涙腺激弱人間がもののけ姫語るよ/後半
お久しぶりです。
前回は開始12分で泣いたシーンをお話ししたんですけど、今回はどうしようかなーって考えた結果、アシタカとたたら場の人たちについて、そして「もののけ姫」という作品そのものについてを書くことにしました。
たたら場は本当に悪なのか
幼いころこの作品を観たとき、「森をじぶんたちのためにめちゃくちゃにしてしまうなんて、なんていじわるなんだ!」と思ってて、
たたら場を仕切るエボシ様は完全に「悪」やった。同じ人多いんじゃないかなーって思いたい。笑
でも、こうやって大きくなってからもう一度みると、
本当にたたら場は悪だったのか?ということを強く考えました。
エボシ様は、町で売られた女性やはずれ者となった男性、皮膚病を患った者たちを片っ端からたたら場で引き取っています。彼女の背負うものの大きさや覚悟は、人並みならぬものであるのは間違いない…
いかにエボシ様がたたら場の人たちに感謝されているかは観たら明らか。
でも彼女たちは「生きていくため」にたたら場で鉄を製造しているから、よくよく考えてみたら彼女たちは絶対悪、ではないんよな。
だって「生きようとしている」だけだから。
生きていくために森を切り開こうとするたたら場の人たちと、
生き続けるために森を守りたい、森に住む神々。
これってめっちゃ既視感じゃない?
私たちが生きるために環境を破壊しているのと同じ。ような気がする。ちょっと似てるよな。
この両者の立場の難しさ、大学生になった今ならどれだけ難しいことかが少しは分かるなぁという感じ。
この世界はきっとそんなことだらけで、誰かにとっての正は誰かにとっての悪であり、誰かにとっての悪は誰かにとっての正。
ただ、それはどちらにとっても「正」であり「悪」であるので、結局決着がつかない。
もののけ姫に出てくる立場の人達は、まんまこれ。
お?もののけ姫、やっぱり面白い。
森と人間の和解〜とかアシタカとサンが〜っていう「だけじゃない」感、ジブリ過ぎる。
もののけ姫では最後、森の壮大さを見せつけられ、結局エボシ様は森の開発を諦めます。
でも、もしあのまま最終決着がなかったら?
エボシ様達と森の神々がイーブンな立場だったら?
本当に、正義と悪の定義は難しいです。
そもそも「生きる」ために正と悪が生まれてしまうこの世界、どれほど複雑で難しく、生きづらいんやろう。
きっとその難しさは、これからもずっと私たちが直面していくんやろうなと思う。
さて、みなさんがアシタカならどちらにつきますか?アシタカ本人は、次のような選択肢をとります。
「分からない。だが、ともに生きることはできる」
その可否はさておき、このアシタカの立場、一番しんどい立場。
なぜなら、アシタカは両者の敵にも味方にもなりきれへんから。
アシタカを支持するのは、アシタカ1人だけ。
いや、しんど!!!
しかしアシタカは終始一貫して、その立場を貫き通します。かっけぇな、、、
物語序盤、ひいさまに「曇りなき眼で見極める」というお言葉をもらってるけど、
「見極める」というと「AかBか?」となってしまいそうじゃない?
そこをアシタカはそうはならず、あくまで平らな眼を持って物事を見ている。その結果のまっすぐさなんやろうなと思う。尊敬でしかない。
そしてここでも出てきた「生きる」という言葉。この一言無しにしてもののけ姫は語れないなと思います。
もののけ姫の真のテーマは何か
さてここでもののけ姫のキャッチコピーを思い出しましょう。
それは、「生きろ。」です。
ここにきてキャッチコピーのこの一言の、重さ!!!!!!!
タタラ場の人達への「生きろ。」
サンや山神達への「生きろ。」
アシタカ自身への「生きろ。」
そして観ている私達への「生きろ。」
(息と胸が詰まって死にそうになる私の顔文字)
この作品の中には、様々な「生」の形が苦しくなるほど克明に描かれています。
どの生も蔑ろにはできない。
でも生を守るために、犠牲にしなければならない生がある。
もののけ姫では、個人的には生命の美しさよりも、「生きることの醜さ」の方をより鮮明にうつしだしているような。
でも真のテーマとしては、
生命の美しさを描いているようにみせて、生きることの醜さを描いている、のではなく
生きることの醜さを描いているようにみせて、生命の美しさを描いている、ように感じる。
私にとっての「もののけ姫」
そんな風な目で観ると、息が詰まるほど重く、醜く、苦しく、そしてやはりどうしようもなく美しい作品だなと感じます。
もののけ姫の作品は、生きることそのもののような。
凄惨で残酷で醜い私たち人間が、やっぱりどうしようもなく愛おしいように、もののけ姫という作品も、やはりどうしようもなく愛おしく思います。
私にとっての「もののけ姫」は、そんな作品です。
はーーーー、語った語った。
ジブリ好きを拗らせすぎている節があるので、こうして言語化できて満足です。笑
ここまで読んでくださった方がもしいれば、本当に本当にありがとうございました。また別作品でお逢いできたら幸いです。
では👋🏼
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