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トラウマ ~人の「やりたい」を阻害するもの~

「やりたいこと」がない子を考える(30)

トラウマは傷口となって、興奮の回避を生み出します。
そして、「やりたいこと」とはすなわち、自分を興奮させてくれるものだと述べました。
つまり、トラウマによって回避すべき傷口ができると、「やりたいこと」をするときの興奮がその傷口を刺激するので、「やりたいこと」自体を避ける、という心の働きが生じるのではないか、ということです。
いじめや虐待などの何らかのトラウマ体験をした子たちは、心の中に常に存在する痛みをかき消すためスマホやテレビをずっと見たり、痛み自体を回避するために無気力になったり、リストカットという物理的な痛みで打ち消そうとしてみたりしますが、それらは心が引き裂かれるような痛みが常にあるためです。
その状態で興奮をもたらす「やりたいこと」に向かうことは不可能です。
トラウマと「やりたいこと」は全く別のことのように思えますが、興奮という点で主観的には全く同じ現象として存在しているのです。

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