らす。

観光地と世界の最先端だと思っていたその街

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ひるまの太陽は見れない

ひるまの太陽は見れない

感情が溢れる。
得体の知れない力が解き放たれている。
その力はまぶしくて、まぶしくて、昼間の太陽のように見えない。

感情の力は太陽のように、暗闇を照らし、暖め、時には成長を促す。

太陽が放つ、感情が放つ光は本来美しいもので、それはどんな気持ちが織りなすものでも変わらないはずだ。

しかし、その光が誰かに向けられた時、
その光は美しいだけではなくなる。

光は、明るい場所にいた人たちに影を落とす

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新しい定規

新しい定規

二十三歳になってしまった。毎日つけているゴールドのネックレスを触りながら思った。これは3年前、ハタチの記念に買ったものだ。

夏に生まれた子供らしく、肌はもとから小麦色だった。白くなろうと心がけた時もあったが、いくら家に引き篭もっていても黒いままで、でも、ゴールドのアクセサリーがよく似合っていると、我ながら思っていた。

このネックレスを買って3年、私はまだ家具の配置すら変わらない、同じ部屋に住ん

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コインランドリーとタンゴ

コインランドリーとタンゴ

買ったばかりの青いジーンズを縮めてやろうと思い、コインランドリーにきた。

平日の昼間、洗濯機と乾燥機がぎゅうぎゅうに並んだ都会のそれじゃなくて、
東京から何時間か電車に乗った先のベッドタウン、県道沿いによくある広くて明るいコインランドリー。

大小様々な洗濯機では、色とりどりの布がくるくると回っていて、洗濯物を畳む用の大きくて綺麗なテーブルが複数並んでいる。

お客はわたししかおらず、唯一ひとけ

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“許せないこと”を大切に

“許せないこと”を大切に

どうなりたいか。が明確でない時、大切な指標になるのは、”許せない事”だと思う。

私は入社して一ヶ月で会社を辞めた。
プライベートの自分の目標みたいなものはあった。ただ、会社におけるやりたい事や目標がなかった。自分の目標と会社における目標を繋げることもできなかった。

入社したばかりの頃、と言ってもとても最近のことだけれど、私は偽りの希望や夢を大いに語った。相手の夢にも称賛し、目を輝かせ、同じもの

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黒い渦ばかり見える時

黒い渦ばかり見える時

少し前に、私の絵本がYouTubeのネタにされていると、友人から教えてもらいました。
そんな話、私にはきてなかったし、まあ世の中的に勝手に記事にしたり、勝手に何かにしたり、なんて良くある事なので、フラーっと、URLの先を見に行きました。

動画の内容は、かなり脚色され、多分ほかのエピソード(他人の)も盛り込まれ、私が勝手にお客さんに誘われたみたいになってました。正直私は、気持ち悪くてその後二度とそ

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2020/02/08 にっき

インスタグラムとTwitter、誰からも来るはずのないLINEを一通り見ることを1回転として I に代入する。
Iを5回ほど繰り返したところで、金曜の夜に家にいる事が急に悔しくなり、Iから抜け出してウーバーイーツを開く。投げやりに強く画面を叩く反抗的な指先。もちろん夜中なのでどこもやってない。透過のかかった黒が私を出迎えた。

昼間には、あれだけ真面目に生きようと思っていたのになんという心の変

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19/03/28 美貌とか美貌とか、富とか地位とか

19/03/28 美貌とか美貌とか、富とか地位とか

小学生の時、可愛いと言われる程の顔も、魅せられる程の美貌も地位も名誉も持っていなかったので、学年で可愛いと言われてる女子とか、足が速いからモテてる男子がなんとなく好きじゃなかった。簡単に地位を手にしやがって…もともと磨かれていたダイヤモンドめ…と

それでも私は永遠の5歳児で、永遠のプリンセスだから毎日鏡を観ては、悪くない、むしろ可愛い方なのではないかと思っていた。
足もリレーの選手になれるくらい

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