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伊太祁曽神社・紀の国の木の神様

7月31日、和歌山市にある「伊太祁曽(いたきそ)神社」へ夫と夏越の祓に行ってきました。夫は今年が前厄で、年の初めにはここで厄払いのご祈祷を受けています。夏越の祓では残り半年を無事に乗り切れるよう、改めて手を合わせてお願いしました。

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この茅の輪を三度くぐれば、半年分の穢れが落ちるといわれています。茅の輪は神社によっていろいろな形や大きさがあり、個性が表れていて面白いです。
「水無月の夏越の祓いする人は千歳(ちとせ)の命延ぶといふなり」
この和歌を唱えながら8の字に三度回る、という神社もありますが、伊太祁曽神社ではこの輪の奥に祭壇があり、その前を通りぬけて、またここへ戻り…を三度繰り返します。

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伊太祁曽神社の拝殿。主神は「五十猛命(いたけるのみこと)」という木の神様です。
五十猛命は須佐之男命(すさのおのみこと)の息子で、日本の国土すべてに木々を植えて回ったとされる、木の神様。
古来、木は家屋にも船にも使われたことから、建築や造船関係のご利益が厚く、今も県の内外から業界関係らしき方が参拝に来られます。

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四季折々、習慣のように何度も訪ねている伊太祁曽神社。
木の神様をお祀りするだけに、境内には巨樹が立ち並び、お天気の良い日には空と光と木々のコントラストが美しいです。

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ある日のこと、たまたま境内で行き合った年配のご夫婦と少し立ち話をしたことがありました。お二人は毎月1日に伊太祁曽神社へお参りすることを決めていて、なんと今年で15年目になるとのこと。
「わしは若いころ大工をしててな、そやけど、いつもはしごから落ちるんや。なんでかわからんのやけど、何回も落ちるんよ。そんな時、ここの神さんを教えてくれた人があってお参りにきてな、不思議やで、それから引退するまで、まったく落ちへんようになった」
そうダンナさまが言うそばで、奥さまも、
「そうそう。よくはしごから落ちてねえ。心配したけど、ここの神様に助けてもらったわ」
と、目を細めてにこにこしています。
そうして、大工の仕事を引退した後も神様への感謝の気持ちを忘れないように、ずっと月に一度、二人で参拝を続けているのだと話してくれました。
一攫千金のようなご利益ではなく、日々の大切な安心をいただけたお話を伺って、私まで福のおすそ分けをいただいたような、ほっこりした気持ちに……。

神社にはいつも、あたりまえの日常をしっかり支えてくれる神様がいるのだな、と、しみじみ感じた、伊太祁曽神社での出来事でした。


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