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私はずっと一人だったのセリフに号泣した朝

朝ドラのおちょやんはずっと見ている。平日休みの日でもおちょやんを見るためだけに朝の時間を空けている。もうすぐ終わってしまうことを知ってしまってその穴をどうやって埋めるか今から考えているほどハマっている。

独身の私は、毎朝自分のことだけをする。起きたい時間に起き食べたい時に食べ寝てたいときはギリギリまで寝ている。自由な分だけ天気にはとても左右される。休日の雨は大好きなのだが、会社に行く日の雨はとにかく苦手だ。小さい頃からおっとりとか、どんくさいと言われ続けた私にとって、朝の雨のあの静かなしっとりした空気感は、とても波長がよい。なんだか私らしくいられるので、休日の雨は大好きなのだ。だが会社では、ハツラツときちんとした面倒見の良さそうな人格を演じている為、その姿へ仮面ライダーのように変身しなければならない。雨だと居心地のいい本当の自分がつい顔を出して、なかなか変身ができないのだ。このまま雨に溶けて過ごしたい気持ちをどうにか堪えて出社する。

話を戻して朝ドラおちょやんの話。主人公の千代は喜劇役者の女性。その半生を描いた物語だ。

千代は子供時代どうしようもない父に借金のかたとして売られ奉公に出る。その時千代は、父に言う。『お父ちゃん、一つだけ、言うといてやる。うちは、捨てられたんやない。うちがあんたらを捨てたんや』ここでまだ始まって1週目である。もう見続けないという理由がない。私はこの朝ドラ1週目にして号泣した。

そしてその後奉公先で苦労しながらも、千代は大きく育っていく。年季が明けてさてこれからと言う時、奉公先の女将さんからこれからは自分の人生を自分で決める様にと言われる。そこで千夜は初めて、自分の人生を自分で決めることができると言うことに気づく。そしてそのままそこで働きづつけることを決めた矢先、あの自分を売った父親が現れる。また借金のかたにねんき明けの千代を、売ろうとするのだ。千代の同僚達が父親に、もうこれ以上千代を苦しめないでと言った時の父親のセリフ『千代…こないええ子ら 巻き添えにしてええんけ? どねやねん 千代。』 自分お借金の事なのに、謝るでもなくお前加害者になるつもりかと娘に言い張る父親。生きたいと言う気持ちをこんなに抉って言われるともう見続けない理由がない。ここで4週目。

まぁそんなこんなでこの父親の件でやっとの居場所だと思った奉公先を千夜は離れることになる。その後、弟との再会で自分が生きる価値を見出せそうだったのに裏切られて別れ・劇団で恩師との出会いがあり、居場所になりそうになった時解散され・女優になって居場所ができるとまたあの借金抱えた父親が来て、その場所を失いそうになりそれを払い除けたかと思うと、女優として売れずまた別の場所へ送られるととにかく居場所が定まらない。そんな中でやっと結婚して居場所ができたかと思うと、夫婦で可愛がっていた女優と旦那が浮気して子供を作り結局別れることになる。とにかくいつも居場所ができたと思ったら追い出されるのだ。そして千代はいつも怒るタイミングを失い我慢し続ける。

怒るというのは、タイミングだなと思う。悲しいや怖いや羨ましいやら、そんな感情の次に、【私をわかって】という気持ちが足されて、怒りになる。だから冷静になってしまうと、なんだかわがままを言ってるみたいで、怒れなくなるのだ。そして思い出し怒りをすることはあっても、タイミングをすぎた怒りは、悲しいかなもう我慢するしかなくなる。だってもう【私のことわかってよ】なんていうわがままをいう歳ではないのだから。

また話が脱線してしまったけれど朝ドラの話に戻します……

『何やねんな みんな…。あの子も灯子も 戦争で家族亡くして 一人になってしもた? さみしかったて? ずるいわ…。うちはもっと前からずっと一人やった!』

これが私が先週朝から号泣して化粧をし直したセリフ。夫を可愛がってた女優に取られ突然やってきた姪の面倒を見てくれといわれた時の言葉。多分千代が今までずっと見せなかった、タイミングを失い続けてがまんしつづけてた、心からの怒り。ずっと1人だったなら、こんなにも辛くはなかっただろう。でも仲間や家族が出来1人じゃないんだと思った後にやってくる1人の辛さを、何度も味わいそのたびに仕方ないと自分自身を騙してでも納得させようとする辛さは、きっと深いだろう。目の前で可哀想だと言われる人たちが、居場所を手に入れていく。そして最後には自分の居場所をその可哀想といわれる人に奪われてしまう。そんなのずるい。このずるい……というセリフを聞いて泣いてしまった。ずるいわ。今日は、感情を出さずに何も考えずに1日を過ごそう。そう思った。半年間毎朝過ごしてきた、千代の初めての怒りが痛いほどわかって私の心は処理不能となった。もうすぐその朝ドラが終わる。 

私は、怒りの前にある悲しいや苦しいや羨ましいや褒めてほしいなどの気持ちも、なんとなく外に出せないでいる。怒りを我慢することで、それらの感情もなんとなくわがままな感情なんだと思い込んでしまっていた。でも【私をわかってよ】という怒りを除くと、そんな悪い感情ではないのかもしれないと思った。素直に、うらやましいなぁと言われ悪い気がする人はいないだろうし、褒めてほしいなぁなんていうとなんとなく可愛らしいとすら思えるかもしれない。これからは、私をわかってという怒りの感情になる前に、大元になるうらやましいや褒めて欲しいなど気持ちを、素直に表現してみようと思う。少しづつだけど……我慢しないでいようとそう思った。もしそんなことができるようになったのなら、怒りの感情も、私をわかってくれなくて悲しい気持ちになった。と表現できるようになるかもしれない。

今日は雨の日の朝。今日はお休みです。

#日々のこと #エッセイ #日記 #朝ドラ #ドラマ感想文

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