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思い出のたべもの 2.エビ

エビが好きだ。
大きいのも、中くらいのも、小さいのも。
みんな違ってみんないい、それがエビである。

伊勢海老の刺身は、プリプリした歯応えと甘みがたまらない。殻を煮込めば、濃厚な旨味がたっぷりの出汁が取れる。それを味噌汁にするのは最高の贅沢だ。

父の知り合いから、年に1、2回生きた伊勢海老を2尾ほどいただく。おが屑の敷き詰められた箱の中で、触覚を動かしながら「ギ…ギ…」と鳴く彼らにちょっかいを出すのが幼い頃の楽しみだった。散々子供達に遊ばれた後、父によって捌かれ、食卓に上がるのだ。

先ほどまで生きていた伊勢海老が、お皿の上でキラキラと輝くお刺身や、香りの良いお味噌汁に。一緒に(とは言っても完全に一方的に)遊んだ生物をいただくというのは、一種の食育なのかもしれない。実際、残そうという気持ちにはならなかったもの。

しかし、私には大きな問題がある。実は、エビアレルギー(仮)なのだ。

アレルギーテストをしていないので言い切れないが、十中八九エビアレルギーである。小学校6年生くらいで突然発症して以来、エビを食べた後高確率でお腹を下すようになった。伊勢海老も車海老も、甘海老も、桜海老もぜーんぶだ。

子どもの頃からのアレルギーは治る見込みがあるが、ある程度大きくなってからのアレルギーはほぼ治らないらしい。好きなものがどんどん駄目になっていくお茶目な体質と仲良くするしかないようだ。

余談:犬・猫にもアレルギー疑惑がある。好きなものに嫌われる呪いにでもかかっているのだろうか。たすけて。

小学校でも中学校でも修学旅行では必ずエビが出たし、高校の修学旅行なんて行き先が北海道だったのでエビ・カニ祭である(おそらくカニもアレルギー)。次の日に響くので泣く泣く諦め、悲しいことにエビ・カニには一切手をつけなかった。小学校から高校までの修学旅行で、私のエビは決まって仲の良い友達の口に入ったが、そのエビを恨めしそうに見つめるのが私の常だった。

伊勢海老の刺身を食べて口の中が痒くなり、地獄を見たことでアレルギーを確信したが、エビの魅力には抗えない。翌日が仕事休みの日に限り、火の通ったエビ2本分までなら食べて良いというマイルールがある。当然その日か翌日にお腹を下すが、食べている時は幸せなのでそれで良いと思っている。

加熱するとタンパク質が変性するため、生のものよりもアレルギー症状が抑えられます(個人差あり)。危険なのでアレルゲン物質を摂取する際は注意してください、真似しないでね!
私の場合重篤なアレルギー反応が出たことはありませんが念のため、生のエビを食べるのは救命措置可能な人のいる時または、近くにエピペン(アナフィラキシーショックを緩和する薬)がある時だけにしています。

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