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読書日記4 【もたない男】

 

 中崎タツヤさんの文庫本。漫画家で「じみへん」とか「身から出た錆」などを書いていた。漫画を読まないけど、そこら辺の話は知っていたので、有名な漫画家だと思う。漫画もシュールらしいんだけど、この本も凄くシュールでボールペンを短くするとか、文庫本を読んだところから破いて捨ててしまい小さくなる分だけ表紙を切るとか、ちょっと笑えるエピソードが多い。

 「キャラづくり?」と最初は思うのだけど、本気で書いているみたいで、どんどん個性的な「断捨離」にクスクスと笑ってしまって、喫茶店で読んでたらちょっと人目が気になった。読んでいくうちに本人のやる気のなさというか「とりあえずいるけど、後でいらない」という性格みたいなのがでる。

 行動はすごいというか、20代の頃にオーストラリアに移住を考えて、デザインの会社を辞めて運送のバイトでお金を数百数十万円貯めてオーストラリアに行き、ホームシックにかかって10日で日本に帰ってきたり(笑)、田舎暮らしにあこがれて、岡山県に移住したり、いち早くパソコンを導入して、漫画を描いたりとかをする。

 ただ飽きたり、その荷物の多さ(パソコンとか)が嫌で全てを捨ててしまう。バイクのフェンダーを取ってしまって、雨の日にずぶ濡れになったりしながら(笑)、最後はバイクも捨ててしまったり、残っているものがないというか、究極の断捨離というか…ミニマリストもびっくりみたいな生活をしているらしい。

 フリーの究極的な仕事をしていて、物欲のつよいらしい作者が、その考えに至る「四国お遠路の旅」をするところも書かれていて、「奥さんよくついてってるな」としみじみ思う。その中で結局「何もいらない」ということになってトーンとかを使わず、デスクペンで漫画を描く。という「最終形態」になったらしい。

 見習うか?というと「それはないな」とも言えるし、不思議と共感できるときもある。歩くとか何かを唱えるとか宗教とかでなくても頭がホントにすっきりする。仕事でちょっとひどい待遇を受けて、何か月か鬱みたいになった時が僕にあって、その時にひたすら歩いた記憶がある。休みの日に30キロを12時間ぐらいで歩いてた時があった。

 唱えるってなかなかできないけど、今の英語の音読とかは何故か気持ちが落ち着いたりする。ミニマリストではないけど殆どものはいらない。パソコンとかも中古を自分で直したり、テレビとかも小さくていいし、本は買ったりするけどハードカバーはあまりもたないで文庫やkindleにしている。

 「いらないの?」といわれると「うーん」と考えて、結局、買わないことが多い。洗濯機が壊れたのでつい最近買って備え付けをしてもらったんだけど、洗濯機で10年持っていた。洗濯機の作動保証みたいなのが7年らしいので持ったほうだという。他のものも壊れたら買い替えで他に欲しいものがあまりない。

 デジタル難民どころか、デジタルの興亡記に生きてた時代なのでスマホとかタブレットとかで使えないことはないし、(原始的な仕組みが変わっていない)エクセルやフォットショップくらいだと昔習ったので普通に使える。だからなのか新しいガジェットに興味がない。AiePodsにはちょっと興味もったけど、Bluetoothのイヤホンで十分という結論になった。

 中崎タツヤさんはその後に漫画も辞めてしまったらしい。ホントの最終形態(死)というのはホントに「無」なのだから、そういう答えもアリかもなと笑いの後にちょっと真剣に鑑みてしまった。

 

 

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