4年間の花粉症治療を終えて〜白樺と友達になるまで〜
ドイツに来てから7年が経ったころ、花粉症が始まった(海外在留邦人あるある)。初めは目が痒くなる程度だったが、それは年々ひどくなっていった。鼻水やくしゃみが出るのみならず、しまいには咳が止まらなくなった。最初は春だけだからと市販の薬で誤魔化していたが、だんだん日常生活や仕事で支障をきたすようになっていった。私は教師をしているのだが、話すたびに咳き込んでしまい、授業どころではなくなった。りんごやサクランボを食べても唇が膨らみ(セクシー?)、喉が痒くなる。これはまずい、と5年前に花粉症と真剣に向き合うことを決めた。
まずかかりつけの医者の所でアレルギーテストをしてもらった。何に対してアレルギーがあるのかを検査してもらったところ、私の敵は「白樺」であることが判明した(日本の母には「洒落た花粉ね〜」と言われた)。敵がたった一つなのは幸運なことであった。なぜなら、敵が一つだけの場合は、「Hyposensibilisierung」という治療が可能だということだった(ドイツ語はいつも長い)。日本語では「減感作療法」というらしい。これをやってもらうためには、肺専門の病院に行く必要があるという。そこで紹介状を書いてもらい、近くの肺専門のクリニックへ予約を入れるための電話をした。しかしそこは非常な混みようで、新規である私の予約がとれたのは約半年後だった(ドイツあるある)。
半年後に治療は始まった。初めの面談で症状を説明すると、先生は絵を書いて、問題が上から下へ移動していくことを教えてくれた。初めは目、次に鼻、そして喉、最後に肺。最後まで放っておくと喘息になってしまうから、早めに治療に来てよかったと言ってくれた。
私のやってもらった減感作療法はアレルギー反応そのものをなくすことを目指した治療法である(日本ではあまりやられていないらしい)。花粉のエキスを長期間にわたって、腕に注射していく(皮下注射)。毎年12月頃から4月頃にかけて、1クールで8本の注射を間隔をあけて打っていく。最初は花粉の濃度の薄いもので、徐々に濃くなっていく。1週間または2週間に1回は病院に行き、注射をしてもらわないといけない。それを私は4クール(4年間)やった。普通だったら1クール700ユーロほど(10万円ぐらい)するそうだが、ありがたいことに健康保険が適用されて、無料で治療が受けられた。
注射をしてもらった後は体調が悪くなることがあるので、20分ぐらい待合室で休まないといけないというルールもあった。一番最初の注射後はひどかった。エキスが体に入った時点で気持ちが悪くなった。「敵が来たぞ!」と体が白樺を侵入者として認識したからだ。その後の注射も気持ち悪さはなくなったが、注射を打ったところがいつも痒くなった。
しかし体は慣れるもので、毎回続けていると、だんだん無症状になってきた。どんなにたくさん白樺エキスを入れても、なんとも感じなくなってきた。体が「白樺は敵ではない。害がない。よく会うからむしろ友達か?」と認識してきたのだ。しめしめ。
そうして症状はだんだん軽くなり、今年は春を迎えても、ずいぶんと症状は軽くなった。まだ少し鼻水が出たりはするが、9割がた治ったと言える(実は今年は雨が多く、花粉があまり飛んでいないだけなのかもしれないが、たぶんもう大丈夫だと思う)。
今後の課題は、そもそも花粉症になりにくい食生活への切り替えだ。どんな食事をしたら花粉症にならないのか等、もっと勉強したいと思う。
最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。花粉症でお困りの方の参考に少しでもなれば幸いです。
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