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小学校の運動会:審判の仕事の裏側!

今年も、例年通りの運動会は行わないことになりました。3年連続でやっていないので、教員も入れ替わり、今、どんどん若手が増えている現状からすると、ノウハウも引き継がれず、次に急にやることは不可能な気がしてきています。
これを機に、負担の少ない形に行事も変わっていくのかもしれません。

人気のない仕事

私が勤めてきた学校では、運動会の仕事を分担するときに事前に了承を取るのは、まず応援団担当やリレー担当でした。練習が授業とは別にあり、その年度なりの工夫や作戦を担任していない子どもたちと考えていく必要があるからです。若手に任されることも多く、私も若い頃には応援団、そして中堅になってからはリレーを、割と担当していました。

次にここ10年くらいは、決勝審判という仕事もできればしたくないという人が多かったです。決勝審判は、短距離走やリレー等の順位を決める仕事です。ビデオ判定を取り入れたという話を聞き始めた頃にコロナが始まりましたが、まだ多くの学校は、人の目で判断をしていたと思います。
私は、コロナ前まで、10年くらい連続で(3校)この仕事のリーダーを担当していました。分担を決める体育主任からは、経験年数からトラブル回避を託されていたと思います。
この仕事は学校規模によりますが、4人1レースなら4人で、6人1レースなら6人で担当することが多く、それぞれが自分の担当順位の子を係児童に伝えて並ぶところまで連れていってもらう仕事です。この仕事が遅いと、運動会のタイムスケジュールがずれ込みます。また、2人の審判の判断が被ってしまって、調整が必要なこともあります。また、速い子がコースを出て走っていることもあります。そういったことを瞬時に判断・最終決定して、すぐに次のレースを始めないといけないので、当日は緊張感が抜けません。1日終わると、どっと疲れを感じる仕事なのです。

決勝審判の仕事は係打ち合わせが重要!

この仕事に決まったら、まず係の打ち合わせ前に、仕事表を作ります。
担当の必要な競技を確認し、レースごとの係分担表をプログラム順に並べます。
係には56年生がくることが多いので、彼らの出番と連続していないかも調べて、競技ごとの分担を決めます。(準備や片付けをしやすいように。どうしても重なる場合は、担当児童や担任と係前後の移動について相談します。)

第1回係打ち合わせ
この係の重要性を伝えます。
①一生懸命走っている子たちの結果を決める仕事。(これは、本人たちも走るので、よくわかってくれます。)どんな順位の子にも失礼がないように、丁寧に。
②皆に見える(各家庭のビデオにも残る)仕事であること。連れていく時以外は、絶対に立たないで皆にレースが見えるように配慮する。
③この仕事で運動会の進行がスムーズにいくかどうか決まること。よく仕事を覚えて機敏な動きをすること。それが、かっこいい高学年に見える。(実際に、過去の先輩をかっこいいと感じて、この仕事に立候補してくる児童も多いです。)

その上で、担当を決めます。各競技で、ゴールテープ2人と順位担当2人ずつ。
各順位の担当は交代制なので2人ずつ(ゼッケンでAチームとBチームを色分け。チームごとに順位の旗を出して、その台も片付ける仕事と、旗を持って退場を先導する仕事を担当する。)ですから、担当人数は、1レース4人の学校であれば、6年10人、5年10人という感じです。

第2回係打ち合わせ
私の経験した学校では、ここが前日準備の日でした。この日は、とにかく練習です。6年チームの練習では、5年チームが競技者の役をして、練習。そして、交代してまた練習。1位担当の児童が焦って入ってしまい、後ろの順位の子と接触しないように、目で追いつつ走路妨害しないことも教えます。順位が重なった場合の対応も話しておきます。
ゴールテープが下手だと、1位の子が擦り傷を負うので、毎回背の高さに合わせて、下腹部くらいの高さにすること。離すタイミングなどを練習します。児童は、興奮してくると線から出がちなので、しゃがむ位置や手の出し方も念入りに指導します。

各学年への事前周知と学年での指導も大切!

当日、起きるトラブルは事前指導でかなり減らせます。
①最後まで走り抜ける
低学年は、大体、テープが怖いのか指導しないとゴール前で減速します。なんなら止まります(笑)。結果、最後に抜かれるということが起こります。ですから、ゴールテープを切る練習をしたり(割り切ってテープなしもあり)、走り抜ける練習をしたりする必要があります。

②コースを出ない
小学校はセパレートで競走しますので、コースをでないで走れるようにします。これが、結構、1年生など小さい学年には難しい!だからこそ、コースを出た場合や他の子を邪魔した場合は、最下位になることを、事前に各学年でしっかり指導しておいてもらいます。そのため、低学年は、ゴールの先に色の違う三角コーンを置いて、その色のコーンに真っ直ぐむかってタッチしてゴールといった練習を工夫していました。

当日は集中力と対応を事前に決めておくことで乗り切る

とにかくレースをしっかり追いつつ、自分が担当の順位を見ることです。リーダーの場合、1位を担当して伝えてから、他の順位も見守ります。

重なった!
2人のいう順位が重なった場合は、私が判断できれば、その結果に。ほぼ同時など判断しきれない場合は同着として、2人とも2位と3位なら2位にするなどいい方の順位にします。

コースアウト!
当日はレースの最後の子は気にする必要はありませんが、最初の方の子はゴール側から見える範囲でしっかり見ておきます。子供なので、1歩や2歩は大目に見てきましたが、完全に出て違うコースにゴールした場合や、いったん出て他のコースを走ってしまい、そのために後ろの子が走りにくかったり、1歩でも手の振りが横に出て相手がスピードを緩めるような邪魔になってしまった場合は、アウトにしてきました。その際は、本人に必ず審判長が、「ごめんね。こういうことがあったから、4位になるよ。」などと説明してから並ばせました。学校によっては、「只今のレースでは…。」と放送を入れた場合もありました。

幸い、ほとんどの場合、これで納得していただけました。本人が理解していれば、後のトラブルになることはありません。

苦情の手紙

ただ、1回だけ、苦情のお手紙を頂戴したことがありました。
それは、おばあちゃまからで、匿名でした。消印と内容で誰からかは分かりましたが、特に返事はしませんでした。

内容は、うちの孫は1位だったのに、かわいそうだと言うものでした。敬老席でご覧になっていたということで、ゴールからは離れているので、正直言って順位がわかるはずもありません。
その子は、ゴール前で減速し、最後に抜かれていました。一瞬、言おうかなと思いましたが、6年生だったので分かっているだろうと思い、本人には直接伝えませんでした。でも、結果としてこうなってしまったので、それ以降は、さらにそういう子たちには、直接「惜しかったよ!最後、止まらなければ、1位になれたのに。」等、会話的に説明をするようにしてきました。


コロナ後の運動会はどうなっていくのでしょうか。時代に合わせて、新しくなっていくのかもしれません。一応、忘れないうちに、記録として書いておきました。





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