見出し画像

【01night】新しいオンライン患者コミュニティの可能性 国の指定難病患者の課題解決に挑む「ジーケア」

皆様、こんにちは!ゼロワンブースターの冨田(@ItaruTomita9779)と申します。

ゼロワンブースターは、「創造をルーティンに」をビジョンにアクセラレーターをメインに運営している会社です。

ゼロワンブースターでは、01Night と表して、オンライン配信を積極的に行っています!

前回のイベントレポート「起業初期段階の顧客ヒヤリングの方法」についてはこちらになります。

今回は、01Night 「新しいオンライン患者コミュニティの可能性 国の指定難病患者の課題解決に挑む”ジーケア”」のイベントレポートを書いていきますので、宜しくお願い致します!

▼この記事はこんな方におすすめ
1.医療ヘルスケアビジネスにご興味をお持ちの方
2.患者コミュニティ、患者エンゲージメント向上に興味を持つ方
3.大手企業の社内新規事業で医療ヘルスケア事業に取り組んでいる方、等
※上記に関係なく、どなたでもお気軽にご参加ください。

*こちらの記事の内容はYoutubeでもご覧いただけます!
https://youtu.be/hX3o93gQ3W4

-----------------------イベント概要-----------------------

【オンライン・無料】0→1night / オンラインによる新しい患者サポートの可能性
COVID-19の感染拡大の影響による医療崩壊、患者の受診抑制による医療機関の経営悪化、そんな中、2020年4月には遠隔医療の規制緩和が進む等、今、医療業界を取り巻く環境が大きく変わってきています。そこで今回は、国の指定難病であるIBD(炎症性腸疾患)やIBS(過敏性腸症候群)患者をサポートするオンラインコミュニティ「Gコミュニティ」を立ち上げた株式会社ジーケア 創業者の宮﨑氏にご登壇いただき、『新しいオンライン患者サポート』についてお話を伺います。

オンライン患者コミュニティはニーズが高いものの維持拡大が難しいと言われている中、Gコミュニティは患者数が限られている難病を対象としているにも関わらず、2019年7月にサービスを開始後、ユーザー数は700名を超え、投稿・コメント数は2500以上にのぼります。患者コミュニティの立ち上げ・運営から、COVID-19で環境が大きく変わった医療業界の中での患者コミュニティ・オンラインによる患者サポート、及び患者コミュニティを活用した事業展開の可能性についてざっくばらんに語っていただきます。
▼登壇者
・宮﨑 拓郎
株式会社ジーケア
代表取締役社長(共同経営者)
米国管理栄養士(RDN)、公衆衛生学修士(MPH)、中小企業診断士。
帝人ファーマ(株)で新薬アライアンス・事業開発等を経験後退職し渡米。2018年ミシガン大学公衆衛生学修士(栄養科学)修了後、大学病院等での管理栄養士研修生勤務を経て米国管理栄養士資格取得。同大学消化器内科で臨床試験(低ファドマップ食等)にも従事。
3児の父。趣味はアメリカで楽しみを知った家族とのキャンプ。子育ても奮闘中。

画像1

・平岡 仁志
株式会社ゼロワンブースター ディレクター
2004年、新卒で自動車内装部品メーカー。主にトヨタ自動車に対する内装部品の営業・企画・生産準備・品質管理・物流などに従事。初代のレクサスやヴィッツ、クラウンなどの内装部品(主にシートや天井)を担当。2007年、日本GE(旧 GE Capital)。対 中小企業を中心に法人向け金融サービスのソリューション営業を担当。
2009年、医療系ベンチャーのエス・エム・エス。同年12月、エムスリーとの合弁会社、エムスリーキャリアの立ち上げに伴い転籍。医師転職支援を行う紹介事業立ち上げ、マネジメント、採用、人事評価の設計、アライアンス等にを担当。創業6年で従業員が25人から500人超へ成長し、結果的にベンチャーの1→ 10→ 100フェーズを経験。
2015年、医師の採用コンサルとして独立。2016年3月、ゼロワンブースターに参画。大手企業、自治体が主催複数のアクセラレータープログラムを担当。

画像2

-----------------------イベント概要-----------------------

画像3

起業の経緯とアクセラレーターでの出会い

本日はジーケアの宮﨑さんと鈴木さんにご登壇いただきました。

宮﨑さんは帝人ファーマで働きながら、栄養科学に興味を持つ中で、ビジネスとサイエンスとしてもまだまだ発展の余地があると思い、私費でミシガン大学へ留学されたそうです。

ミシガン大学で公衆衛生学修士(栄養科学)を学ぶ中、同時期にミシガン大学研究員として留学していた消化器内科医の堀田さん、ミシガン大学MBAに留学されていた鈴木さんと出会い、その後、起業に至ったようですね。

鈴木さんも、製薬企業でマーケティングをする中で、患者さんとのコミュニケーションが少なく、もどかしさを感じる中で、宮﨑さんと出会ったみたいです。

そして、下記が宮﨑さんと鈴木さん、そして医師の堀田さんの3人が起業された、IBDという難病患者が抱える課題の解決を目指す「ジーケア」さんのHPになります。

https://gcareglobal.com/

画像5

ちなみに、本日登壇しているゼロワンブースターの平岡さんとの出会いは、下記の田辺三菱製薬さんのアクセラレーターがきっかけになります。

画像4

ジーケアとIBD(炎症性腸疾患)

ジーケアの皆さまが扱う社会課題は、IBD(炎症性腸疾患)という、治療法が確立していない慢性疾患で、20~30代の人々の罹患が多く、長期休業や離職にも繋がってしまいやすい難しい病気だそうです。

画像6

宮﨑さん曰く、起業当時は、患者さんにインタビュー・ヒアリングする中で、実は他にも色々なアイデアはあったそうです。

その中でも、患者さんが必要な正しい情報を得られない状況が課題として感じられたみたいです。

また、アメリカに留学していたときに、「IBDに人生を奪われた」という強烈な言葉を聞いたり、「人に伝えづらい生活周りの不安」を患者さんが持たれていたそうです。

これらの点が、「現状の医療システムでは解決できていない」と、宮﨑さんが取り組みたいと思われたきっかけなのかもしれないですね。

また、IBDについても、下記のようにたくさんのご質問をいただきましたので、ご関心のある方は後日アップする動画も御覧ください。

・IBDという診断自体は専門医でなくとも可能なものなのでしょうか?
・いくつかの製薬会社がおそらくIBDの薬を開発していると思いますが、日本ではどこが取り組まれているんですか?
・在宅勤務であれば、IBDの方は働きやすいのでしょうか?それともオンラインミーティングなど少しでも時間拘束があると在宅でも働くのが難しいのでしょうか?

ジーケアのビジネスモデル

画像7

さて、ビジネスモデルのお話に移りますが、ジーケアさんはオンラインコミュニティの情報を軸に、主に製薬企業からマネタイズ(市場は1,000億円)しているそうです。

そもそも、IBDの薬開発は現在、グローバルで40以上の臨床試験が走っており、製薬企業としては患者さんとの接点を持ち、情報を得たいというニーズがあるんですね。

そして、日本では患者数がまだ少ないIBD領域において、なぜここまで臨床試験が多いのかというと、日本と違ってアメリカではIBD患者数も多く(50~100万人)簡単にIBD患者が見つかる、アジアでも罹患される人が増えているという背景があるようです。

製薬という文脈で見ると、社会的な課題性が高いと同時に、市場性という意味でも注目されているそうですね。

そして、ジーケアさんはIBD患者の皆様に対して、現在は700人ほどのオンラインコミュニティ「Gコミュニティ」を運営しており、広告などは打たずに、地道に会員数を増やされているそうです。

こちらはなぜかというと、コミュニティとジーケアへの信頼性が重要になるそうで、コミュニティを立ち上げて広告を回して無理に患者さんに入ってきてもらうと、コミュニティからすぐ離れてしまう、という難しさがあるんですね。

なので、少ない数の患者さんに対して、しっかりそのニーズに答えていき、コミュニティのクオリティを上げながら、漸進的に育てているそうですね。

目の前の会員さんにしっかり向き合う、これはコミュニティ運営をされている方々にとっても、示唆深い運営の姿勢ではないでしょうか。

「急がば回れ」、コミュニティを創る上では、重要なポイントだそうです。

また、宮﨑さんは最初はコミュニティに患者さん同士がいればコミュニケーションが起きるかもしれないと思っていたそうですが、実際には始まらなかったそうです。

振り返ってみると、20~30代で匿名性を好むIBD患者さんはTwitter上で情報交換しているケースが多く、コミュニティの初期会員もTwitterユーザーさんが多かったですが、すでにTwitter内でコミュニケーションをしているため、ジーケアさんでのコミュニティ内でのコミュニケーションが進まなかったようですね。

鈴木さんにもご意見を伺ってみると、情報自体に価値は感じていただける他方で、すぐにユーザーが簡単に伸びるわけでもなく、宮﨑さん同様に地道にユーザーさんに向き合いながら、今にたどり着いたみたいです。

今後の事業展開と皆さんへのメッセージ

画像9

宮﨑さんからは、「医者と患者の情報の非対称性」が今後はより緩和されることが、LINEなどのヘルスケアへの事業展開がある中で、感じられるそうです。

コミュニティという観点から言うと、コミュニティに集まった患者さんが行政や製薬企業に働きかける・働きかけやすい環境を自分で作るというプラットフォームが今後作っていけるのではないか、とのことです。

実際に、アメリカでは患者さんが「こんな研究をやってくれ」という形で今の医療に提言をして、それが社会実装されることもあるみたいです。

鈴木さんからは、治療と日常生活の2つの観点から、今後の展開が考えられる、とのことで、日常生活を不便なく送るために、治療を遠隔医療で行ったり、オンラインを活かしたり、といった展開はやっていきたいとのことでした。

また、今後の展開に関連して、下記のようなマネタイズの観点や事業の苦労されるポイントなど、幅広い質問もいただきましたので、ご回答に気になる方はぜひ後日掲載の動画を御覧ください。

・事業で考えると、1つの病気に特化するとスケールしないのではと思ってしまいまます。特化しているのはなぜですか??
・製薬企業とのマネタイズに苦戦しているのはどの様なポイントなのでしょうか?お話を伺っていると、とてもうまく行きそうな気がしています。。。
・Twitter経由以外のコミュニティ参加者は、何経由で流入しているのでしょうか
・IBDネットワークなどの患者会との違いは?

最後に、宮﨑さんと鈴木さんから、最後にメッセージをいただきました。

宮﨑さん:患者さんのエンパワメントに引き続き取り組んでいきたい。そういった意味で、同じような課題に取り組む方々を応援したいので、いつでも壁打ち相手になりますので、ぜひお気軽にご連絡下さい。
鈴木さん:やっていてよかったなと思うのは、リアル・オンライン含めて患者の困りごとに対して、ダイレクトに貢献できること。患者さんの生活にこれからも治療面・行政面から日本の社会を変えていけるように頑張りたい。

宮﨑さん、鈴木さん、この度はご登壇いただきまして、ありがとうございました!!

画像9

*こちらの記事の内容はYoutubeでもご覧いただけます!
https://youtu.be/hX3o93gQ3W4

ご案内

以上で、「新しいオンライン患者コミュニティの可能性」の01nightのレポートを終わります。

世の中には、我々が知らない難病で苦しむ方がおり、そこの解決に取り組むジーケアさんのような素晴らしいスタートアップがいることに大変参考になります。

健康であるときほど、その当たり前に気づかないわけですが、ぜひヘルスケア領域のスタートアップがもっと盛り上がっていけるような支援が日本全体で出来ると良いですね。

さて、今後のイベントはこちらから、案内を御覧ください。

これまでのイベントの記録はnote、もしくはYoutubeでもご覧いただけますので、ユーザーフォロー&チャンネル登録のほど、よろしくお願いいたします!

ゼロワンブースターへのお問い合わせは、こちらのフォームからもしていただけますので、ご興味がございましたら、どうぞ宜しくお願い致します。

また、株式会社ゼロワンブースターでは、採用活動を積極的に行っています!

事業創造に興味がある方、ぜひ、お気軽にお問い合わせ下さい!

-------------

Writer:Tomita Itaru(twitter@ItaruTomita7997):起業のご相談や事業の壁打ち、新規事業のご相談などお気軽にDMいただければと思います!






「事業創造をルーティーンに」、新規事業に役立つ記事を今後もたくさんお届けします!「役に立った!」という記事がございましたら”いいね!”やサポートいただけると嬉しいです!