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攻略、街の上で

 平日は休日のことだけ考える。休日にも休日のことだけを考える。休日のために生き、休日を心して過ごす。全ての平日はローマに通ずる。庶民はスペイン広場でアイスクリームを食べることだけを考えてればいいのだ。
 行きずりの恋に縋るように、私はせっせと労働者としての使命を全うする。

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 私には、『行きたいお店をGoogleマップでブックマークしておく』という習性がある。自分の最寄り駅近辺、職場の最寄り駅近辺、通勤圏内にある都市部、諸用で訪れることになっている場所近辺などなど。お店の訪問ついでにその町の様相も伺い知れる。おかげで私の移動テリトリーはいつもブックマークに埋もれている。

 行きずりの身であっても避難場所を設けておきたいという願望から来る習性だったが、いつの間にか「休日のモチベーション」へと変わっていった。
 これは私の移動テリトリーの拡張でもある。犬が小便を電柱に引っ掛けるように、ドドブランゴが雪中に糞を埋めるように。私は食べることでその世界を切り拓く。

 何事もそれっぽくカッコよく言いたいので、私はこの習性を『街の攻略』と呼んでいる。

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 昔はよく攻略本なんてものをたくさん買ったものだ。書店なんかで売っていたペラい攻略本は、肝心なことを書いてくれていない。「その続きは君の目で確かめろ!」というフレーズが、子供心に後味悪さと未来への希望を遺すのだった。
 続きを自分の目で確かめながら生きてきた結果、人生に攻略法などないと知るのだ。バグという名のバグに阻まれて序盤の町も出れやしない。はぐれメタルは私をそのまま投影した悲しいモンスターだったのだ。

 〜なんてただのゲーム、楽しめばそれでいいの。究極の攻略法を模索するために、私はまた街へと出る。

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