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読書日記138 【ブンガクフリマ 28ヨウ】

 色々な作家の短編集というか題名のように「文学」を書いてある作品。面白い短編がないかな?と思って探していたらあった。燃え殻さんの短編小説の「わたしのしぶとい生命線」という作品が最初に目についた。それを最初に読んでみる。

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 主人公はちょっと軽い感じの愛に生きる女性で、付き合った男性にお金を使われ貯金を食いつぶしながら生きている。子供ができたのだけど、男に「子供を堕ろしてくれ」と頼まれて堕ろす。そこまででも切ないのだけど、それからその男は案の定、彼女前から姿を消す。そして、生活苦から彼女は風俗で働く。

 そこから、不思議に彼女は自分を可愛く思う。そこまでの文章がホントに単純にそして軽やかに綴られているのだけど、どう説明したらいいのか、そこに文章による躍動みたいなものがない。「今風の文章」といってしまえばいいのだろうか?良い文章が心に残るわけでなく、「行き止まり」であっても記憶に残る文章が良いと感性的に知って書いている感じがある。

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 次の作品は山本隆博さんという作家ではないのかな?家電メーカーのシャープの公式ツイッターの運営者の方の短編で、主人公の飼っているインコが主人公の左手で「性交」をするという不思議な物語になっている。題名の「ランバード」はインコの名前となっている。主人公の男性はコールセンター業務をしている。その中でお客に対して「なんでも受け入れる」をモットーに仕事をしている。ただ、それでも意味なく怒りをぶつける人間は多い。その中で主人公は何を思いそしてなんでインコを飼っているかが書かれている。不思議な短編なのだけど、それもありなのかなとも思えてくる。

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「横断歩道の呪い」という末吉宏臣さんの作品はまさに「横断歩道」を渡る男性にかけられる呪いの短編。横断歩道で事故をして亡くなった男性が、死んだ妹に会えるというと思いながら死神と話すという作品。ちょっと機転が利いているけど、王道のショートショートって感じがする。生と死のハザマで主人公と死神が会話をする。その中で妹のちょっとした優しさを知るストーリー。

 noteで有名な人らしい。編集者でもあり、物書きでもあるらしい。

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 最後の作品が浅生鴨さんの「イマムラ」主人公は女の子で雪子といった。雪子はいじめられっ子とで、一人で遊ぶのが多かった。「イマムラ」とは廃墟のことで学校ではそこに行ってはいけないと言われているのだけど、雪子は好んで行っていた。そこにいる不審者を雪子は見てしまう。そこからどうなるかは読んでお楽しみなんだけど、雪子という少女がどう感じてどう思うかの描写がとても上手い。

 作家・企画者と書かれている。

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冒頭のページに前書きとして田中泰延さんの文章が載っている。

 「フリーマーケット」は英語で書くと「flea market」だ。fleaはノミ。もともとは、ノミがついてくるような古着や古道具を売り買いする「蚤の市」ということだ。

 しかしこの「文学フリマ」の「フリーマーケット」は free marketと表記される。これは経済学用語の「自由市場」のことだ。ここは、おのおのが文学を信じるものを書き、各々が値段をつける市場である。

 言葉を、お金で売り買いする。これは、もっとも商売らしい商売なのだ。なぜなら、言葉と貨幣は同じものだからである。

 と書かれている。その後に説明が入る。田中泰延さんは映画評論をしているらしい。この本は「第二十八回文学フリマ東京にてコピー本として販売されたもの」の書籍化らしい。

 こういう短編を読む夜もいいなと思う。寒い夜に電気炬燵で暖まりながら読んでいます。カフェオレも飲んでいます。

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