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読書日記37

ロスジェネの逆襲

 池井戸潤さんの作品で半沢直樹シリーズの3作目になる。半沢直樹を知らないとちょっと読みにくいかもだけど(シリーズものにはあるある)とても面白く勧善懲悪を元とする現代版時代劇と思うほどスカッとする。半沢直樹は上司に恵まれない。1・2作で上司の尻ぬぐいの罠に左遷を示唆されるけど、判断力と冷静さを度胸で乗り切っていく。ドラマは誠に痛快活劇を観ているようで前作ドラマは視聴率が40%を超えた。

 あれから7年が経った。続編はとっくに書かれていてもう文庫本になっている。最新作は9月に発売されるらしい。映画化もあるかもと期待もしてしまう。半沢直樹は東京中央銀行からセントラル証券会社に出向されている。そこで電脳雑技集団という中華系?と思うようなデカいIT会社がこれもスパイラルという日本最大の検索サイトの買収依頼をうける。

 買収額が1500億円のビックビジネスにセントラル証券は色めきだす。しかしすぐに話は白紙に戻ってしまう。責任を取らされる半沢。このビックビジネスは親会社である東京中央銀行の証券部が担当になっていた。不思議がる半沢、時を同じくして半沢と同じ出向組である三木が銀行への栄転を発令される。何か知らないところであらぬ力が動いていることを感じるセントラル証券の社員と半沢。

 そのなかで買収相手であるスパイラルのアンバサダーになることを決めるセントラル証券。それは親会社である東京中央銀行との全面戦争となることだった。空前絶後の無謀なる戦いで勝機はあるのか?この買収劇はどうなっていくのか?あまりネタバレしてもしょうがないし、これからドラマもやるので本編はこれぐらいにして、題名のロスジェネ(失われた世代)とはと調べるとおよそ1970~1983年位までの世代となるそうで、就職氷河期で何社も会社を受けて就職をした世代となるらしい。

 生活の安定がないからか消極的な人が多く、貯金をして結婚とかをしない独身者が多いとされている。1970~1975年ぐらいは人口的にも1年で200万人を超える第2ベビーブーム世代であるから(団塊ジュニア世代)影響力も大きかったと思う。バブルで起きた不良資産を会社は抱えこみながらリストラなどで人減らしをしてその受け皿として派遣社員が増えるという給料を下げれるシステムで会社を大きくしようとした?のか、まあやる気のない人が増えて会社もダメになりましたチャンチャンというのが30年後の世界なんだけどそれが見えないで「日本の会社は世界一」という人も多かったし派遣いじめも酷かった。

 「半沢直樹シリーズ」にもそういう仕事人間というか「蹴落とすことが仕事」と思う上司や同僚がたくさん出てくる。そういう姑息な上司・同僚をバッタバッタとなぎ倒すこの物語は痛快で尚且つ色々な銀行とかの裏事情がわかる。話はミステリーのように謎を残しつつテンポよく流れるので飽きがこない。テレビドラマになる前から有名な作家で色々と読んでいた。作者自体が元銀行員で銀行第一主義的なところはあるけど実際に日本では銀行がナンバーワンなんだろうと思う。

 今は会社の在り方みたいなのは変わってきていると聞く。一つは資産価値というかが重要になってきてそれは「拝金主義」ではなく「ブランド主義」というかどう社会と融合されていくかというのが凄く大事だったりするみたいで、それは株価に直結しているという。環境問題だったり、値段を気にせずデザインの良さや機能を良くすることだったりすることもその会社のブランドというので「気に入ったらどうぞ」というものになったという。

 日本はブランドって難しいといいながら色々なブランドも出てきたし日本が観光地として評価されるのも独特の文化をもっているからでそれは他にないわけだから結構な「ブランド力」になるのにと思うともう一つの「拝金主義」ちゃんとは生きていて、沢山安く作って沢山稼ぐとかお金を持ってる会社が企業を買い取って更に強くなるという弱肉強食の世界がちゃんとアンダーグランドにあって僕らをしっかり飲み込んでいる。

 二分化というか多分化してどれが正解がなく同じ業種でも上手くいくところとそうじゃないところもあるぐらいはわかるけど、ニュースとかをみてもよくわからないのが事実で何が正解なのかはわからない。なのでここら辺も上手くかけないけど、この「半沢直樹シリーズ」を読むとスカッとするのはやはりサラリーマンでありながら正々堂々がメインで昔の青春ものみたいにがちがちに固まった社会で自由にはばたくからかな?とも思ったりする。

 「ショーシャンクの空に」という有名が映画がある。原作はスチーブン・キングで「刑務所のリタ・ヘイワース」という短編なんだけど、ティム・ロビンス演じる銀行員のアンディが冤罪で捕まり、獄中で虐められても勇敢にしかも知的に戦い獄中での生活を勝ち取ってゆく。それでも押し寄せる妨害にも負けず最後は刑務所さへもという作品ですごく最後にスカッとする。そういうスカッと感はあっていいもんだと思う。

 読んで爽快な僕がテト(猫)に噛まれても「倍返しだ」とこちょこちょをすると嫌がって更に噛むを繰り返していたら、皮膚が厚くなったのか歳をとって感覚が鈍ったのか痛くなくなった。するとテトは僕を目掛けて飛び掛かってくるようになった。なんか喜んでいるらしく30分ぐらいすると噛みながら寝てしまうことを知った。寝ると可愛いので黙って噛まれることにしたけど倍返しどころかやられっぱなしなのに今気づいた。

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