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【大学生の視点】高校生へ。大学or学部、いずれを重視すべきか。

 大学進学率は今や50%を超え、皆が大学に行く時代も当たり前のものとなりつつあります。そんな中で重要となるのが志望校選び。中学時代と異なり、学区という縛りもなくなりますし、また、普通科という区分もなくなり多種多様な学部から選択するという点で、一見選択肢は無限に広がります。

 しかしながら、現実には皆が希望する大学・学部に進学できるとは限りません。行きたかった大学だけれども第一志望の学部ではないとか、学びたいことが学べる学部には受かったけれども滑り止めの大学だったとかいうのはよく聞く話です。ここで意見が分かれるのが志望大学と志望学部のいずれを重視すべきかという問題です。どちらを重視すべきなのでしょうか。

 まず、世間一般としては大学を重視している気がします。その根拠として、模試等の大学コードが学部別ではなく、大学別で表示されていること、合格者体験記の受験校を見ても受験校が行きたい大学(MARCH等の大学群)基準で選ばれており、学部の統一性はそれほど見られないことが挙げられます。

 ですが、プロフィール等にも書いてある通り、私は学部選択も決して軽視すべきではないと主張しています。では、学部選択を重視するメリットはいかにあるのでしょうか。

 結論から申しますと、学びたい学問が学べるという点です。これを裏返すと希望学部ではない場合、自分が興味のない分野について4年間も専門的に学ばなければならなくなるということです。

 いくら大学生が「人生の夏休み」と揶揄されているとは言え、学生生活のメインは大学の授業が占めているはずです。そして、それだけ大きな割合を占める時間を興味がないことに費やすのは苦痛でしかありません。
 さらに、その時間を本当に苦痛だと感じてしまうと、自ずと学校からも足が遠のき、卒業さえも危うしとなってしまいかねません。大学ベースで志望校選択をしている方々の理由としては、できるだけ高学歴になりたいというものが挙げられるでしょうが、卒業できなくては本末転倒となってしまいます。

 逆に、自分の好きな学問を学べるとなると、それはもう楽しいものです。高校生活を想像してください。きっと誰しも何かしら好きな科目が1つはあったと思います。もし志望学部に入ることができたら、毎日がその好きな科目だけ(厳密には一般教養科目等あり)という状態です。このように考えると、学部選びも決して適当になすべきではないことが分かるでしょう。

 一方で、志望大学に入るメリットももちろんあります。まず、大学毎に校風は全く異なりますから、自分に合った雰囲気の大学で4年間過ごすことができます。例えば、同じ学部であっても、青山学院大学法学部と中央大学法学部では学内の雰囲気が全く違うでしょう。
 このように、気が合う人ができそうな大学を選ぶという意味では大学を重視する意味があるのかと思います。

 また、サークル等の課外活動は基本、大学単位で構成されています。たとえその大学の下位学部(あくまで受験偏差値的観点)に入学したとしても、あなたが当該大学の学生であることには変わりありません。
 もしやってみたい活動が志望大学でしかできないのならば、学部を選ばずに入学する価値はあるのかと思います。

 他にも、大学生活において友人に向かって「俺は○○大!」だと自信を持って名乗りたいといった理由で学部を問わずに受験する人もいらっしゃいます。賛否両論あるかもしれませんが、学びたい学問を学べること以上に本人がそれに対してメリットを感じており、かかる弊害を本人が理解しているのならば、私はそれを尊重します。

 まとめてみますと、学部を基調においた選択は学習内容に影響し、大学を基調においた選択は勉強面以外、すなわち課外活動に影響してくるものだと言えます。

 ここまで書いた上で、私の意見としては、大学選びはすごく重要であるが、学部選びも決して軽視すべきではない、というものになります。
 そして、これ以降は、各人が大学と学部のそれぞれの良さを比較衡量し、どちらにその人が重みを感じるのかという問題であり、当然、最終的には個人の主観によるべき問題ではあります。

 ただし、繰り返しになりますが、私個人としては、大学生活において「学問」というものが大きな面積を占めるということは忘れないで判断してほしいです。少なくとも学習内容を調べず、偏差値表だけを見て、「難関大たる○○大の中で最も難しいのは○学部だからそれに決めた!」といった軽率な判断はすべきでないと強く思います。

 私自身の経験に基づいた話はいったんここで終わります。しかし、ここで「大学を中心とした選び方が真の威力を発揮するのは卒業後の進路選択においてだ。日本には学歴フィルターが存在する以上、少しでも上位ランクの大学に進学することに意味がある。」と主張される方がきっといらっしゃるのではないでしょうか。
 私はまだ在学中ゆえ卒業後のことを実体験として語れないため、ここまでこの論点にはあえて触れませんでした。だだ、一応私の見解を述べておこうと思います。

 結論としては、卒業後の影響を加味しても大学名による選択が絶対に優越するとまでは言えないと思います。まず、日本に学歴フィルターが存在するのは残念ながら事実であり、上記のような主張は的を得ています。

 しかし、仮に卒業後の進路として何かしらの専門職を目指しているのならば関連する学部に進学することが必要、最低限有利にはなります。具体的には、弁護士を目指しているのならば法学部に入学した方が上位大学の他学部に入学するよりも有利であることは自明です。そして、専門資格を得ることができたら、それにはきっと学歴フィルターを打破するだけの力があるでしょうし、上記の主張をする人が気にするであろう年収も負けず劣らずな金額になります。

 以上より、進路が特に決まっていないのであれば学歴フィルターも考慮に入れて大学を選ぶメリットは十分あるでしょうが、進路と希望学部が一致している、特に専門職を志望しているのであれば希望学部に入るのが得策では ないか、というのが社会人を未だ経験していない現時点での私の意見です。


※本記事は高校生の方に、学部選びも大学選びと同様に軽視しないでほしいとの趣旨で執筆しました。
 それゆえ、前提として、ボーダーフリー大学だが学部は第一志望の場合、又は、最難関大学だが学部には全く興味がない場合、のどちらが良いかといった極端な事例は考慮に入れておりません。
 端的に言えば、大学群を1つ下げてでも、あるいは、その大学群の中での下位大学に変更してでも志望学部に入学する価値はあるのか、といった現実性のある前提の下での主張だと考えていただければと思います。


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