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読書日記258【コインロッカーベイビーズ】

村上龍さんの初の長編小説。その前は中編といわれる作品『限りなく透明に近いブルー』と『海の向こうで戦争が始まる』から3年ほど執筆をしてないらしいけど、それからこの作品が発表されて村上龍という名がまた拡がったと言われている。

この長編に影響されて村上春樹は『羊をめぐる冒険』を書いたとされているけど、そこらへんはどうなのかな?という疑問は残る気がする。

というのも別の時間軸がそこらへんは流れていて、村上春樹さんは長編が思ったように売れずに心機一転、ヨーロッパに拠点を移すし、村上龍さんは時代の寵児としてテレビで冠番組を持つようになるからで、人気にあやかってというのならと村上春樹さんは日本に残る気がする。

海外に行くために英語や語学を習って、翻訳をはじめていた村上春樹さんに比べて、映画製作やテレビ出演などをしていた村上龍さんがお互いを意識しあうことってあるのかな?というのはある。(忙しすぎて)

その頃の村上龍さんはどうにかして朝早く起きるということを始めて、それから早朝に執筆をするというのを続けているらしい。その頃にやっていた(6:30)NHKの番組「明るい農村」(すごい番組)を観て泣いて寝るというのをしていたと、著名人がいろんなところで言っていた。

朝(夜中か)に執筆というのはよくわかる気がする。昼間とか雑音多いしね。noteに書いている人はそういう人多いのかなとも思ってしまう。


コインロッカーで生まれたとされるキクとハシが自分を生んだ街を破壊しようと試みる物語。孤児としてコインロッカーの中で生き続けた二人。それ以外の子供たちはコインロッカーの中で亡くなっている。

巨大な鰐を飼っている美少女でモデルのアネモモや立入禁止区域の「薬島」など近未来感が満載の背景と、みんなキレてる?と思わせる登場人物が村上龍の最高傑作と称さている。

双子として長崎の離島で大きくなるキクとハシ。ハシはその歌声で名声を手に入れる。キクは呪いダチュラを信じこの世界の破壊を願う青年となっている。そこに鰐を飼うアネモモが現れて……

カオス化した世界観とロック感満載の青少年が織りなす物語。そのあとの創作の影響はとくに凄かったともいわれている。まあ、近未来ではキューブリックや『ブレードランナー』とかがこの後に続くから、時代を最初に捉えるアンテナみたいなものはスゴイなと感心してしまう。

来年に発表から四半世紀になる(25年)。僕は中学生の時に読んだけど、「すごいな!」と率直に思える作品だった。

今回は再読なんだけどすごさは変わっていない。

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