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三日月のお宿 (詩を投稿します)

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詩を投稿します。
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2024年1月の記事一覧

感情の矢

感情の矢

 人の悲しみと怒りとを吸い上げて落とし、襲い来る感情の矢を捌き続ける雲中の人よ。
 お前自身は感情を失くしてしまった。時として刺さる矢を己のものとして錯誤し、なおも剣を振るい続ける。あくまでも強者として立ち向かう。
 この雨のなか一滴さえ許せば、かわりに泣く者もあろうに。

余白を塗る

余白を塗る

 あの木はもうすぐ咲くだろう。お茶もほのかに香る。ベランダに椅子を出してみようか。陽だまりでうたた寝した後は、湯船にゆったりと浸かってもいい。
 生きている実感は余白に身を移したとき表れてくる。絵を飛び出して私を捜す者。私に色を与え、余白に足跡を残して去る。